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赤ちゃんからお年寄りまで一緒に楽しむ「音楽ひろば」

1歳の赤ちゃんから88歳のおばあちゃんまでみんな一緒に楽しむミュージックケア。地域の病院の包括支援センターとタッグを組んで開催しました。

今回のお話****************************

■ 赤ちゃんからお年寄りまで一緒に楽しめる場所

■ みんなが元気になってくる!

■ そこで湧いてくるのは「その人らしく生きる力」

■ 音楽ひろばが教えてくれたこと

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■ 赤ちゃんからお年寄りまで一緒に楽しめる場所

何年か前に、未就園児と高齢者が一緒に楽しむミュージックケアを開催したことがありました。その時印象的だったのが、初めは椅子に座って楽しんでいた高齢者の方が、立ち上がって鳴子を鳴らしてくれたこと。フラップバルーンの中で走り回る子どもたちを嬉しそうに見ていた高齢者の方の表情。終わった後の皆さんの爽快な表情。「子どもたちと高齢者の方が一緒に楽しむって、すごく意味がある」と感じ、いつかまた機会があったらやりたい!と思っていました。

■ みんなの心のコップが溢れてくる!

今回開催した「音楽ひろば」は、いつもミュージックケアを楽しんでくれている親子と、地域の高齢者の方々、包括支援センター等の関係者の方々、と、たくさんのみなさんが参加してくださいました。ゆったり、でもどこか、「これからどんなことするんだろう」という不安も感じられる雰囲気の中始まった「音楽ひろば」。まず初めに雰囲気を明るくしてくれたのは子どもたち。「こうやるんだよ」とおばあちゃんの手を取ってくれるお子さん。「私これできるよ!」と元気いっぱい腕を伸ばして見せてくれるお子さん。それを見て一気にリラックスした雰囲気になる高齢者の皆さん。子どもたちに助けられました。みんなありがとう!

楽器を使う場面では、私が何も言わなくても率先して楽器を配ってくれる子どもたち。ゆっくりとした動作の高齢者の方々の動きに合わせて、優しく楽器を渡す姿には感心しました。

新しい曲にも挑戦したのですが、子どもたちのいつも以上の集中力にびっくり!私をじっと見る表情が、よりきりっと、耳もしっかり音楽に向いてる!なんだかいつもと違う!そんな風に感じました。

高齢者の皆さんも、子どもたちに負けないくらい、腕を伸ばし、楽器を鳴らしてくださいました。立ち上がって楽器を鳴らしたり、曲に合わせて歩いたり、足踏みしたり。次はどう動くのかな?と私の動きをじっと見て、音楽に耳を澄ませてくださる姿が、とっても嬉しかったです。

子どもたちの様子、高齢者の方々の様子を見て思ったのが、子どもたちの様子を見て感じた気持ち、おじいちゃん、おばあちゃんがいることで感じた気持ち、音楽を聴いて、体を動かしてみて感じた気持ち、そんないろんな気持ちが皆さんの心のコップにたくさん溜まって、「やってみたい」「一緒に楽しみたい!」という気持ちが溢れてきたのではないか、ってこと。

ミュージックケアは「蓄えと待ちのセラピー」です。人の心のコップの大きさは様々で、経験や気持ちが貯まっていくスピードもそれぞれ。だからミュージックケアは「無理にさせない、したくなるまで待つ」一緒にやらなきゃだめとかそういうことは全くなくて、見ているだけ、聴いているだけでOK。そこにいることが参加。時には見て、時には聴いて、その人がしたいと思う参加の仕方をして、心のコップがいっぱいになり、「やってみたい」という気持ちが溢れだすのを待ちます。

この日参加してくれた子どもたちは、今までのミュージックケアでいっぱいになっていたコップが、今日初めて参加される高齢者の方々の存在によって、さらに溢れたのではないか、と思います。高齢者の方々は、子どもたちの存在により、「一緒に楽しみたい」または「子どもたちを楽しませたい」「子どもたちの喜んでいる顔が見たい」という思いが重なることで、あっという間にコップが満タンになりあふれ出したのかもしれない、と思いました。

■ そこで湧いてくるのは「その人らしく生きる力」

コップがいっぱいになり、溢れだした皆さんから感じたのは「その人らしく生きる力」です。「こんなにできるよ」「一緒にやろうよ」「楽器どうぞ!」そうやって精一杯その場で活動し、役に立とうとし、楽しむ子どもたち。のびのびしていて、笑顔いっぱいで、成長している!って感じました。腕をいっぱいに伸ばし、動かしてくれる方、立ち上がってくれる方、子どもと一緒に新聞紙ボールを投げ合いっこする方、「子どもたちと一緒に動きたい」「子どもたちが喜ぶようにフラップバルーンを揺らしたい」「一緒におー!って言いたい」そこには「自ら何かしてみたい」「元気に生きていきたい」そんな「力」を感じました。これが「その人がその人らしく生きる力」が溢れている状態だな。ミュージックケアはこれを引き出すためにあるんだな、そんな風に感じました。

■ 音楽ひろばがおしえてくれたこと

ミュージックケアは「その人がその人らしく生きるための援助活動。子どもの場合はその子どもの持っている力を最大限に発揮させ、発達の援助をおこなう」ものです。この言葉は、恥ずかしながら、何度勉強しても、わかったような気もするし、わからないような気もする言葉でした。でも今回音楽ひろばを開催して、この言葉がストンと私の中に落ちた気がしました。今回の音楽ひろばでは、子どもも大人もみんな「何かしよう」としていた。「何かしたい」と思って行動していた気がします。その、「何かしよう、何かしたい」という気持ちを引き出したのが、ミュージックケアという場所。音楽を介することで、「大人だから、子どもだから」「する側、される側」という立場がなくなり、「同じことをしたもの同士」になる。「無理にさせない、したくなるまで待つ、そこにいることが参加」を保障することで、誰もがそこにいることを認められる。場が保証され、立場がなくなり、同じことをしたもの同士となることで、自然に心のコップが溜まり始める。そこから生まれるのが、「その人らしく生きる力」なのかな、と。まだまだ言葉が足りませんが、そんな風に思いました。

「音楽ひろば」を一緒に開催してくださった包括支援センターをはじめ、関係者の方々、そして、参加してくださった皆さんのおかげで、ものすごく大切なことを学ぶことができました。本当にありがとうございました。やっぱりミュージックケアってすごい。そして、また、音楽ひろばが開催できるよう、これからも頑張っていきます。

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