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「恐怖!! エクセレントなカンパニーの真実」ショートショート

「いやぁ、御社はすばらしいですね!」

「はっはっは、弊社はみなやりがいをもって取り組んでいますからなぁ」

男がそういうと、社長はそういった。

「ですね。御社の社員はみな生き生きとしていますね」

その言葉に嘘はなかった。

男が目にするこの会社の社員はみな一様に一生懸命働いていた。

「なにか秘訣はあるのでしょうか?」

「そうですね。我が社ではまずきちんとした会社のビジョンを伝えます。そして、そのビジョンに基づいた行動を社員に徹底させます」

「それで息苦しく思いませんか?」

「そのビジョンに共感してくれることがまず第一歩です。そして、その行動については自主性を重んじます。ビジョンに則った行動ならば問題ありません」

「なるほど」

「すると自然と仕事に誇りを持ち、やりがいをもってくれます。そしてその姿勢は顧客にも伝わります」

「たしかに御社の顧客第一の姿勢は社員の行動の端はしから伝わってきます」

「ええ。そのために社員満足も十分に気にかけています」

「そうなのですか?」

「ええ、顧客を大切にするためには社員も満足した状態で働いていないとできないことですからね」

「なるほど。ビジョンを徹底し、規律を重んじ、社員の自主性を信じる。それが顧客と社員のためにもなっているんですね」

「そのとおりですね」

「すばらしい! すばらしい会社ですね!!」

「とんでもない。いい会社にしたいだけのことですからーーしかし、我が社にもひとつ問題があるのですよ」

「ええ? こんな素晴らしい会社に問題が?」

「ええ」


「業績が悪いんですよ」




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