【エッセイ】深夜パニック
昨晩、久しぶりにパニック発作が起きる寸前までいった。
きっかけは言葉で説明するのが難しい症状で、それは、心臓があるべきところにいない、ふわふわと浮いているような不安定な感覚。生命を維持する為に必要不可欠な存在が、自分の体からすぅっと出ていくかのような恐怖の感覚。どれも予期不安を掻き立てるには充分すぎる症状。
久しぶりのこの感覚に冷や汗が滲んだ。
またパニック障害が酷かったあの頃に戻るのか、と思ったら怖くて怖くて仕方がなくて、掛け布団をぎゅうと握りしめた。抗不安薬も飲んだし、5日前に処方された抗うつ漢方も処方された通りに飲んでいるのに、どうして心臓はこんなに私の体から逃げようとするのだろう。
昨日行く予定だったディズニーシーを「酷暑で倒れそう」という理由で泣く泣く諦めたことが心に傷を付けているのだろうか。
でもあの判断は正しかったと思う。行ったとしても気温は35°で、日光は痛いほど降り注いで、おまけに午後は大雨。行かなくて良かったと思うのは本当だけど、でもディズニー…行きたかったな。私の身体が強ければこんなことには…って、こうして自責が始まる。
そういう無意識のうちに行っている自責、辞めたいと思っていても辞められない。もう癖になってしまっている。そんな日常で、少しのショックを与えられれば簡単に壊れてしまう。「行きたかったディズニーに行けなかった」ってだけで。
パニック発作が起きる寸前に、私は咄嗟にスマホを取り出してYoutubeを流し出した。普段見慣れているバラエティ系Youtuberの音声が細々と聴こえる。(深夜だから大きな音を出せない)
小さい音ながらも、そこからは楽しそうに企画を遂行し、笑い声を上げている聞き慣れた人たちの声。そこに意識を向けていると徐々に不安感は消えていった。どこかに行ってしまったかのように感じていた心臓も、いつの間にか定位置に戻って来ている。
私はその笑い声を聴きながらそのまま眠りについた。Youtubeは所詮その場しのぎの対策だったから何も文句はないし、寧ろ助けられた。
けど心身にこびりついたパニックの恐怖は、災害に遭う悪夢となって私を襲った。寝起きの私は、昨晩の恐怖と悪夢を想起し、鉛のように重たい身体をしばらく動かすことができなかった。
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