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小川未明『青い石とメダル』読書感想文(宝亭お富)

最近、自分の周りには猫派が多いのだが私は断然犬派だ。
私が小さい頃から家には犬がいた。今回、小川未明さんの本を読んでみて今まで飼ってきた犬たちのことを思い出した。

物心つく頃にはすでに家に犬はいた。名前は「百々(どど)」
父が、家の近くで捨てられていたのを拾って来たので、捨てられたあたりの地名をとったとか。母が嫁入りをする前からいたので、父以外の家族には全く懐かなかった。雑種で、骨ばったホワイトベージュの短い毛並みはいかにも日本の犬といった感じだった。
まさに、今回の作品のメインである野犬の「クロ」と同じだなと思った。
百々は私や兄に対して、自分から後に来て可愛がられているの感じて、敵対心を持っていたと思うし、触らせてくれなかった。
なので、私の最初の犬のイメージは「怖い」というのが強かったと思う。

次に飼っていたのは「五月(さつき)」迷い犬だった。
町内の家の人が見つけて保護していたので、私が飼いたいと言い出した。
警察に届けて、飼い主が見つからなかったら飼うというのを約束で、我が家に迎え入れた。五月はシェルティで名犬ラッシーの小さい版のような洋犬だった。割と大人でしっかりとした顔で品があった。
5月に来たから五月と名前をつけて、大変可愛がってはいたが、慣れない環境もあってか割とすぐに病気で死んでしまった。

最後に飼っていたのは「歩駒(ふく)」これは初めてブリーダーさんから飼った犬だ。犬種はコーギー。早くで亡くなった五月を偲びながらも傷心していた母の強い思いもあって飼うことが決まった。
子犬から育てるということがこの時に初めての経験だったので、家族みんなで大変可愛がっていた。

犬種が違うのもあるが、犬はやはり飼われているのか後から飼われたのとでは、全く態度が変わる。その辺りは猫よりも線引きをしっかりしているように私は思った。

この物語には、犬を通して自分たちがどう変われるかを問われているような気がした。自分の大事なものを手放してもと大事にしたいという気持ちが率直に描かれていて、最後にはハッピーエンドという感じにまとまっているが、どこかまとまりが良すぎてムズムズする。

作品の冒頭に

”しっかりした人間にんげんの助たすけを受うけているものと、なんの助たすけもないものと、どちらがしあわせでありましょう?”

という言葉にチクリと刺さったような気がした。

幸せかどうかは、犬が決めることなのかもしれないがこの文章はむしろ私たち飼い主側に対して向けられている問いのような気がした。

私たちが、犬たちにどれだけ助けられたかまた幸せをもらったか。
生暖かくてふさふさしていて、息をしている。
触れるだけで安心する犬たちに私はこれからもまた助けられ、癒されることだろう。また早く触れたくなった。

小川未明『青い石とメダル』読書感想文 宝亭お富

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