超短編📕出版した本の中には気持ちが詰まっている

これから新しい道を私は切り開いていく。
そう決めたんだ。
きっと、あなたは変わらず同じ場所にいるのだろう。
それこそが周りの人の笑顔が増え、
幸せも増えるから。

いつもと同じ時間、同じ場所。
ベンチに座りながら、缶ビールを片手に。

私は今日、同じ時間と同じ場所で、いつもと違う気持ちで過ごしている。

「何かあったの？」彼は問いかけてきた。
「え？特に何もないですよ！」

私は嘘をついた。

「元気ないね」と言われた。
「そうですか？」と言うと、
「何かあっただろ？」と聞き出すように顔を近づけて来た。
ドキドキした…。
「どうして何かあった前提なのですか？特に…これと言っては…」
「あっそ。じゃぁ帰るね」そう言った彼に、私は何も言えなかった。
「あ、お疲れ様です！」そうして彼は去っていった。

私は思い出していた。

昨日、友達と話していた彼の楽しく笑う姿を。たまたま見かけたとは言え、ショックだった。それからずっと、私の時間は悲しいものとなっていた。
見た事の無い彼の姿。
友達が羨ましかった。
あんなに楽しそうな表情を初めて見た。
何かあったか聞かれても、一体なんて言えばいい？

今すぐ涙が出るくらい『好き』な気持ちが身体中を巡っていた。
その気持ちがバレないようにするには…。

神様…どうしたら良いですか？

素敵な体調の崩し方