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時計の4の位置に謎の記号が! これは何!!?

スマホが普及し、どこにいても時間がわかるようになった昨今ですが、いまだ腕時計をはめている人も多いですね。
時間を知るツールというよりはすでにファッションの一部となっているうえ、それが社会的ステータスの指標にもなっています。また、腕時計は社会人として必須、という考えもまだまだ根強いですね。

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今回はこの時計に関する雑学です。
腕時計や置き時計(壁掛け時計でもいいですが)には、アナログとデジタルの両方があります。アナログ時計は円形の文字盤があり、長針と短針が時刻を指し示すもの。デジタル時計は、時刻が数字として表示されるもの、というのはすでに知っての通りです。

一部の時計に変な記号が!

このうち、アナログ時計には文字盤が、算用数字ではなくローマ数字で表示されているものがあります。ローマ数字とは、算用数字の1,2,3をⅠ、Ⅱ、Ⅲと表す、古代ローマで使われていた表記法での数字です。

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このローマ数字では、4を表すときはⅣと記します。5を表すⅤからⅠを引いたことを示す記号です。反対に、6を表すときはⅤにⅠを足したものとして、右側に線を足したⅥという記号になります。

しかし、一部の時計の文字盤では、4の位置にⅣと表さなければならないところに、「llll」という変なローマ数字が書かれていることがあります。

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ⅢにⅠを足したので4を表すことは明白ですが、こんな文字はローマ数字にはありません。
では、なぜこのような変な記号が使われているのでしょうか。

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llllの影にシャルル5世

このおかしな数字が使われるようになったのは、14世紀のヨーロッパにまでさかのぼります。

当時、フランスはシャルル5世という国王が統治していました。のちに賢明王と呼ばれるほど、仁政を敷いた名君であり、現在の税金の基礎となる定期的な臨時徴税を行ったり、常備軍・官僚層を持つなど、後年の絶対王政のさきがけを成した人物です。また軍事面でも秀でており、着実に城・都市を奪回して行く戦法や、適切な妥協を含む外交手腕などの現実的な政策により、治世の末には戴冠当初にイングランドと結んだブレティニ・カレー条約で失われた領土をほぼ奪回した、数あるフランスの英雄のなかの一人です。

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王様「ⅤからⅠを引くな!」

そんな大人物が時計とどのように関わっているのでしょうか。それは、シャルル5世が宮廷の塔に設える時計をつくらせていたときのことです。

時計づくりを眺めていたとき、国王は文字盤にあるⅣの数字を見て、いきなり怒り出したのです。Ⅳという形は、シャルル5世の称号であるⅤからⅠを引いた形であり、そのため不吉だ、というよくわからない理由でした。

これには職人たちも唖然。しかし、それでも文字盤の4にあたる場所には、4を表す数字が必要です。
そこで国王は、4を表すために、ⅢにⅠを足したllllの表記に変えるよう命じました。Ⅳという形が良くなかったのですから、ほかの4ならいいわけですね。
以降、フランスの時計の文字盤には、Ⅳではなくllllが表示されるようになったのです。

いまもllllであるワケ

この逸話だけ聞くと、この国王が居なくなったらⅣが入った通常のローマ数字の文字盤に戻るのだろうと思うでしょう。
しかし、このllllが入った文字盤デザインは、フランスのだけの話に留まりませんでした。現代の時計でも見られるように、いまもllll入りの時計は多数つくられています。

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なぜなら、シャルル5世が没したあと、時計業界のなかではllllがⅣよりもデザイン性に優れているぞ、という見方がされるようになったからです。そして現代の時計業界では、このllll入り表示が慣例となっています。
よく見てみると、確かに、Ⅳよりおしゃれかもしれませんね。

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参考資料:

『「見るだけ」で楽しい!「ビジュアル雑学」の本』博学面白倶楽部(三笠書房)


Ⓒオモシロなんでも雑学編集部


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