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耳から広がる世界

iPhoneに備わっている機能に、「画面の読み上げ」というものがある。

(最も、私もこのnoteをきっかけに最近知って使い始めた機能です。非常に役に立っているため、機能の利用方法を紹介してくださっているブログもここに掲載させていただきます。http://tetumemo.com/post-7164/

どんな画面も読み上げてくれるのだが、私の日常においては、主にkindle内の書籍を読み上げる機能として活躍している。自動で次のページに進んでくれることもあり、別の作業をしながら本を読むときなど、非常に使い勝手が良いと感じていた。

ただやはり、目で読むよりも読むスピードは遅くなる。いくら読み上げスピードを上げて聞き取れる限界にしたとしても、文字を目で追う方が圧倒的に速い。そんなの当たり前なのだが、使い始めた当初は、「速い、速い!この機能さえあればものすごく読書がはかどる!」と思っていた。

さて、本題に入る。この読み上げ機能、内容を理解するという点においては視覚を介した速読に取って代わることこそなかったが、書籍の新しい可能性を感じさせることになった。

それは、想像力の広がり、爆発、暴走であり、妄想力とも言い換えられるのかもしれない。ここでは幼き日の本の読み聞かせを思い返しながら「読み聞かせ効果」と穏やかに表すことにする。

書籍の映画化に際して「私の想像していた主人公はこんな顔じゃなかった」などと、読書で得た自分のイメージが映画で見せられる像によって壊れてしまうことを嘆く人がいる。ただし、書籍の場合、やはり読んでいる時に入る文字の並びというビジュアルが、想像力の膨らみをある程度縮小するように私は思う。好きな物語でこそ登場人物の顔や声の想像が浮かんだりするが、例えば実用書やノンフィクションの場合、よほど有名で知っている人以外顔を思い浮かべることもないのではないか。

それが、「読み聞かせ効果」をまとった文章だとどうだったかというと。
話に上がる人々が続々と目の前に現れて、歩き、話し、笑った。確かな顔は見えないけれども、はっきりそこに人として登場して人として振る舞った。寝ている間に夢を見ていたような感覚だった。

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効率的に情報を処理する能力は、今の時代を生きていく上でとても重要だ。必要な情報だけを手に入れるために、膨大な資料に検索をかけ該当するところを中心に読む、そういう文字との接し方が常になる。ともすると物語でも、場面設定だったり、情景描写だったりをなんとなく読んだ気になっていたら、大切なところをすっと読み落としてしまっていることもある。

言葉そのものやその並びテンポ、そういうものすべてに味わいがあって、それを感じずに本を閉じてしまうのはもったいない、と当たり前のことを再認識することになった「読み聞かせ効果」との出会い。

視覚の圧倒的な支配力から解き放たれ、“耳の向くまま”にいろんな本や、資料や、画面をとりあえず読み上げてみたら、今までみえなかった世界が眼前に広がるかもしれない。そんな期待をこめて、ここに読み上げ機能を紹介させてもらう。

「読み聞かせ効果」と命名した理由は、絵本でない本の読み聞かせで一番覚えているのが『ハリーポッター』で、当時小学生だった私は知らない魔法の世界に毎晩連れて行かれてとても怖かったことがいろんな妄想とともに思い出されたからでした。


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最後まで読んでいただきありがとうございます。こうして言葉を介して繋がれることがとても嬉しいです。