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プーチンのやり方がもたらす中国への影響-毛沢東型・鄧小平型の政治スタイルに見る台湾侵攻未来予測

 プーチン大統領がかつての天才ぶりを発揮して、
「クリミアとロシアを陸続きにする事を目標として、独立を宣言した地域とクリミアから軍を二方面から進行、2〜3日で海岸線を確保、そしてロシアから一方的に停戦
→ウクライナを囲み国境付近から侵入したロシア軍は、実は南部海岸線にウクライナ軍を集中させない為の陽動作戦だったので、停戦と同時にウクライナから撤収する」
という作戦行動をしていたら、国際社会へのロシアへの対応は全く違っていたと思います。

 欧米は、非難の声では合唱して足並み揃えているように見えるけれど、経済性制裁の内容で揉めて、親和のトルコのエルドアン大統領や中国は沈黙するか、消極的ロシア支持を表明し、経済制裁には加わらなかったでしょう?

しかし、プーチン大統領は「望めばロシア国民の生活を破綻させる」ウクライナ全土統治を望みました。この行動は、プーチン大統領が「ロシアを大国として国民生活を良くする事で国民から尊敬されよう」と考えているのではなく、見ようによっては「ウクライナで自分(プーチン)に逆らえば破滅するという事をロシア国民にも見せてやる」という旧ソ連型の恐怖政治での統治に乗り出した事を表しています。

とすると、ソ連型統治を拒絶したロシア人は、いつかまたプーチン式ソ連統治を拒絶するだろうと私は予想します。振り返れば「アフガニスタンがソ連の終わりの始まり」でしたので、ウクライナは「プーチンの終わりの始まり」なのでしょう。

と、ここまでは大体予想できますが、「中国がどう行動するのか?」は不安を感じます。

私は「プーチンのやりすぎの教訓」を中国の首脳は大きく二手に分かれて受け取るだろうと感じます。

まず、現実感を持つ中国首脳は、プーチン大統領がウクライナ全土を攻撃している事を「やりすぎの失敗だ」と判断し、「国際社会の怒りの経済制裁が中国に及ぶ事」を恐怖し、台湾に手出しするのは危険だ!と自制するでしょう。

国連総会でも中国は「ロシア非難決議」に反対せず、棄権しています。

中国首脳の少なくない人たちが持つ伝統的感覚「鄧小平型中国思考」だと、こういう時には(アメリカ非難を封印して)沈黙して時を待ちます。アメリカのロシア憎しが増大して、中国に油断するようになるまで、待つのです。

その時に中国はシレッと「アメリカの敵はロシアでしょう。中国への経済圧力を弱めてくださいよ」と裏取引を始めます。

つまり鄧小平型の中国首脳であれば、中国のメンツを失わずに、アメリカとの関係を改善するチャンスと捉えていると思います。

彼らは「中国人14億人が食べてゆけるように国の舵取りをすることが、自分たちが権力を維持する道だ」と考えているからです。

しかし中国首脳の中には鄧小平型の思考の持ち主ばかりではなく、毛沢東型の思考を持つ人物もいます。中でも習近平氏は毛沢東への尊敬心を隠しません。

毛沢東は自分の敵だと名指しした一億人とも言われる人々を迫害し、虐殺もいとわず、中国人の生活がどれほど困窮しようと歯牙にもかけずに、文化大革命を起こして、自分の絶対権力を維持した人物です。

すなわち人民を苦しめる事で権力を保つ道を選んだ人物です。

ですから私は心配しています。

習近平国家主席が「欧米はロシアで手一杯で台湾までは手が回らないに違いない」と考えないか心配です。

そして台湾が疎かにされている間に台湾を奪って、秋に迫った全人代で3期目(終身)の主席の座を確保しようと考えないか不安です。

習近平主席が毛沢東と同じように人民を苦しめる事で自分の権力を維持しようと考えるかもしれないと、私は危惧します。

ですから、国際社会はウクライナ危機に全力で援助するとともに、「台湾はウクライナの二の舞にさせない」という決意を高らかに宣言した方が良いと思います。

私は国際社会の声こそが中国国内の鄧小平型現実主義者たちを力付けて西の戦争を東に飛び火させることを防ぐ事になると考えます。

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