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当事者意識をもって素早く決断してもらうために (3つの選択肢を提示)

私がまだ若く、石油の坑井掘削現場にがんがん行っていた頃、現場だけでは決断できないとき、あるいは決断に際してオフィスや上司の指示を仰がなければならないとき、ここ南国では、ただデータを送って「どうしたら良いですか」と聞いてもまず答えはすぐには帰ってきませんでした。時間に追われているのに焦ることもしばしばでした。

結局、あれやこれやと質問され、どうしたらいいと思うか問われ、「このようにしたら良いと思います」と言えば、「では現場がそう思うのならそうしてください」と言われることになります。

一見現場の決断にゆだねられるのだからそれで良いようにも感じますが、この決断にはたいていオフィスや上司の当事者意識が欠落しています。何かあったとき、他部署などから突っ込まれたときにもなかなかディフェンドしてはくれません。

たしかに現場では、数値化されたりレポート化されたりしない情報、例えば、ドリラーなどが手元に感じる様々な兆候や感覚を直に聞いたり、地下から上がってくる地層の掘くずのわずかな変化などに触れたりすることもできます。それらの様々な情報を統合して判断することができるため、現場での決断が尊重されるのは一理あると思います。

しかし、「決断はやっぱりオフィスや上司の腹にもしっかり落ちていてほしい」「どうしてそのような決断に至ったのか、オフィスや上司にも当事者意識をもって他者に説明できてほしい」「現場の私をサポートしてほしい」こういう思いはやっぱりあります。私の所属する部署が一枚岩になって、現場の判断をサポートしてほしいのです。

そこで、どうしたらオフィスや上司が、現場の意見を聞いて、タイムリーに決断し、しかも当事者意識を持ってもらえるか、悶々と考えました。

そして考えたのが、あらかじめ「3つの選択肢」を、それぞれ理由を付けて現場から提示するということです。もちろんそれぞれの選択肢には長所も短所も、リスクや不確実性も、決断が間違っていた時に予想されるダメージもできるだけ簡潔明瞭に記載します。そしてオフィスや上司にこの3つの選択肢から選んでもらうのです。

ポイントはそれぞれ長所短所を示しつつも、やっぱり現場の自分がこうすべきだと思う選択肢について、オフィスや上司が選びやすくなるような正当性をよりはっきりと示すことです。どちらにしろ、自分はその選択肢をとるべきだと思っているので、その理由をより分かりやすく強調するのです。もう一つ、この方法のポイントは「3つの選択肢」を示すことです。多すぎず選びやすいし、いろいろな選択肢を検討していると考えてもらえます。

提示された選択肢からの決断だったとしても、自ら選択したオフィスや上司は、多くの場合、自分たちが選択したという当事者意識を感じてくれるようです。そして自分が選んだ以上、他者に対する説明責任もより強く感じてもらえるようです。

結局選択肢を現場で用意する時点で、現場の腹は決まっているわけですし、3つの選択肢を準備することで自分の選択を再検討することになります。そして決断をスムーズにしてもらえ、少しは当事者意識を持ってもらえるということで、良い方法だったのではないかと思っています。

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