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空虚な世界

2020年3月。
後期の大学受験合格発表の日。
この試験に落ちてしまえば、浪人が確定する。
”浪人”という響きは、正直、私にとって、心地よいものではなかった。
その当時、私の頭の中には、”浪人=大学に落ちた人”という固定観念が染み付いていたからだ。だから、どうしても”合格”という称号を手にしたいと思う私がいた。

そうこう考えているうちに、合格発表の知らせが届いてしまった。
心の奥底ではもうすでに不安に押しつぶされそうだ。
だが見なければ、苦しいままなのはわかっていた。
だから、ベットに横たわる体を無理に起きあげ、パソコンに向かった。
そして、受験大学のホームページを開く。私は目を血眼にして自分の受験番号を探し始めたのだ。


数分が経った。

私は、自分の番号を見つけることはなかった。
何度も確認した。だが、そこに自分の番号はなかったのだ。
この結果を目の前にして、現実だと理解できていない自分がそこにいた。
布団の中に潜り込み、頭を抱える。すると、自然と涙が溢れてきた。
じわじわと、大学に落ちたのだと実感が込み上げてくる。
同時に悔しさも奥底から湧き上がってくる。
頑張ったのに。報われなかった。
その時、私の周りは重たい空気で満たされていた。
こんな自分、家族に見せたくない。見せられない。
羞恥心から、しばらく部屋に篭ったまま外に出ることができなかった。

その後数時間、
私は、真っ白な部屋の中にいる感覚だった。
そこに私がひとりポツンと座っている。
そして、心には大きな穴が開いている。
何もない。空っぽ。こんな言葉がしっくりくる。
そのぐらい抜け殻状態だった。
未来に希望を1ミリも抱くことができない。何もしたくない。
ただただ、空虚さだけがひたすら私を襲っていた。

すると、そんな私にさらに覆いかぶさるように疑問が湧き出てきたのだ。
それは、”人生は何のためにあるのだろう”ということだった。


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