ことの葉海溝~傾聴と言葉~
こんにちは ななるです。
いつもご愛読ありがとうございます。
母語と異なる言語で話すひとの話をきくときには、
言語の裏側に見え隠れする文化背景や語源を知っておくと
誤解が生じにくいかもしれません。という話。
フランス語と英語の間にある、翻訳の面白さ。
朝は15℃、最高気温も23℃。
夏が来ないまま、秋になりつつあるフランスです。
”I wonder where THE summer goes..."
つぶやいて、フランス語だとどう云うんだっけ?と思考が漂いました。
”I wonder where THE summer goes..."を日本語にするなら、「一体全体、今年の夏はどこに行ったんだろう?」でしょうか。
どうなんだろう、どうだろう、どうかな に相当する表現のI wonder をフランス語にすると、<<Je me demande>>だと云われます。
だからフランス語に訳すなら、<<Je me demande ou va l'ete...>>
ですがこの直訳、感覚的に何かが違う。私にはしっくりこない。
英語のI wonderは、漫画で描くなら雲のようなもくもくした吹き出しが、自分の内側や外側に突然出てくる、あるいは視界に飛び込むイメージです。存在感を示して行く手を阻む、見えそうで見えない・はっきりしない何か。
対してフランス語のJe me demandeは、言葉に強さがあります。内側にぐっと突き刺さる感じ。心の内側に深く踏み込む印象を受けます。明確に感知できる何かがそこにある、あるいは、意思をもって思考を捉えようとする行為そのものという印象を受けます。
フランス語 demander
demanderの語源は、ラテン語のdemandoとその語源である同じくラテン語のmandoにあります。
demondoの意味は、commitやentrust。信じるとか約束するとか、心と強いつながりを持っています。
さらに上流に上って、mando。commitやentrustの意味はもちろんあるけれど、orderやcommand の意味も持ちます。言葉に置き換えるのような意味もある。
英語 wonder
英辞郎さん無料版によると、Wonderは、
驚嘆する、簡単する(他動)
知りたいと思う、疑問に思う(他動)
~かどうかと思う、〔~を〕知りたいと思う(自動)
wonderは典型的な英語で、アングロ・サクソン語からゲルマン語を経て、現在のwonderに留まっています。
「典型的な英語」とは、ノルマン・コンクエスト以前に、グレートブリテン島で有機的に定着した言葉を意味すると考えてください。
wonderさらに源流を辿ると、ゲルマン祖語(Proto-Germanic)のwundrąに辿り着きます。
wundrąは確か、to desire(強く望む、願う)や strive after(追い求める)のほかに、wish for(欲しがる)やmiracle(奇跡)を意味していたように記憶します。不確かですが・・・。
またwundrąは、ドイツ語のwunderの語源でもあるのだけれど、wunderは不思議なこととか奇跡とか、信じられないこと、驚くべきことなどを意味します。Alice in Wonderlandのwonderと共通です。
現代においてmiracle(奇跡)は、超自然的の意味合いを含みます。
けれど「超自然的」は、自然とは何かがある程度定義されるようになって、自然の法則がある程度定義されたうえで生じる概念です。
ですから「自然の法則」では起きえないことが起きた!=奇跡だ!!と考える。
ゲルマン祖語が使われていたのが、紀元前5世紀以降だと云われますので、その当時は、目に見えるものと見えないもの程度の意識だったのでは?と想像します。
かなり乱暴でしょうが「自身の経験と照らし合わせて」驚くか、驚かないか、可能か可能でないかで『奇跡』が定義された、ある意味『存在を意識されない』境界線に隔たれた定義なのかとも感じます。
戻って、Wonder。
言語として使う中で、なんとなくぼんやりとした印象をうけるのは、もしかしたら『奇跡』に転じたようなどこかつかみどころのない曖昧な印象が、言葉の軸にあるから。とは、私の持論です。
前置きでどんどん長くなってきました・・・
続きは 後ほど。
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