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4月6日(月) Stay Home 11日目

朝、布団の中で目が覚めた瞬間からお腹が痛い。たぶん下す系の痛み。中年になってから体調の急変には慣れているものの、朝目覚めた瞬間からの痛みは初めてなので狼狽える。トイレと布団を往復。食あたりでもないし、なにか原因不明の救急の事態だったら、このご時世に嫌だなと思い、なんとかやり過ごす。

やっとのことで落ち着き起床したが、こんなに目覚めの悪い自分の誕生日は初めてだ。腹痛も、たぶんストレスなのではないかな、と自己分析。状況を気に病むことで、心と身体に負荷がかかっている模様。こんなに早く身体が綻びてしまうなんて、気が滅入る。心から身体、身体から心へと悪いものが移動して堂々巡りのよくない循環だ。

もうこれ以上歳をとってもうれしくない、誕生日なんてこなければいいのに、といつの日からか思ってしまっていたが、今日はいつもとはまったく心持ちが違う。健康で歳を重ねられるなんて幸せなことだ、毎年健康で楽しく幸せに歳を重ねていきたい、と想いを込める。毎年誕生日を迎えられることの当たり前の幸せに、なんだか気がついてしまった。朝からLINEで、たくさんの友達から続々と祝福メッセージが届く。誕生日を登録してあるので、自動的にFacebookでもお祝いコメントがたくさん届く。今まで生きていて、私の人生も捨てたもんじゃないなあ、とこういう時にしみじみする。

突然チャイムが鳴り、宅急便が届く。送り主には馴染みの名前。友人から、私と子どもにサプライズのプレゼントとカードが送られてきた。とてもうれしく、また、よく気がきく年下の友人の心遣いに痺れてしまった。大変な時にでも他人を思いやって具体的に行動できる人になりたい。こんな事態でも、私の誕生日を覚えていてくれて、その当日に贈り物を届けてくれる人。彼女はいつも私の先をいっている。

今日は午後一で、近隣に住むママ友たちと4人で初ZOOMお茶会予定。慌てて着替え、眉毛を描き、髪を整える。着替えたついでに、久しぶりにネックレスをつけてみる。アクセサリーは大好きだが、家にいる時は、来客がない限りピアスも指輪もネックレスもしない主義。つまり、ステイホームな現状はなにもつけていない。装飾品というのはなくてもいいものだが、あると気分が上がる。特にお気に入りのものを身に着けている時は、やはり心が弾むものだ。なくても困らないが、あると気持ちが高まるもの。誰のためでもない、自分をかわいがるための小道具。今日に限らず、育児中にはピアスもネックレスも引っ張られて壊れてしまうので、する機会が少なくなっていた。今日ネックレスをしたことで、今までいかに滅私奉子(公)していたかを痛感し、失われていた自尊心が少し蘇った気がした。朝からの腹痛で気持ちの落ち込みにとどめが刺されそうだったので、ネックレスで気分を高め、普通のテンションで話せますように、とZOOMに飛び込んだ。

お茶会中、夫が外に子どもを連れ出してくれていた。公園は人が多くて危険なように感じてしまうので、大家さんの駐車場へ。思いっきり走らせ、お気に入りの滑り台で遊ばせてあげたい。次にそんな日が来るのはいつになるのだろうか。想像するだけで泣けてくる。

夫はそのままスケボーの練習、私は離乳食の下ごしらえ。ふと、外から夫が私を呼ぶ声がする。何事かと、キッチン作業スペース横の小窓を開けると、近隣に住む友人夫婦が私に誕生祝いの花束を届けに来てくれていた。あまりのうれしさに、絶句。突然のことで気の利いたことがなにも言えない。目を丸くして、ひたすらお礼を述べる。ソーシャル・ディスタンスを気にしてドアノブに引っ掛けておこうと思ったが、たまたま夫がいたため、気がつかれてしまったとのこと。でも、顔が直接見られて、声が聞けて、話せてうれしい。友達と会えたのはいつぶりのことだろう。

近所の、いつも変わった花材を取り揃えているセンスのいい花屋さんでオーダーしてくれた、ダークなモーブピンクトーンのずっしりとしたブーケ。ニュアンスカラーがおしゃれで、部屋が一気に華やいだ。花束と一緒に、友人夫婦からの手紙が入っていた。お祝いと、今を生き抜けるようにと力強い励ましの言葉が添えてある。SNSを見ればいろいろな人の励ましの言葉がたくさん踊っているが、私のためを思い、私のために書いてくれた言葉は別格。

贈り物やお花もいただけたことで、自粛モードだった私の誕生日にもケーキが必要だと感じる午後4時。夫に「ケーキを買って、すぐに帰ってくる!」と言い残し、ダッシュで駅前のケーキ店へ。日頃から栄えている店だが、自粛ムードなど感じられないくらい混んでいることにびっくりした。みんなケーキをわざわざ買いに来て、家の中でケーキを食べているのか……。私もその中のひとりなのだが、ドアを開け放っているとはいえ、後から後からお客さんが入ってくる。マスクをしていない親子とちょっと距離が近すぎることを懸念して、一旦店外に退避。その方々が退出した後に改めて注文する。私は神経質になりすぎなのだろうか? テレビやインターネットで、気をつけろと言われていることを実践しているだけのつもりなのだが、自分のやり方とケーキ店の混み合い方に折り合いがつかない。

毎日毎日大人と子どもの食事を作り、食器を洗う日々と、現実と自分の気持ちとの乖離に、やる気スイッチが切れてしまった。明日からはもっと手抜きをしようと決める。

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