後ろ姿

今まで何度
子どもたちの後ろ姿を見送っただろう

小さな体が隠れるくらいの
大きなランドセルを背負った
後ろ姿

お友達との合流地点まで
1人で歩く後ろ姿

中学生と小学生
姉弟で歩く後ろ姿

クラスマッチの日は
飛び出すように走って行ったっけ

小学校最後の登校
いつものように
必ずあの場所で振り返って手を振る

今日はまた
アパートに戻る娘を見送った

子どもが成長して
親から離れていく過程は
小さいころの自転車の練習に似ている

補助輪を外したばかりのときは
子どもの全体重が支える手にかかる

しっかり支えて後ろから
「大丈夫！ちゃんと乗れてるよ」
と励まし続ける

そのうち
支える力が軽くなり

倒れそうな時や
倒れた時にだけ手を貸す

やがて
自走できるようになった時
「もう手を離してるよ！乗れてるよ」
そっと手を離す

1人で自由自在に自転車に乗っている時の嬉しそうな顔
その顔を見ているだけで幸せな気分になれた

親に出来ることは
そうたくさんはない

子どもが辛いときも悲しいときも
試合のときも受験のときも
寄り添い見守るだけ

とりわけ私は
いつも通りのご飯を作るだけ

ただそれだけ