勝手に1日1推し 39日目 「百日紅」

「百日紅」杉浦日向子     漫画

江戸時代って魅力的ですね。あれだけ長く続いたのは、きっと庶民の時代だったからなのでしょう。支配から解放された時代だと思えば、そりゃ色々花開いたわけで、魅力的でないはずがないですね!

杉浦日向子先生の江戸物を読むと本当に生き生きと町人たちの生活が描かれており、江戸時代に本気でタイムスリップしたくなります。「JIN」ですよ。仁になりたし。(読んだことありません(汗))何やら、ノーマネーでも余裕で生きていけたっぽいし、何でも仕事になったっぽいし、食べ物は美味しそうだし、とにかく楽しいに違いないですわ。「一日江戸人」を読むと最高潮に妄想に浸れます。

町人が時代を切り開いた江戸では、もちろん、後世に残る文化の礎が築かれました。浮世絵、歌舞伎、落語、相撲などなど。すごいやん、江戸!アッパレ、江戸。

そんな江戸の暮らしと文化、風俗が楽しめる「百日紅」。伝説の絵師、葛飾北斎と、その娘、お栄ちゃん、弟子の善次郎のお話です。

現代より、季節に、感情に、欲に、正直に暮らす人々がとても新鮮で羨ましく感じます。

生活に根付く絵を描くということ、それは、意外にも職業とすっぱり割り切っていたりして面白いし、お栄ちゃんや善次郎の抱える男女の葛藤、才能の有無による葛藤、そして、恋は、とても普遍的な悩みだなあって思うし、バラエティーに富んだ描き方で、かなりの長編ですがあっという間に読み進んでしまいます。良く知る歴史上の絵師が多数登場しているので、親近感を持って楽しめますし、意外な風俗を知ることもできます。

更に、人と異形とが共存している感もたまらないのが江戸時代ですので、そこも見どころです!!現代人より多様な感性を持っているのが江戸人だったと、私は考察しております。

昨年「富嶽三十六景」、46図を鑑賞する機会がありましたが、やはり凄い絵師だな、北斎よ。と思う次第です。でもお栄ちゃんのことをアゴとか呼ぶなよな、父!なんか、ヤダ。

そいうえば、漫画の絵や描写、構図も浮世絵っぽいなあって、読み返してみて思いました。

原恵一監督がアニメ映画化した本作もいいです!

「百物語」、「合葬」もいい!ああ、好き。杉浦日向子先生作品、大好き。

ということで、推します。




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