記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画「銀河鉄道の父」〈感想〉

映画の感想です。
以下、ネタバレもあると思いますので、
見たくないという方はスルーしてくださいm(__)m







↓↓
少し前にアマゾンプライムにて視聴しました。

なんというか……
こういう温かい家族が描かれたものを見たのは、ずいぶん久しぶりな感覚がありました。

おそらく時代的なモノもあるかと思いますが、サザエさんのような、ジタバタとしているけれど、いつもどこか温かさがあって。色々小言や喧嘩があっても、そこにある安心感、家族じゃないのに『帰りたくなるような』……そんなものを最初に感じました。映画のホームページを覗くと、最初に「きっと家族に、会いたくなる」と出てきました。まさにそうだなと思います。

昨今、よく描かれるものと言えば、不倫や復讐であったり、家族間の闇的なモノ……いや、勿論大事なんですが、、むしろ今の課題というか、何というか。笑
そんな中で、これだけ家族を『愛す』
途中途中で「どうして分かってくれないの?」みたいな部分もあるけど、すごく家族に対しての『愛』が感じられる作品だなと思いました。

私自身も書く仕事が出来ればと思い、数年経ちます。家族から応援される日もあれば、時々小言を言われたり……自分の頑張りがうまく伝わっていないのかな?と、思うときも少なくありません。
勿論わがままも沢山言って、進路も変えて。家族にはたくさんアチラコチラと変わって行くたびに迷惑をかけただろうし、「一体コイツは何がしたいんだ?」と思った日、「正気か?」みたいな日々ばかりだったと思います。汗

賢治の様々な方向に走ってしまう感じを見て
ああいう風に見えてたのかなと、もがいていた時のことを思い出しながら、今回はどこか俯瞰して見ることができました。

『時々厳しいことを言ってくれる存在』
そんな存在は今の時代、色んなコンプライアンスという名の雑念で少なくなってきていると聞きます。そういった事を聞くと、やはり家族という存在は『時に厳しいけど、見えない優しさで溢れる』……そういうものであってほしいし、絶対そうであるべきだと思いました。

まだ私自身、親になった経験はありませんが、きっとこんな風になるんじゃないかって思いました。自分の我が子が生まれた!病気になった!大変だ!そんな感情になるのは、やはり血が繋がっている…たったそれだけのことかもしれないけど、それだから心配するし愛せる。家族って不思議な存在だなぁとも感じました。

当時は病気も今ほど解明されていないことも多く、早くに亡くなられることも多かったんだろうと察しますが、その中で夢を見つける、何かやりたいことを見つける……限られた時間で、何が出来るかという「役割」について、すごく熱心に向き合っている様な気がして。私自身も見習いたいなと思いました。

私自身も出来損ないというか、人より出来ないことも多ければ、人より劣って欠けていることも多く。それに対しての悩み、未だにそれが消えているワケではないです。でも、誰かのためになるかもという想い。家族が笑ってくれた、信じてくれたとか。そういったものは必ず力になるなというのは日々感じていて。

映画の賢治が、迷い苦しむ様もですが。妹トシの笑顔の為に奮闘する姿は、とても共感する部分でありました。その希望だったトシが亡くなって、絶望のような。生きがいがなくなっていく姿もとても切なく……また、父の「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」という。ある意味、その言葉1つですべてを受け入れるかのような、温かく包み込むような。そんな言葉をかけられるお父さんの子だから、宮沢賢治という偉大な作家さんがお生まれになったんだろう…そんな気もしました。

これも時代的なものを感じますが、家業を継ぐだとか、結婚して子供を迎えなきゃいけないとか。色々敷かれたレールのようなものがあって、その縛りがありつつもそれなりに人々は過ごしてきた。
未だにそれはあるとは思いますが、それだけが幸せではないということも、いつの時代であっても言われているのに。そういう部分というのは、当たり前すぎて今更フォーカスをあてる必要もなければ、あまり強くそこに焦点をあてて描かないのかもしれませんが。

賢治が放った「物語は自分の子供だ」に対して。「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」という言葉が凄く刺さりました。

私も少なからず物語を書いてきましたが、すべて愛しき我が子なのかなと、、すぐに突き放してしまう子もいれば、しばらく頭から離れない子もいますが……笑

子供は目に見えて動く、物理的なものじゃなくても。紙に遺した物でも、何でもいい。自分が生きた証が詰まっている物、その物がそうというのであるならば。愛を遺した物語が、「我が子」でいい。
綺麗事かもしれませんが、それ以上に何も無いなと思いました。
勝手に色んなレールを歩かないといけない、皆みたいにちゃんとしないと……そんな厚い壁が、少しだけ軽くなった気がします。 

あまり史実が残っていない中で色々想像しながらキャストさんが演じたような話をテレビで拝見していたのですが、、やっぱり皆さん凄いなと思いました。日本アカデミー賞の常連俳優さんが演じるというだけでも、そりゃ見ますよという感じですが、、
役所さんの人力車から転ぶように降りる動作など、ひとつひとつ評価していったら時間が無いくらいの、、不器用かもしれないけど、温かなお父さん。
特に、賢治の作品を一生懸命に読み続ける姿や最期の「アメニモマケズ」が圧巻でした。
菅田将暉さんの賢治も、憎めない愛らしさ……お父さんを愛しているし、尊敬しているけれど、自分の考えとは違う、ある意味、反抗?のような。
最期の最期まで、身体が弱っても優しさのある行動を見せ続けて、自分の道を貫く姿というのが伝わってきました。痩せ細る、チェロを弾く…色々と細かなところで大変なお役だっただろうなと思いました。

森七菜さんのトシは本当によく周りを見ている最期までしっかり者の妹で、愛がありましたし。豊田裕大さんの、弟として色々思うところも沢山あっただろうけど、お兄さんを献身的に支える姿。
田中 泯さんのおじいちゃんも泣ける……
お母さんの坂井真紀さんは、「賢治に出来る最期の仕事」を自ら名乗り出て、全うする姿が本当に印象的でした。質屋に来るキャストさんも本当にクセが凄くて……(笑)すべてが良かったです。

宮沢賢治さんの作品は学校などで読んだりしていたので。今じゃ有名で、誰もが知っているとは思いますが、、生前にもし売れていたら……また描く物も違ったんだろうなと思ったりしました。できれば、もう少しその世界を見たかったなと。

でも、限りある時間で懸命に生きたと思うと。本当に出来損ないでも何でも無く。雨にも風にも負けない、優しさを持った強い人であり、無駄のないモノを貫いたんだと思いました。

正直あまり宮沢賢治さんの作品をしっかり見てきてはいないですが、、汗 改めて拝読したい。あとは私自身も限りある時間、今では100年時代とも言われていますが。長いようですぐ来るかもしれないので…優しく、強く。自分の物語を貫けるよう、日々を過ごして行けたらなと思いました。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?