見出し画像

自衛隊員の人権

海外にいると、他の国々で発生する海外邦人の脱出や救出に関するニュースが人ごとではなく感じられることがあります。

南国でも近隣諸国との関係が悪化した際など、戦争や紛争などの緊急事態を想定した食料・水などを備蓄した複数の避難拠点の設置や、空路、海路、陸路での国外避難方法の想定をはじめ、緊急事態の対処の難確認などを各企業内で行ったり、企業間で情報交換を行ったりしています。

特に邦人を狙ったテロとかではなくとも地域の戦争や紛争に突然巻き込まれてしまう可能性が全くないとは言いきれません。

本当に戦争や紛争などが発生して民間での退避経路が確保できなくなった場合、避難できなかった邦人やその家族から自衛隊の派遣を期待する声は当然出てくるのではないかと思います。

一方で、私はどうしても派遣される自衛隊員の人権や命の保障というものも考えてしまいます。なぜなら私は自衛隊員も私たち一般国民と全く同じように日本国憲法でその人権が保障されているものと考えているからです。命の重みにも変わりがないと思っています。

自衛隊員も自身の生命や身体の安全、自由、尊厳が私たちと同様に保障されるべきだと考えると、はたして自衛隊に私たち海外邦人の救出にどこまでリスクを負ってもらってよいのだろうかと考えてしまうのです。

また、一般的に他人の人権を侵さない、殺人を起こさないということは、人間の尊厳や倫理観に深くかかわる重要な原則だと思います。倫理的な行動や人権擁護の概念を深く学び身につけて来た人ほどこの原則を侵すことは非常に苦痛なことだと思います。

もし仮に救出中の混乱の中で自衛隊員が私たち邦人保護の目的とはいえ、偶発的な衝突などで誰かを殺傷してしまうようなことが起これば、その自衛隊員の尊厳が深く傷つけられてしまうのではないかと危惧してしまいます。

仮に正当防衛が認められたとしても、高い倫理観や人権意識を持つ自衛官であればあるほど、深く心の傷として残ってしまう可能性があることを危惧してしまいます。自衛隊員を派遣してもらうということはそういうリスクを自衛官に負わせてしまう可能性があるのではないかと考えてしまうのです。

では私や私の家族が海外で戦争や紛争に巻き込まれた場合、私自身覚悟を決められるのか、私はずいぶん考えてきました。そしてまだ自分自身の中で答えが見つかりません。私たちと同じ人権があり、愛する家族や友人のいる自衛隊員のことを考えると、私自身、悩んでしまうのです。

自衛隊派遣は大変重い決断にならざるを得ないと思います。

まず私たちにできることは、どんな時でも海外邦人の安全が少しでも確保できるように、あるいは紛争や戦争に際しても日本人の安全を考慮してもらえるように、普段から現地の人々と友好関係、信頼関係を構築していくことではないかと思います。

政治の分野でもまずは外交の力と国際協力で、戦争や紛争の無い世界を目指して行って欲しいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?