デザイナー・小田善久さんの視点|舞台チラシリサーチ
舞台公演のチラシ。データでの情報発信が簡単な現代ではありますが、目の前の人にすぐご案内ができる紙の「チラシ」は、データでの宣伝と並行しつつ、大切な存在として残りつづけていくと思っています。
これから先、チラシは、舞台芸術の広報活動において、どのように活かしていけるのだろうーー
私は、舞台芸術業界の創客を目的として、舞台公演のチラシについて、製作/配布/アーカイブ化に関するリサーチを実施しています。
このnoteでは、舞台チラシリサーチの回答を記事にしてまとめ、届けていきます。今回は、チラシの製作に欠かせない「デザイン」の視点から。デザイナー・小田善久さんにご回答いただいた内容を、シェアいたします。
《舞台チラシリサーチ》
デザイナー・小田善久さんの視点
ーー現在は、どのようなデザインの依頼を受けていますか
小田:演劇・音楽会など舞台表現全般の、フライヤーやポスター、パンフレット、チケット等です。古くはロマンチカ、H・アール・カオス、OM-2から、文学座、青年劇場、結城座、こんにゃく座、オペラシティ、楽園王、黒テント、ACO沖縄、ウテン結構、各芸術財団など、担当した団体は演劇、音楽、ダンス、能狂言、クラシック、アイドルなど多岐にわたります。
ーー舞台公演の宣伝物デザインが中心ですね。そのきっかけは何でしたか……?
小田:学生時代に絵を描いていて、舞台をモチーフにしていました。緞帳を描き入れるだけで全てが虚構になることに興味がありました。それを観た友人が劇団に所属していて、舞台美術やってみないか?と誘われて、黄色舞伎團2の現場に入りました。その縁でチラシもやるようになり、その劇団の主宰が劇場もやっていて、そこに出る劇団のチラシもやるようになって、、あとはわらしべ長者的に、笑。それがきっかけですね。
例えば、あるダンサーのフライヤーを作ったら、そのダンサーのファンの劇団が私達のも作ってください〜その劇団のファンのダンスカンパニーが私達にも〜そのカンパニーが出演するアートフェスティバルのチラシも…。あるいは、お互いかけだしのころ、別の劇団のスタッフとよく酒飲んだりしていて、10年後くらいに某芸術財団に勤務していて「まだ芝居のチラシ作ってる?ちょっとお願いしたいんだけど…」みたいな感じです。。
ーーデザインを手掛けるときに、大切にされていることは何ですか
小田:あくまで主役はそのカンパニー、表現作品であるということです。
フライヤーはその公演に於いて社会に対して最初に表出する大切なものなので、作品やカンパニーごとにデザインテイストを変えています。また、そうあるべきと考えています。劇団名を差し替えても成立してしまうことのないようにしています。ですからデザイナーの主張はなるべく出さないようにしています。
それからタイトル文字は基本的にはタイポグラフをオリジナルで作ります。その数文字の文字間、フォルム、テクスチャをとても大切にしていて凄く拘っています。
あとは時代を見ることです。やはり、フライヤーは文化のひとつなので、その時代時代があらわれていいものだと思っています。だから、日々まだまだ勉強です。笑
ーー長く続けられている、モチベーションがありましたら、ぜひお聞かせください
小田:舞台公演のチラシづくりでは、デザイン打ち合わせの際に台本が完成していないことがほとんどです。しかし、演出家や脚本家など年齢や性別、国籍のことなるアーティストと、ディスカッションしながらデザインのイメージを探っていくことに醍醐味を感じています。表現の「核」の話をできる点が、とても楽しいですし、私自身の財産だと思っています。また、いろいろなジャンルの表現に携われることも魅力ですね。最近では合唱コンサートやアイドルのビジュアル作りにも取り組んでいて、今までにないデザイン表現の勉強にもなっています。
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舞台芸術業界の創客を目的として、舞台チラシの 製作/配布/アーカイブ化に関するリサーチを実施しています。
《対象:全国の舞台業界/印刷・デザイン業界/舞台ファンの方々》
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