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勝手に1日1推し 213日目 「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」アンディ・ウィアー    小説

どきどき、わくわく、あわあわ、うるうる・・・ほんっとうに面白かった!!面白過ぎて息継ぎ忘れた!!下巻はマジで止まらなかった!!

未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある世界。謎を解くべく宇宙へ飛び立った男は、ただ一人人類を救うミッションに挑む!

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ST作家さんって凄いよなって改めて思います。脳がさ、脳が凄いよなって。
だってさ、理数系の脳と文系の脳が必要じゃんっなりません?
例えば、振り子の揺れの数を何万回も数えて、どうしてそれをする必要があるのか、とか、それによって何が分かるのか、とかを言語化して説明しつつ、だからといって学術的な話ではなくて、物語の上で最低限必要な情報としてあくまでストーリーテリングの一部として語っている訳で、ほんと、脳がさ、脳がどうなってんの?ってなります。
それって凄くない?って改めて感じました。
まず、そんな根気よく振り子の揺れる数を数えてられるぅ?ってなるの。絶対に無理なんですけど。狂う。理数系の脳の欠如が甚だしい私なもので、これ出来る人、興味深過ぎるし羨望の眼差しぃ。そういや「Dr.Stone」でもしょっぱなから千空が過ぎたる年数を数えていたね・・・。”果てしなく数が数えられる人”と書いて”科学者”と読むことにしましょう。

本作ってほんと、ネタバレしちゃったら楽しみを半分は奪っちゃうと思うから、心してかからねば。推す意味が半減しちゃわないようにせねば。って悩ましいけど、言いたいから言う。

あらすじの通り、地球を救うミッションを背負い宇宙へ旅立った男、グレース博士の物語なんですが、これが、非常に巧妙に何層もの仕掛けがしてあってですねぇ、やめられないのよ、読むのを。

まずは、タイトルの「ヘイル・メアリー計画」についてですが、既にプロジェクトの内容が、大っぴらに明かされているんですよね、はい。
「ヘイル・メアリー」とは、アメフトの試合終盤に劣勢のチームが一発逆転を狙って投げる一か八かの神頼み的パスのことなんですって。つまり、一か八か計画、起死回生の一手を担った計画だってことが、既に分かった状態からスタートするって寸法です。
で、読み始めると、どんな計画なのか、以前にミステリから入っていくという意外性!主人公自身が自分が何者なのか??なぜここ、宇宙にいるのか???分かってない????そっから?!なんですよ。
主人公グレースが、読者と同じ目線で手放しの謎を追うところから始まるんだもの、たまらない。彼の記憶と現在とが入れ子で進む構成のテンポの良さでぐいぐい読んでっちゃう。ヒロイックじゃない主人公も良きです。

覚醒後、結構すぐに科学者思考全開で、振り子の揺れの数から現状を導きだす様は、マジで印象的過ぎて忘れられない。すげ!ってなります。パニック状態の時にあんなに冷静になれないのよ、文系は。あれこれストーリーが思い浮かんで感情が発動するからさ(?)。
で、徐々に詳細が分かってくると同時に船内での科学実験が繰り返され、ミッションを遂行していくんですよ。まぁ、面白い。
理解出来ない、まではいかない程度の科学的情報と、そのSF具合にリアリティが感じられるんですよね。あぁ、そういうことね!なるほど!って納得出来るし、ネーミングが身近だったりするので、親しみが持てたりもするし。
てか、この異常な暑さだとか尋常じゃない雨の降り方だとか、明らかなる地球の異変が身に染みる環境下にいる私たちな訳ですから、現実味がありまくって然りですよね。
上巻クライマックスは、アッと驚いて、続きが気になって寝れないし、続く下巻は感動のバディもので、読むのをやめられなくて寝れない。寝不足ぅ。
どんだけ詰め込んでんだ!!

最後まで、はらはらさせられっぱなしで手に汗握って声まで出ちゃう展開ですYO!本気で飽きさせない!!
終わり方も最高で、筋の通った主人公の人物像がラストでより強固となった気がしました。子供たちや未来へのメッセージとしても受け取れます。

なんか、SFなんだけどファンタジーっぽいというか、まぁ、大きい意味ではSFもファンタジーと言えるのかもしれないけれど、科学的プロットに負けない情緒&冒険味のある物語性が、とてもとても好きでした!
とにかく、文句なく面白いです!!!

てか、思ったのが、情緒優勢的(感情的)傾向にある人たちにも、科学的(論理的)思考って必要だなってことです。問題解決能力が素晴らしい!!
大きな問題も小さな問題も、漠然とした不安なんかも、1つ1つ明確化し、分析、精査する。そして、それを1つ1つ潰していくっていう、理路整然とした思考回路から導き出す解決方法って大切だし、とても健全だなって思いました。日々善処していきたいと思います。

ライアン・ゴズリングで映画化されるらしいッスね。超見たい!!楽しみです!!!!
「オデッセイ」の原作もジョン・ウィアーなんですね。知らなかった・・・。

確信に触れられなくてもどかしい推し方になってしまいましたが、読んで損なしのエンタメSF作。
災害級のクソ暑さが続く中、外なんて出てられるか!室内で違世界に旅立てますので、是非是非是非!!

ちなみに、SF作家だとフィリップ・K・ディックとかロバート・A・ハイラインとか、レイ・ブラッドベリとかカート・ヴォネガットが大好きです。劉慈欣の「三体」は正直私には難し過ぎたなあって思います。そんな私好みなSF作品だってことも指標になるかもしれないので、記しておきます。

ということで、推します。

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