短編📕心の車椅子

心が落ち込んでいる時、一体何に例えば分かってもらえるのだろう。

ハートのクッションが車椅子に乗っている。
そのようなイメージだろうか。

私が話す人は年齢も性別もバラバラで。

一番聞くことは、
「見える病気だったら良かったのに」だった。

この言葉は重く受け止めなければいけないと思いました。

そして一番悩んでいたことは
「家族」でした…。
辛いね。

ハートがのった車椅子を、
以前は心配して自然と押してくれた。
同じ目線の高さにしゃがんでくれた。
段差があったら一緒に乗り越えて道を歩んだ。

優しかった。

今は放置されている。
いつからなのだろう。
「自分でも頑張ろうとしろよ」って怒鳴られたり怒られたりして。

頑張ってるんだよ。
見ようとしないから知らないだけで。
だから自分で一生懸命進んだよ。
いくら手が疲れても、時には怪我をしても、押してくれないから車輪を漕いだよ。
坂道があっても支えてくれないから、
大きな段差があっても、手伝ってもらえないから。

その内、私は動かなくなって、
家では隅に追いやられて。

どうしてご飯を食べる時は車椅子が入りやすいように、テーブルを一時的にでも動かすとかしてくれないの？

無理だよ。
こんな環境じゃ。
こんなに『孤独』じゃ無理だよ。
まだまだ手を借りたいのに、最初の優しさはどこへ行っちゃたの？
どうして話を聞いてくれないの？

やっぱり『親切』がもっともっと必要だよ。

そんなんだったら行きたくなるよ。
『優しい人』のところへ。

だって辛いんだもん。
きちんと心の病気を伝えているのに、分かろうとしない上っ面の人。
恐らく家族が一番当てはまる。

同じじゃ困る。
そのままを受け入れてもらわないと。
治ってないのだから。
それなりの接し方をしてくれないと。

それでも生き続けているんだから、
褒めてよ。

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発売元　幻冬舎　
著者　　月　葉月

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