2019/4/2 soarクラウドファンディング LIVE配信 勝手文字起こし(1/3)
soar(ソアー)は人の持つ可能性が広がる瞬間を伝えるウェブメディア。
社会的マイノリティの人々の可能性を広げているケースをリサーチし紹介しています。年間280万人もの人に読まれているそうです。
NPO法人 soarさんが「困ったときに誰もがサポートにつながることができる「情報のセーフティネット」に生まれ変わるためのリニューアル」を目指しクラウドファンディングを行なっています。
soar(ソアー)さんが「今なぜクラウドファンディングを行うのか」その理由や思いを語ったライブ配信の文字起こし、4月2日(火)分です。
※追記:今回の文字起こしには、soar代表の工藤瑞穂さん、副代表のモリジュンヤさんが過去に受けたインタビューなどのリンクを増やしました…が、文中にリンクで埋め込んでもわかりにくかった…(汗)。
soarに込めた思いやスタート時のエピソードなどがより詳細に書かれているので、下記の2記事もあわせてご覧いただくとよいと思います。
4月2日分は、3記事にわけて文字起こししています。
(2/3) https://note.mu/nanbyojoshi/n/n86ceba2749de
(3/3) https://note.mu/nanbyojoshi/n/nd22790675701
■当日の音声データ
下記Twitterの画像をクリックすると、当日の音声を聞くことができます。
(以下文字起こし)
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工藤:こんばんは。soarの工藤です。2回目のsoarのクラファン(クラウドファンディング)のライブ配信をしたいと思います。
みなさんはクラファンは見ていただきましたか。
昨日からまたすごくご支援が増えていて、445万円をいただいています。ありがとうございます。426人の方がご支援してくださって、残りあと24日まできました。目標額800万まであと355万です。ありがとうございます。
前回も理事の鈴木悠平と一緒にお届けをしたんですけれど、今日は私と副代表のモリジュンヤと二人でクラファンについて色々話ししていきたいと思います。よろしくお願いします。
まず自己紹介から…
私はsoarの代表理事と編集長をやっている工藤瑞穂といいます。
モリ:soarの副代表をしているモリジュンヤといいます。
普段は編集やメディアの運営をしているinquierという会社の代表をしながら、identityという名古屋を拠点にしたデジタルマーケティングの支援等をする会社の共同代表をしています。
■soarをはじめたきっかけ ー 素晴らしい活動を届けたい
工藤:今日は話を聞くのもはじめてな方もいるかもしれないので、soarをはじめたきっかけから話していこうかなと思っています。
(soarは)元々この二人がメインで始めたんですけども。あれは何年前ですかね。4年、5年ほど前…
(※注:soarのサービス開始自体は2015年12月)
色々なところでお話しているんですけれど、私のおじさんが統合失調症になったりとか、LGBTの友人が私を呼び出してカミングアウトしてくれたりとか、発達障害の友人が働く場所がなかったりとか。
そういう経験があって、もともと私は野口英世にとても憧れていて、弱い立場にある人を助けるような仕事をしたいなあと思っていました。
いろんな経験をしていく中で、いろんな素晴らしい活動にたくさん出会って。今まで自分が力なりたいけどなれなかった、いろんな困難がある人たちの力になるような活動を見ていく中で、そういう素晴らしい活動を届けていくようなことがしたいなーみたいなことを思いはじめたときにですね。
ちょうどモリも同じような事を考えていて。また私と違った視点から色々考えていて。
■soarをはじめたきっかけ ー ひとつひとつの活動が散らばっているのがもったいない
モリ:僕は工藤みたいに個人的な原体験がすごく強くあるというよりは、ずっとメディアの仕事をしてきていて。
大学を卒業して最初に関わったWEBメディアがgreenz.jp(グリーンズ)という、ソーシャルデザインとかをテーマにしたメディアで編集の仕事をしはじめたのが最初でした。
そこで色々な活動に出会うことができて。例えばsoarでも最初に記事にしている「handiii(ハンディ)」っていう活動だったりとか。
「WHILL(ウィル)」っていうパーソナルモビリティといわれている「思わず乗りたくなる」ような、車椅子のかわりに使えるような移動手段を開発している人たちだったりとか。
今でこそ話題に出ることが増えてきたLGBTの方の活動だったりとか、結構いろいろな活動をしている方の取材をしたり記事を書いたりをやってきました。
その中で、すごいいろいろな、ポジティブにもっと社会を変えていこうとしている人たちの存在を知っていって。
ただ、こうひとつひとつが点在しているというか、精神障害のある方のための活動している人たちとLGBTの活動している人達はなかなか接点がなかったりとか。難病の支援をしている活動と子供の支援をしている活動とはなかなか接点がなかったりとか。
目指す社会は共通しているはずなのに、ひとつひとつの活動が散らばってしまっていたり、ひとつの大きな活動だというふうになかなか認識しにくいような状態になっていて、すごくもったいないと思ったんですね。
せっかく作ろうとしている社会が、「ひとりひとりが生き生きと生きられる社会」を目指しているはずなのに、ひとつひとつの活動が小さく見えてしまったりとかタコツボ化している状態なんじゃないかという意識があって。
なんとかこれをもっと大きな共通項を作っていくことができると、見え方が変わったり、もっと大きなムーブメントを作ろうとして動きはじめている、そういう社会の動きがあるということを可視化できるんじゃないかと思ったのが(soarをはじめた)きっかけのひとつです。
■soarをはじめた頃の社会的背景
そのタイミングで社会的な動きも色々とあって。
すごくわかりやすい例だと、2014年かな?アメリカの西海岸がiPhoneとかのアップルのCEOティムクックがカミングアウトしたのが確かその年で。
(注:2014年10月に自身が同性愛者であることをカミングアウト(公表)した)
そのタイミングが、西海岸でIT系の企業が中心ではあったのだけれど、レインボーパレードだったり、LGBTの人たちの権利獲得に向けた動きが盛り上がった年だったり。
東京のオリンピックの開催が決まったのも、2014年かそのくらいのタイミングで。
(注:2013年9月のIOC総会で決定)
2012年にロンドンでオリンピックがあったときに、オリンピックの開催に向けて、社会システムだったり街の機能だったりが、インクルーシブにというか、いろんな人にとって居心地がいい・暮らしやすい場所となるように改善が進んだという話を聞いたことがあって。
であれば、グローバルにもそういうイベントが起きはじめているし。東京オリンピックというひとつのポイントに向けて、東京っていう場所でも色々な変化というか、より多くのより多様な人にとって暮らしやすい社会を作っていこうっていう機運が高まりやすいんじゃないかな、追い風になるんじゃないかなと思った。
社会的な変化っていうものもありましたし、すでに存在しているいくつかの活動というものもひとつ共通しているものなんだって見せてあげることで、社会がポジティブな方向に向かっているっていうことがよりわかりやすくなるんじゃないかなと思った。
それをひとつひとつの動きを紹介しながら、こことここってこういうふうに共通するんだな、つながっているんだなっていうことがわかりやすい状態を作る。そのためにはメディアがいいな、というのがあって。なにかしらそういうメディアを作れたらいいなと思っていたのが、soarを作る1年前、半年前くらい。
工藤:2014年頃からそんな話をしていましたね。
私は編集の仕事をしたことがそれまでなくて、全然ライターとかでもなかったんですけど。私は思いの部分みたいなのが、誰かの力なりたいっていう思いがあったりとか、この人の活動を届けたいっていうのがすごく強くあって。
ただそれを届けていく手段というのを自分は持ち合わせていないっていうような状態だったんですけど。モリがずっとメディアの運営にたずさわってきていたので、それだったら力を借りてできるかなっていう感じではじめました。
モリ:はじめる前の位置付けだったり、どういう意義で…みたいなことでもマクロでもそういう話がありましたし。
ミクロでも、今でこそだいぶいろいろな発信っておこなわれるようになってきたと思うんですけれど。当時って(マイノリティに対して)かわいそう視点というか「こんなに大変だからみんな知るべきだ」みたいな、結構センセーショナルな取り上げ方がほとんどだったんですよね。
実際にそういう人たちと知り合っていたりつながりがあって話していると、その面だけじゃなかったりするんですよね。当事者性だったりとか。かわいそうっていう気持ちになるっていうことはあまりなくて。
そういう見え方・見せ方・伝え方をしてしまうというのは、やっぱりひとつ線を引くことになりやすいなっていうふうに思っていて。
本当に多様性を受け入れていく、受容していく、より身近にしていくためには、「線を引かないこと」がすごい大事だなと思っていて。
それはかわいそうだからっていう伝え方よりは、この人がどれだけ魅力的な人なのかっていうことだったり、ありのままその人となりを伝えていくこととかをやれるようにしたいなって思っていて。
その辺はsoarの記事の作り方・伝え方に反映されているところかなと思います。
■「soar」名前の由来
工藤:やることは決まった、みたいな感じだったんですけど、なかなか(団体の)名前が決まらなくて。
最初、鳥が飛んでいく感じか、こう植物の芽が太陽に伸びてくっていう感じとか花が咲くみたいな、どっちかがいいなーっていうのを思ってて。
それが可能性が広がる瞬間みたいなイメージだったので。鳥かなってなって、私がずっと「鳥がはばたく感じ」「鳥がはばたく感じ」って半年ぐらいいい続けて、名前決まんないけどそういう名前がいいみたいなことをいってて。ある日思いつきましたね。
モリ:そうですね。ずっとイメージだけ伝えられ続けていて、どういう言葉がいいかなあっていうのを考えたときにたまたま見つけられたのが「soar(ソアー)」っていう言葉だったんで。
意味合い的にも「空高く舞い上がる」とか「気分が高揚する」っていう意味合いを持っている言葉でしたし。なにより字にしたときにかわいらしいというか。
工藤:字面がかわいいですね。
モリ:っていうのが素敵だなと思って。
まあ今でも読み方間違えられたりするんですけど…
工藤:結構「ソラー」の間違いが多いですね。
モリ:まあその辺も含めて。わかりやすい名前ではないけれど。イメージだったりとか伝えたいこと的にはこれが素敵だなっていうふうに思って決めた感じですね。
でも当時も走りはじめる前はもっと分かりやすい名前にした方がいいんじゃないとか…
工藤:なんか「bird」とかに一瞬なりそうだった気がした(笑)。
でも本当にナイスでした。「soar」を思いついてくれたおかげで、一気にどういうものにしていくかっていうのが広がったので。名前本当大事だなあというところで。
(※↓ soarサイトに掲載されている、soarについての説明)
■soarのロゴマークの由来
工藤:ロゴマーク。羽のマーク。最初は鳥のマークになりそうだったんですけれど。デザイナーのけんけんが出してきてくれたのは鳥ではなく羽で。
(↓ soarのロゴマーク)
なんかそれもすごく思いがこもっていて。可能性が広がって羽ばたいていくその空を見上げた人がふと足元を見ると羽が落ちていてみたいな。それを「可能性を見つける」ことに例えた、みたいなことを言ってくれてて。
なんかデザイナーすごいなってなりました。あの時は。私の方がよく知っているはずなのにこういうことを思いつくんだ、みたいなことを思ったことを覚えてます。
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(文字起こしここまで↑)
soarの代表・副代表のお二人だけに、soarをはじめた背景や思いなど、30分ちょっとの配信の中にものすごく情報が凝縮されていて…
1回の配信分を普通に文字起こししたら、12,000字を超えていました。
ということで、4月2日配信分は3回にわけて掲載していきます。
■筆者あとがき ー 「絶望」を知った上で「希望を切り取る」ことの意義
自分も病気を持つ私が、soarさんをものすごく応援するのにはいろいろな理由がありますが…
「健康だったときの自分や、自分のまわりにいた人たちが読もうと思ってくれる伝え方である」ということが大きい理由のひとつにあります。
それは、上記の「マイノリティとの間に線を引かない」「かわいそう視点ではなく、可能性を広げる部分を伝える」という伝え方にあるとも。
と、同時にそれが表面だけ見てすぐにわかるものではなくても、実は「安易にポジティブさに頼る」ものでは、決してないからこそ心ひかれるのだと思います。
大好きなおばあちゃんが亡くなったんです。末期ガンだったので家族は何回も病院に行って、近所の人や親戚もみんな葬式にも全員参列してという、優しい光景を目にしました。でも、そのとき私は「こういう見送り方をしてもらえない人も世の中にはいるんだ」という方に頭がいってしまうんです。笑顔の子どもを見た時に、「世の中には笑えない子もいるんだ」って方に頭が飛ぶ。
だからこそ、できなかったことができるようになるとか、ネガティブがポジティブに変わる瞬間に目が向いていて、それを多くの方に届けることが大事だと感じるのかもしれません。その情報が届くことで他の誰かの助けになる、みたいな。誰か一人の苦しみって、実は何十万人ぐらいが苦しんでることが多いから。
リンジン|[編集長の酒場談義]絶望の先にある光を届ける/工藤瑞穂さん
http://rinzine.com/post-1605/
さらに、編集長の工藤さんにsoarの取材の仕方について直接お話を聞いたり、自分自身も記事で取り上げていただいたりして実感しているのですが、当事者はもちろん、記事を読む受け取り手、さらに発信者に対して本当に細かな気配りがされている点も素晴らしいと思っていて。
北池:とは言え、いろいろ大変な部分もあるでしょ。
工藤:知っていくと、こんなにつらい状況をどうやったらよくできるだろう?と絶望的な気持ちになることもありますね。
北池:だと思う。いくつか記事を読ませてもらって、重い気持ちになってしまうこともあって。そういうことって考えないで生活してる方が楽だから。自分に重い荷物を持つような感覚になるというか。
工藤:そうですよね。絶望する方が楽っていうのはやっぱりあると思います。自分には何も出来ないな、知りたくないな、と思う方が楽に感じてしまうから。
北池:確かに…。
工藤:soarの記事の編集をするなかで、インタビューイがとてもつらい経験をされている方だと、自分にもそのつらさが伝わってきてしまうこともあります。ポジティブな瞬間がほとんどですが、真剣に丁寧に取り組んでいるからこその負荷もあると思うんです。
北池:取り扱うテーマがテーマだけに、大変なんだね。
工藤:そうなんです。それで、スタッフたちには毎朝、今日の気分と体調をオンラインで報告してもらうとか、月1回カウンセリングとコーチングを受けてもらうとか、そういう工夫はしています。soarのスタッフは感性が素晴らしい人たちが多くて。その感性を活かすためには、みんなの心と体を大切にできる組織づくりをするしかないと思って。
北池:ちゃんと考えてやってるねえ。
リンジン|[編集長の酒場談義]絶望の先にある光を届ける/工藤瑞穂さん
http://rinzine.com/post-1605/
疾患当事者としては、自疾患だけでもかなりの悲惨さを伴う状況を見聞きしてきて、それはそれで本当になんとかしないといけないと思っています。
しかし、「まずは病状と困難の一般的認知を」という段階で(一般的な疾患啓発活動など)、疾患当事者がいきなり絶望的な状況ばかりを語ってしまうとかえって受け取り手がひいてしまう、拒絶されてしまう、という状況も目撃してきて。(行政、病院、学校、勤務先に個別具体的な対応を求めるときは別)
だからこそ、soarさんの「絶望的状況も知りつつ、絶望が希望にかわる瞬間を切り取ることが多くの人に届くことにつながり、それが誰かの助けになる」そんなスタンスを応援したい。
そして、そのスタンスが実際に多くの人に情報を届けることになることを身をもって体験したからこそ、その価値を伝えたい。クラウドファンディングが成功してほしい。
そう思いながら、このLIVE記事の文字起こしをやっている次第です。
4月2日分の続きはこちら。
(2/3) https://note.mu/nanbyojoshi/n/n86ceba2749de
(3/3) https://note.mu/nanbyojoshi/n/nd22790675701
■soarクラウドファンディングページ
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