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仏蘭西生活記

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フランスに住んで考えたこと、気づいたこと
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#パリ

さよならパリ、たくさんのありがとうを!

突然ですが、今月で日本へお引越しすることになりました! パリを去るにあたって7年間のパリ生活総まとめを書きたかったのですが、この街で過ごした日々を一言にまとめてしまうのはどうにも難しそうです。でも帰国したらまた、バタバタと忙しい中でいまの気持ちはどこかへ忘れてしまうことでしょう。その前に何か残しておきたいので、とにかく書き出してみます。 小さなアパートの床を埋め尽くすように全ての持ち物をひっくり返し、必要なもの、誰かにあげるもの、処分するものと選別していく。本を一冊、服を

友だちの結婚式へ行く

フランス人の友人Lと、そのブラジル人の彼氏Bの結婚式に参加して来た。ドレスアップし小さなお花を頭にたくさん載せ、カラフルなセンスの良いブーケを持ったLは幸せそのもので、とっても可愛かった。 フランスの結婚式は市役所のホールで市長さんと共に行われる。市長さんのスピーチがあり、婚姻の宣誓を読み上げ、新郎新婦がこれに同意し、各々証人と共に書類にサインをすると婚姻成立だ。 拍手が鳴り止まない中、何度も見つめあいキスし合う2人の様子を見るとこみ上げるものがあった。 コロナ禍もあり

ある冬の朝、パリを想うこと

自転車に乗って十一区のアパートを出る。 冷たい風で耳が痛い。キャスケットじゃなくニット帽を被ってくればよかった。まだ夏時間だけど、朝はすっかり冬だった。夏と冬の個性に押し潰され秋はどこへ行ってしまったのだろう。秋を感じるのは近所の八百屋で南京と葡萄を見かける時くらいだろうか。 自転車を漕ぎ、パルマンチエ通りを北上し、ヴォルテール通りへと抜ける。夏時間が冬時間に変わる前の朝は特に暗い。見上げると灰色の分厚い空が建物に切り取られている。 六時一五分。 七時前に郊外の撮影ス

俳優とばったり遭遇する街、パリ

マレ地区を散歩していた時のこと。ギャラリーの入り口に貼られたポスターを見ていると、中から出てきたムッシューが「ここ、よかったよ」とニコッと教えてくれた。 後からパートナーに「さっきのムッシュー誰だかわかった?」と聞かれ、驚きました。なんと俳優のダニエル・オートゥイユだったと言うのです!全然分かりませんでした! ダニエル・オートゥイユといえば、『メルシィ!人生』。 コンドーム会社に勤める主人公が突然解雇を言い渡され、思い詰まってベランダから飛び降りようとするところを隣人に

山でダラダラするか、街でダラダラするか

久しぶりにパートナーの母とその旦那さんのお家に遊びに行って来た。 義母たちはパリから電車を乗り継ぎ5時間、さらに最寄りの駅から車で30分ほどの山の上に住んでいる。人口6人の小さな村だ。 猫4匹と暮らす大きな家にはお庭とテラス、それに屋根裏部屋と地下室があって、遊びに行くといつも屋根裏部屋に泊まっている。 一度、ノミが大量発生して全身を噛まれてからしばらく訪ねていなかったのだけど、今年はノミ対策をしっかりされたようで、去年のように足が水玉模様になることはなかった。 家の前に

パリで滞在許可証の身分を学生から配偶者に変更する方法

この度ようやく滞在許可証の更新及び身分変更に成功いたしました。 学生から配偶者への身分変更についてあんまり情報がなかったので、ここにまとめておこうと思います。 ※滞在許可証の更新に必要な書類や条件、手続き方法は常に変わる可能性があります。また対応する窓口の人によって求めてくる書類が変わるので、あくまで参考程度にご笑覧くださいませ。 1 とにかくまずはRDVを取る しまった!滞在許可証の期限が切れる!と気づいたのが期限切れの一ヶ月前。多分三ヶ月前もしくは二ヶ月前からRDV

”日本好き”フランス人に困惑する

パリには日本好きなフランス人がたくさんいます。 どこの出身かと聞かれ「日本」と答えると、日本大好き!、日本に行くのが夢なの!、バカンスで日本に行って最高だった!こんな素晴らしい国はないよね!、日本食大好き!毎日食べれる!などなど概ねポジティブな反応をいただけます。 フランスに憧れる日本人がたくさんいるように、日本に憧れるフランス人も思った以上にいて、今のところ日本人ということで特別に嫌な思いをしたことはないし、会話のきっかけにもなる。自分の国に興味を持ってくれている人がい

ふつうの人生

パートナーの友人カップルで、私も仲良くさせてもらっているVとSに会ってきた。Vはフランス人、Sはオーストリア人。つい1ヶ月半前にVが男の子を生んだばかりだ。まだ人間というよりは虫のような小さな生命がぽこんと現れて、ふたりの腕の間を行き来しているのを見ると不思議な気持ちになる。 4人で話していたのが、いつの間にかVとうちのパートナー、Sと私、と会話がふたつに分かれた。最近はどうしているのか、仕事はどうかとSに尋ねる。 Sはオーストリアの地方の小さな町に大きな家を持っていて、

パリコレで感動したこと : 写真を撮る意味

ファッションウィークでストリートスナップを撮り始めたときのこと。今でも忘れないことがあります。 2016年。ドキドキしながらカメラを抱え、ショー会場に向かいました。 会場前はひどい人混みです。有名なファッション雑誌にスナップ写真を撮っているカメラマンたちがいます。そしてそれ以上に多くのアマチュアカメラマンやインスタグラマーたちで溢れかえっています。そこに招待客や時にはボディーガードなどが混ざり合って、会場辺りは大変な騒ぎになります。 その中に、一際キラリと光るカメラマン

フランス人とヴァカンスと、ワクチン

衣替えをしたのにセーターを引っ張り出してこないといけないような、肌寒い日が続いていたパリですが、ここ1週間でようやく夏らしい気候になってきました。フランスの夏と言えば、ヴァカンス!日本にいた時には信じられませんでしたが、パリに住み始めて驚きました。フランス人は本当に夏1ヶ月まるまるヴァカンスへと旅立ちます。もちろん貧富の差もありますし、仕事によっては休みを取れない人もいるでしょう。が、私の周りでは夏は働かない人が過半数です。正社員や公務員であれば年間5週間の有給の取得が保証さ

ロックダウン忘備録

2020年3月17日に第1回目のロックダウンが実施されてから、あっという間に1年が経ちました。ただいまパリ及びフランス全土で第3回目のロックダウンが行われています。 この1年、驚くほど早く過ぎ去って行きました。 はて、私は何をしていたんだろう?ロックダウン以降の生活ってどんな感じだったんだっけ?全然思い出せません。1年という時間がすっぽり抜け落ちてしまったようです。このまま時間が蒸発し消えてしまう前に、在仏日本大使館から送られてくるメールをもとに、ロックダウン&夜間外出規

新しい、初対面でタブーな話題

フォトグラファーのアシスタントをしていると、撮影の度にいろんな人に出会います。大人の一般常識として、初対面の人と会話するときに避けるべき話題がいろいろありますよね。例えば政治と宗教の話。 それに加えてパリで働いているといろんな国籍の人、様々なバックグラウンドを抱えている人がいます。撮影現場に10人いると、10人みんな国籍が違う、なんてこともあります。肌の色も見た目も違います。政治や宗教の話題に加えて国籍や出身地もデリケートな話題だと感じます。 例えば、イギリス人のフォトグ