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枇杷はもらうものだと思ってた


橙色でコロンとした果物は
季節になるとご近所の庭先にコレでもかと実っていた。

木の下でウロウロしていれば、ビニール袋いっぱいの枇杷を貰えることも珍しくなかった。

『枇杷はその辺にある果物』

だった幼少期。


私は果物が大好きだ。
ケーキよりも、スナック菓子よりも
果物を選ぶ。

一人暮らしをし始めて、妹弟に分け与えていた分を分けなくて良くなった時、一番嬉しかった食べ物が果物だ。
結果として葡萄を食べすぎて体調を崩すという事態にもなったが、果物はやめられない。

そんな一人暮らしをはじめたばかりのころ。
私はスーパーの枇杷の値段に驚く。

『たった6個の枇杷なのに、1パックの苺よりも全然高い』

枇杷なんて果物は、ザルに山盛りあるもので、それを飽きるまで食べられる物だと思っていた。
それが、なんだか柔らかなスポンジの上にお上品に座らさせれて、数少なく売り場にいるというのは、中々に衝撃だった。

『枇杷はお高い果物だったんだなぁ…』

となってから、枇杷を口にするのは贅沢になった。

ご近所の庭先に、果物がぶら下がっていたのはとても有り難い事だったんだなと思う。
枇杷の他にも柘榴だって、蜜柑だって、キウィフルーツだって、分けてもらっていたのだから。

『koedaちゃん果物好きだから』

と近所のおじちゃん、おばちゃんが私の為に持ってきてくれる庭先の果物達。
今ならわかる。毎日のように庭先の果物を見に来る、自転車屋の孫娘は目立つ!!(物怖じしない、空気読めない、子供らしく無邪気にゴウイングマイウェイな子でした)

有難う。


さて。
久々にスーパーで見かけた枇杷は
私の知らない大玉品種のようだ。

「なつたより」

と書かれている。
「夏の便り」ということだろうか?
4個の枇杷が美しくならぶ。
値段を見ると1個100円以上。

枇杷は可食の部分が少ない。
大きくて艶のある種が沢山詰まっているから。
それを考えると皮の側ギリギリまで攻められるキウィフルーツのほうがお得感があるのだが、なんとなく、懐かしさと、枇杷を食べたい気分だったので思い切って買う。

1個食べてから撮影する


瑞々しくて甘い。
けして派手な味ではないが、とてもしあわせな気持ちになる。


枇杷は寒波に弱く、生産が安定しないことや、農家の高齢化などから、市場の数が減っているらしい。
枇杷じたい、先程も書いたように派手な味でもないし、可食部分は少ないし、近縁種といえばいいのだろうか?そういう比べる果物が無いように思う。私が知らないだけかもだが。

製菓でも加工しにくい相手なので、すごくヒットするわけでもない。ゼリーになっているのは見かける。

『美味しいのにねぇ』

枇杷を食べながら、枇杷のウィキペディアを読みつつ、枇杷を想う。


いつか庭が持てたら、果物の木を植えたい。
枇杷も植えたい。そう思うが、立派な背丈になる枇杷の木を植えられるだけの庭があるお家に住める気がしない。
が、まぁ夢はあったほうがいい。楽しいなら。


庭に果物がなっていたら、きっとそれは素敵な事。

それを貰っていた日々も素敵な事。
 
こうして購入する形になったとしても、甘い果物を美味しいと食べるこの時が持てる今も素敵な事。


美味しい果物をつくる人々に感謝。








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