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天尊ぶ、甲羅のきみへ

今日、病院の待合室にて、

字幕つきのTVをやっていた。

生命のこと、地球の生命たちのことを描いていたブラウン管の中で

大きな海がめの産卵の様子を伝えていた。

月夜の晩なのか、潮が満ちるときに、砂浜に現れて産み、

また海へと帰っていくその様子。

潮の満ちひきがいたずらをして、

亀たちがやってきた海は、大きな岩場がごつごつせせりだして、

海までたどりつけなくなってしまっていた。

岩場を必死に歩きながら進んでいく亀たち、

けれど、岩による傷で、血が流れ

水もない干上がった場所で、太陽の光もいたずらをし、

動けなくなってゆく亀たち。

もう動かなくなってしまった亀たち。

しかし、潮が満ちてきて、少しずつ岩が隠れてゆき

水面に顔を出す亀たち。

けれど、その一匹が、大きな岩場に乗ったまま、

動けなくなって、涙も干上がった落ち窪んだ

やがて死を待たなければ成らない目を

俯かせながら、眼下に広がる海をみていた。

彼のところは、いたずらにも

少し高い岩場だったのだ。

水が染みこんできたとき、低い場所にいたものたちは、

すぐに、海水を飲み込むことができたのに、

彼は、高い岩場を目指してしまった。

日照り来る太陽に、そのあつさに、

海面が、彼をぬらすまで、持たないかもしれないと思ったとき、

勢いよく、潮が満ちてきた浜で、

彼の乗った大岩に波が押し寄せて、

その恩恵たる水しぶきが、舞い上がり、彼の落ち窪んだ黒い目と顔をぬらした。

彼は、その海水が、自らをぬらした、その瞬間、

うなだれていた顔をあげて、その照り注ぐ太陽の方を、見上げたのだった!

彼の顔はもう、黒づみ、落ち窪んでなどいなかった。

太陽が降り注ぐ、その光のエネルギーを仰ぎ見るように、

彼は、水でぬれた顔をもちあげ、光の中、空をみあげた。

わたしは、その瞬間、

この感情を知っている!と思った。

もう自分はだめかもしれないと、きっと彼も思っていた。

けれど、その瞬間に顔に降った水しぶきによって、

光の世界を見せられた。

自分には、まだ生きる力が残っている。

自分だけが、ひっそりと誰も知らぬ間に、いなくなることはなく、

この小さな自分をも、神様は見放しはしていない。

嬉しい!歓喜だ!

この一片の水しぶきこそ、

神様が、自分を愛してくれていると教えてくれる合図だ。

なんて、嬉しい。

天は、私をみていてくれた。

そして、大きな怖れで支配されていた心には、

神様からの愛で満ち溢れている。

生命だ!天に与えられた生命の合図だ!

この小さな命の周りに、

神様のサインでいっぱいだ!

生命がほとばしるように、嬉しさが、

生きることの安心と、

神との約束が、目の前で鮮明になる。

ああ、生きている。

私は見放されていなかった。

光よ、

この生命の喜びをありがとう

命の創造よ

天からの光よ

あらゆる生命の計らいよ

私を助けたもうた者たちよ

光よ、ありがとう!

私の生命は、自由

自由の息吹

天なる神とわたしの生命の光と

なんと、一体なことか。


ブラウン管をみながら、

嬉々として、生命の歩む、命の喜びが、

私の中でも同じく湧き出した。

私は、亀の気持ち、まなざしがわかった。

そう、わかった。


きっと、わたしたちは、亀であっても、動物であっても、

人であっても、

それ自体の魂が持っている、天を仰ぎ見る

見えない大きな神を、感じ、源の愛を感じる習性は、

同じだと思う。

私が亀にみた、

ほとばしる生命の生きている喜び、

あれは、

きっと、私たちの歩んでゆく道の起源。

生まれたときに、感じたはず。

生命は、平等。

いつでも、そこから新しい命をはじめられる。

昔がよかった。今は、現代はダメだ、なんて思わない。

昔の時代の人たちが、正しい生き方をしていたとして、

きっと、今、現代で生きている私たちは、

ココにあることが、生で、あり、与えらている神様からの愛、恩恵。

感情の嬉々を、命が与えられた喜びを、

「わたし」というものが、

何をどんな創造をしたいかを、

いつも、命に問いただして

この大きな海原を泳いでいければいいと思う。

過ちも、過去の精算も、

今を生きるものたちには、新しく生まれ変わる意識を

与えられている。

生まれ変わる自由が与えられている。

生命が。

良きものを創造し、

自分の生命の原動力をつかって、創造をふくらませ

自然を敬虔し、誰にも敬いをもって、

自分の命が、喜びと愛の創造でふくらんだ、大きな宇宙を

この世界にほとばしらせながら

愛と光と自由を生み出していきたい。

亀のその横顔は、

いつかの者たちであるように。





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