妊娠・出産は"綺麗事"だけじゃない。だからこそ想いに寄り添うサービスを
「目に映るものは、写真に残せる。でも、"気持ち" はどうやって残せばいいんだろう」
「子どもが大きくなったとき『あなたはこんなに愛されて生まれてきたんだよ』と当時のありのままの気持ちを伝えたい」
ママの毎日はとにかく慌ただしい。妊娠中はつわりなどの体の変化に悩まされ、出産後は慣れない育児に翻弄される。日常のなかに、子どもと過ごすかけがえのない瞬間がたくさん訪れるってわかっている。本当は一瞬たりとも忘れたくないけれど、ペンを握る余裕すらなくてモヤモヤする毎日。
そんなママに代わって妊娠・出産の想い出をつむいで手紙にする、「つむぎや」が今秋サービスを開始します。
最初は代表のあんどうまりこさんがひとりで運営していました。やがて、手紙を受け取ったママたちから「感動して何度も読み返している」「このサービスは絶対世の中のニーズがある」と高い評価を受け、ついにプロジェクトとして始動することになったのだそうです。
先日、本格始動にむけてクラウドファンディングへのチャレンジを表明したつむぎや。代表のまりこさんに、つむぎやにかける想いを伺いました。
あんどうまりこ
出産の代筆屋「つむぎや」の代表。本業は大手出版社に勤める編集者。
結婚後、排卵機能に問題が生じ妊娠しにくくなる「多嚢胞性卵巣症候群」と診断を受ける。妊活を経て第1子を妊娠、予定日よりも2ヶ月はやい妊娠31週で出産した。
■妊娠・出産の想いに向き合い、言語化するお手伝い
ーーまず、つむぎやのサービスについて教えてください。
つむぎやは、妊娠・出産の思い出を手紙にして届けるサービスです。妊娠出産は、ママにしか語れない物語がたくさんあります。「この瞬間を忘れたくない。でも毎日忙しくて記録する余裕がない……」つむぎやではそんなママたちに代わって、インタビューを通して想いを形にするお手伝いをしています。
ーーどうしてつむぎやを立ち上げようと思ったのですか?
ママは妊娠・出産を通して"感動"だけでなくたくさんの"苦悩"も経験します。いろんな想いを抱えながら、少しずつママになっていく。我が子に会えた喜びも、不安で人知れず泣いた夜も、私をママにしてくれた気持ちをまるごと保存しておけたら。そんな想いからつむぎやを始めました。
きっかけは、自分自身の妊娠・出産の体験です。私は妊活を経て授かった子を31週で出産しました。予定日よりも2ヶ月早く生まれたため、産後しばらくNICU(※新生児集中治療室)に入院。小さい体にたくさんの管を通された我が子を見て、「私がもっと頑張ればこんなことにはならなかったかもしれない」「抱っこすらしてあげられない」と何度も自分を責めました。後から振り返ってみると、どの瞬間も私たち親子にとってのかけがえのない時間だったと気付いたのですが、当時の私にはそう思える余裕がありませんでした。そのときに、「私と同じような想いを抱えているママはきっといるはずだ」と思ったんです。
産前産後の忙しいママ・余裕のないママの力になりたい。想いに寄り添い、形に残したい。そのため、つむぎやではママとの"対話"の時間を特に大事にしています。インタビュー中に想いが溢れて、泣いてしまうお客さまもいらっしゃいます。
ーー将来お子さまに手紙を渡すためにサービスを購入される方が多いそうですね。手紙を渡すおすすめのタイミングはあるのでしょうか?
お客さまがお子さまに思いを伝えたくなったタイミングや、お子さまお子さんが受け入れてくれるような年齢になったタイミングをおすすめしています。
たとえば、お子さまを叱ってしまったときやお子さまが思春期を迎えたとき。成長するにつれて子どもと衝突してしまう場面が増えてくると思います。そんなときに、手紙を通じて「あなたはこんなに愛されて生まれてきたんだよ」「あなたがそばにいてくれるだけで嬉しいんだよ」というママの気持ちが、お子さまに伝わるといいなと思っています。
ーーどんな方にサービスを購入して欲しいと考えていますか?
大きくなったお子さまへ送る手紙をいまのうちに残しておきたい人や、妊娠・出産の想いを家族と共有したい人はもちろん……妊娠したけれど出産に至らなかった方、妊活を中断した方、産後ひとりでつらい気持ちを抱えていらっしゃる方にも、つむぎやのサービスを通じて寄り添うことができればと思っています。
妊娠・出産というテーマで何かしらのを想いを抱えている人に寄り添って、言語化するお手伝いをしていきたいですね。楽しい気持ちだけじゃなくつらい気持ちにも向き合って、想いを手紙にしていく。その過程を通して、手紙に関わる人たちみんなが一歩先に進めるようなサービスにしていきたいです。
■たくさんの「想い」がこめられて、手紙は完成する
ーー手紙がお客さまに届くまでの流れを教えてください。
おおまかな手紙の納品までの流れは次の通りです。
1.事前ヒアリング:お申し込み後、インタビューの前にお客さまの疑問点・不安点を解消する時間を設けています。
2.インタビュー:文章にしたいテーマ(お子さまを授かったときの思い出や出産のときの想定外のできごと、お子さまのお名前の由来など)に合わせて、代筆者がお話を伺います。お客さまの”ありのままの気持ち”をお伺いできればと思っていますので、事前準備は必要ありません。
3.原稿のお渡し:インタビューから1ヶ月ほどで原稿をお届けします。少しお時間をいただきますが、到着まで手紙のデザインを選んでいただいたり、つむぎや公式LINEで手紙が形になっていく過程をお知らせしたりしますので、楽しんでお待ちいただけると嬉しいです。
4.確認・お戻し:原稿の内容をご確認のうえ、気になる点がございましたらお知らせください。修正後、再度ご確認いただき、納品準備をいたします。
5.ご納品:原稿のお戻しから約3週間を目安にご希望の手紙デザインで納品いたします。
つむぎやのこだわりのひとつが、すべての工程をつむぎやのメンバーで行っていること。インタビューも、執筆も、手紙のデザインも、LINEでのやりとりも……その他、つむぎやの公式ホームページやロゴまでも!お客さまの目に触れるもの、お届けするものは自分たちで作っているんです。
つむぎやは、私の”想い"に共感して集まってくれたメンバーばかり。そんなメンバーで創るサービスだからこそ、徹底的にお客さまの気持ちに寄り添ったものを生み出せると思っています。
■想いをひとつにして。つむぎやが挑む新たなステージ
ーーもともとはまりこさんがひとりで始めたつむぎやですが、このたびサービス拡大のためクラウドファンディングにチャレンジすることとなったそうですね。
つむぎやはもともとは、私自身や、家族や親しい友人に対して始めた活動でした。でも、手紙を受け取った人たちから「対話を通じて『本当はこんな想いを抱えていたんだ』と気付くことができた」「つらかったことも、嬉しかったことも家族と共有できて絆が深まった」と嬉しいお声をいただき、サービスとしての立ち上げを検討し始めました。さらに、以前利用していただいた方々につむぎやを立ち上げることを伝えたところ、何人かから「このサービスを広めるお手伝いがしたい」とご連絡をいただいたんです。
現在、つむぎやのメンバーは20人を超えました。メンバーの中には、元お客さまもいれば、SNSなどでつむぎやの活動を見て声をかけてくださった方もいます。
このメンバーと一緒なら、もっと多くのママに寄り添える。ひとりでも多くのママが、「手紙」を通じて前に進めるようになれれば。
そう思って、クラウドファンディングに挑戦することにしました。
つむぎやはまだスタートしたばかり。このチャレンジを通じて、これまで以上にお客さまに寄り添うサービスにしていきたいです。
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出産の代筆屋「つむぎや」クラウドファンディング
https://camp-fire.jp/projects/view/447771
あんどうまりこ
https://twitter.com/marikoando_