「好きな色はジェンダーフリー・フリーフォールド」ショートショート

「まぁ! おたくの娘さんは赤いランドセルなの!?」

「ええ、そうですよ」

「あらあら、ちゃんと選ばせたの??」

いまだにランドセルは健在だ。しかし、色の指定はない。
男の子は黒、女の子は赤、ということはない。自由に選んでいいのだ。

「はい。うちの子は赤がいいっていうから」

「あらー! あらあらあら、そうなの! うちは女の子だけれども、白を選んだのよー!」

「そうなんですか」

「そう! 女の子は赤やピンクっていう決めつけはよくないわよ!!」

「そうですね。でも、うちは自由に選ばせましたよ」

「そうはいっても親のことを子供はよくみてるものよ! 女性はこう! 男性はこう! ということを察して、そう思っちゃうのよ。だから十分に気をつけないといけないわよ!!」

「はぁ」

「性別でどうこうというのはすごく強烈な圧力なのよ!! 私たちがそういうものから子供を守らなくちゃいけないの!! まだまだ女性は女性は! ということがあるんだから! いまのうちからちゃんと分け隔てなく、性別による扱いの差をうまないようにしなくちゃいけないよ!!」

「そうですね」

「そうなの! 赤を選んだというのももう、女の子はこう!という圧力を感じてかもしれないわ!! そう言ったものは本当に繊細なことだから! 気をつけてあげなさいね!」

「はい」

「うちは最先端のそういった考えを取り入れて教育しているから、女の子だけれども、「本当に自分が好きな色」を選んだのよー」

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「いいなー。〇〇ちゃんのランドセル」

「どうして?」

「赤色なんだもん! 私、赤好きなの」

「えーそうなの? じゃあどうしてあなたの白のランドセルなの? 選べなかったの?」

「ううん、自分で選べたよ」

「じゃあ、どうして赤色じゃないの?」

「ママがね、赤色が好きっていうと怖い顔するから」


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