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テイラースウィフトとニューヨークと新秋津の話

洋楽をほとんど聞かない。「ほとんど」と書いたのは「全く」ではないからなのだが、割合で言うと邦楽と洋楽が9:1くらいだ。で、その1の中の8割を占めているのがテイラースウィフトだ。予めことわっておきたいのだが、そこまで詳しいというわけではない。テイラースウィフトのことを「テイラー」と呼ぶ方々とは距離を置いて生活したいと考えているし、テイラースウィフトのex-listにも興味はない。

それでもテイラースウィフトの曲は好きなものが多く、特にstyleだったり、redだったりMineは高校生の時に何度も何度も聞いたし、今でもたまに聞いている。

ただ、1曲だけ全然しっくりこない曲があった。welcome to New Yorkという曲で、テンポやメロディーはノリノリな感じなのだが、歌詞がどうも好きになれなかった。意味を取り違えているかも知れないが、大体「このニューヨークという街で夢を叶えて、何者かになろうよ!」といったテンションの曲だ。

JR新秋津駅から西武池袋線の秋津駅に乗り換えるには10分くらい歩く。その10分の間でいくらwelcome to New York! It’s been waiting for you!!ニューヨークへようこそ!この街はあなたを待ってますよ!!と言われたところで「いやここ秋津だし、そういうののいいから」と部活帰りの私は思っていた。

高2の頃、2週間ほど短期留学に行く機会があった。場所はニューヨーク。そうNewYorkである。夢を叶える場所。何者かになる場所だ。短期留学といっても、2週間で学べることなんてたかが知れてる。何かを得られるなんて考えていなかったが、あの曲を本場で聴いてみたいなとは思った。

アメリカに着くと、大学の授業を見学したり、現地の高校生と交流したりスケジュールは割と忙しかったのだが、正直それらはあまり記憶に残らなかった。少し時間が空いたからタイムズスクエアに行ってみようということになった。アナザースカイでよく見る景色の中に自分がいることへの違和感を抱きながら、ここぞとばかりにイヤホンとスマホを取り出し、welcome to New York を再生した。

最高。

ああ、俺ニューヨークに来てめっちゃ浮かれてるんだな。そこで気づいた。曲は聴く環境によってここまで聴こえ方が違うのかと、生意気にもそんなことを考えてしまった。ほんとにベタな例えだが、mvの中に自分が入り込んだような感覚になり、俺ってなんでもできるんじゃね?とちょっと考えてしまった。新秋津のラーメン屋でライスをお替りしてる人間とは思えない。

ただの高校生の考えを変えるのにテイラースウィフトとニューヨークのダブルパンチは十分すぎた。やっぱり、どこで聞くかという要素は非常に大切なのかもしれない。帰国後、welcome to New Yorkを新秋津で聞いてもかつてのようにひねくれたことは考えなくなった。場所と曲が完全にリンクすると今まで聞いていた曲が全く違った風に聞こえる。

まだ、豪雨の新宿で群青日和をきいたことがないので新宿に短期留学する機会があれば試したい。

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