デザインと映像制作の加藤・加藤和博さんの視点|舞台チラシリサーチ
舞台公演のチラシ。データでの情報発信が簡単な現代ではありますが、目の前の人にすぐご案内ができる紙の「チラシ」は、データでの宣伝と並行しつつ、大切な存在として残りつづけていくと思っています。
これから先、チラシは、舞台芸術の広報活動において、どのように活かしていけるのだろうーー
私は、舞台芸術業界の創客を目的として、舞台公演のチラシについて、製作/配布/アーカイブ化に関するリサーチを実施しています。
このnoteでは、舞台チラシリサーチの回答を記事にしてまとめ、届けていきます。今回は、チラシの製作に欠かせない「デザイン」の視点から。
今回は、デザインと映像制作の加藤・加藤和博さんにご回答いただいた内容を、シェアいたします。
《舞台チラシリサーチ》
デザインと映像制作の加藤・加藤和博さんの視点
ーー現在は、どのようなデザインの依頼を受けていますか
加藤:舞台・お笑いライブ等で、チラシを含むビジュアル全般を手掛けています(ロゴマークやパンフ・グッズ等)。また、企業の広報映像や印刷物、TVタイトル等のデザインもしています。
ーー舞台公演のチラシデザインを手掛けるようになったきっかけは何ですか
加藤:友人の劇団(ブラボーカンパニー:主宰・福田雄一)から依頼を受けたのが最初です。以降も、その劇団で関わったスタッフさんや役者さんから、他団体のチラシデザインの依頼をいただくようになりました。それがまた次へとつながっている感じです。また、宣伝美術きっかけでテレビなどの仕事(タイトルや映像制作)もいただくようになりました。
ーーこれまで手掛けられたデザインを、ぜひ教えてください!
ーージャンルの異なる、演劇・お笑い、両方の宣伝美術を手掛けられていますが、デザインするにあたり、各ジャンルでの違い、あるいは共通点はございますか。
加藤:演劇だから、お笑いだから、というのは特にないです。物語のあるものは、その世界観をどう伝えるか。出演者メインであれば、そのキャラクターの魅力をどう伝えるか。ジャンルでどうこうすると言うよりは、作品ごとの最適な伝え方を考えてデザインしています。
ーーデザインされる際に、大切にされていることをお伺いしたいです。
加藤:宣伝美術の役割は、どれだけ集客につなげることができるかだと思うので、カンパニーやお馴染みのお客さんだけではなく、無関係な外部の人にも公演の存在や情報を届けられるかを意識しています。なので、自分のチラシが折り込まれた公演を観る際は、前の席の人がチラシの束をめくっていると、「自分デザインのチラシで手を止めろ〜、めくって裏面見ろ〜」と念を送ってます。
実際の制作にあたっては、チラシの表面と裏面に、図版やテキストがただレイアウトされた紙片ではなく、手に取って触って読み込んでもらう一つのモノ(アイテム)として、存在感が感じられる”しかけ”のあるデザインを心がけています。
ーーデザインのお仕事には、2000年頃から携わられていますね……!この20年、舞台業界のチラシデザインは、どのように変遷しているとお感じになりますか……?
加藤:舞台業界の隅っこにいるだけなので、全体的なことはわかりませんが、デジタルな環境が身近になって、小さなカンパニーでもきちんと作っているなあというチラシが増えているようには思います。ネット印刷などで安価にできたり、特殊印刷も様々なものが手軽にできるようになっているので、モノとしてチャレンジングなデザインのチラシがたくさん出てきたら楽しいですね。
ーーこれから先の舞台チラシに期待することがありましたら、お聞かせください。
加藤:最近はSNSが宣伝の主流になりつつありますが、演劇は映像で残されることも少なく、その記録媒体としてもチラシは重要な役割を担うものであると思うので、いつまでも作り続けられて欲しいです。そういう意味でも、チラシラジオさんの活動はとてもありがたいです。
また、チラシはただで手に入れられる公演グッズなので、ぜひ手に取って持ち帰り、記念にとっておいていただけたら嬉しいです。
◉舞台チラシのリサーチにご協力ください◉
舞台芸術業界の創客を目的として、舞台チラシの 製作/配布/アーカイブ化に関するリサーチを実施しています。
《対象:全国の舞台業界/印刷・デザイン業界/舞台ファンの方々》
まずは、こちらのnoteをご覧いただけると嬉しいです。