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【衣装の道のり】着物で見栄えのいいポーズとは。

 演劇で衣装のお仕事もちょくちょくいただく、たかつです。私は【演出】【衣装】【宣伝美術】等いろいろ担当しています。今回の企画では、普段はお見せしない制作過程をnoteでたくさん発信していくつもりです。

 というわけで。演劇衣装に関わり始めて20年程になる私の視点から、制作過程を綴っていくシリーズは【衣装の道のり】と名付けます。フォローやスキ♡をいただければ、励みになります。よろしくお願いします。がんばるぞ。

 今回の『留守』、何色何番では初めての「着物」でのお芝居になります。外注として受けた仕事には幾つか着物衣装の時もありましたが、そこまで本格的ではなく、私自身、着物には全く詳しくありません。一応簡単な着付けができる程度の初心者です。年に1、2回着物でお出かけできたら嬉しいなくらいです。いろいろ調べたりはしますが奥が深すぎて……(でも今回は着物のプロのお富ちゃんが居るから安心。)

 演劇の衣装は基本的に、登場人物の「普段着」である場合が多いです。となると、着慣れているはずの着物に「着られてる感」は出ちゃいけません。しっくりと、着慣れているように見える瞬間って、やはり美しいものです。
そして演劇の衣装は「着る」だけではいけません。役柄に合わせた「着方」を見つけることも重要です。なので、今は稽古でも着物を着て慣れてもらっているところです。作品にもよりますが、私が衣装を担う場合は、早くて本番より1ヶ月前、遅くて1週間前には衣装を確定させて役者さんに預けたいですね。衣装は役者の肌となり、役柄への変身スイッチですから、早く馴染んでもらいたいと考えて取り組んでいます。

 先日、宣伝写真を撮りました。宣伝のための写真ですから、いろんな魅力を引き出したい。その中でも「美しくみえる」という部分も大切です。素人なりに少しずつ、着物で美しく見えるポージングのコツがわかってきました。

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 画像は、衣装候補の一つを村井さんに着せたところです。(帯の色を見るために、結ばずに手で持ち当てているだけなので、腕のポージングはしていません。)
左は「立っているだけ」→カメラを向けてこのポーズだったので、無意識。
真ん中は「ひざを曲げて足に角度をつける」→足が長く見える
右は「胸を開いてカメラ側の肩を落とす」→首が長く見える。
一言伝えるだけで、これだけの差が出ました。些細なことですが、見栄えはやはり違います。腰で少しひねりを入れて、足はマーメイドラインを意識すると美しくなりました。

 特に上半身は重要ですね。写真を撮るときに全身写真よりも上半身の写真を撮る方が多いですし。胸を開いて肩を落とし、その延長線上で手を広げ、着物の皴をさりげなく伸ばすと美しいポーズになります。曲線を多く作り出していくと綺麗なんですね。実は耳の下あたりから、首肩腕、指先まで少しプルプルするくらい身体使います。

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 普通にポーズをしてもらうだけだと、肩や腕が強張って見えました。
着物と洋服の簡単な違いは「平面と立体」だなと感じました。着物は平面、四角い大きな布を縫い合わせているため、体(身頃)と腕(袖)の関係性から深いしわが入ります。これは布の種類にもよりますね。ウールのような硬い布だとより皴がしっかり深く入ります。落ち感のよい柔らかい布の着物だと、もう少し浅い滑らかな皴になるのかな、と思います。

 大きな四角い布を縫い合わせて平面的に作る着物ですが、人が着て美しく見えるポーズには曲線が生まれます。面白いですね。やはり奥が深い着物。さらにいろいろ研究してみます。

 2020年9月現在は、衣装候補を探しているところです。いろいろ着てみて、合わせてみて、【役者に似合う】かつ【役柄に合う】かつ【すべての登場人物を並べた時にバランスがいい】ものを選び抜いていきます。
今後はボツ衣装とかも、「なぜボツになったか」という理由と共に紹介していけたらいいなと思っています。

「ええな」と気に入ってもらえたら、「ちょっと気なるな」と思ったもらえたら、サポートいただけるととても励みになります!よろしくお願いいたします!