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二拠点育児は働くアラサーの私の最適解だった

私は番組キャスターであり、もうすぐ2歳になるの女の子の母親です。娘が生まれた時から夫の実家がある三重県と、私の職場と家がある東京で「二拠点育児」をしています。

週に一度のペースで私が三重に行ったり、娘と一緒に東京に帰ってきたりします。平日は夫に育児をお願いし、週末だけ会うときもあれば、丸一週間私が一緒に過ごすときもあります。

共働きの夫婦が増え、平日は別の家で生活し、休日のみ時間を共にする「別居婚」を選ぶ家庭も多くなりました。一方で、私のような二拠点育児をする夫婦はまだ少ないように感じます。

周囲の人からは「育児と仕事のメリハリがついてよさそう」とポジティブな意見をもらうことがほとんどです。しかし、たまに「母親と過ごす時間が少ないと、愛着障害になりやすい」と心無い言葉をかけられることもあります。

二拠点育児は幸せなのか?という問いに対し、私は30代の働く自分にとっては最適解だと思っています。一方で、ずっと二拠点育児を続けようと思っているわけではありません。

【目次】
・私が二拠点育児を選んだ理由

・二拠点育児で大変なこと3選

・二拠点育児のカギは、周りの大人に頼ること

・【結論】二拠点育児は幸せ。でも私はずっと続けない

私が二拠点育児を選んだ理由

私はそもそも誰かと一緒に暮らすより、一人暮らしを好むタイプです。どんなに好きな相手でも一緒に住むと多少のトラブルがあると思い、独身のころから結婚しても別居婚がいいと思っていました。

対する夫は三重に家業があり、いつか跡継ぎとして実家に帰ることが決まっていました。そんな彼と東京で出会い、「三重に一緒に来なくていいから結婚して欲しい」と言ってくれたので、結婚を決めました。

こんな経緯があり、妊娠・出産後も自然な流れで二拠点育児が決まり、産後4カ月で職場復帰をしました。一体どのように二拠点で子供を育てていけばいいか、最初は先の見えない不安で押しつぶされそうでした。

それでも仕事を諦めたくなかった。0歳との育児と仕事の両立は毎日が必死で、最初の1年間の記憶はほとんどありません(笑)

去年の5月に人気の経済チャンネル、ReHacQ−リハック− にて育児のお話しさせていただいたところ、同じく働く女性視聴者から「こんな選択肢があってもいいよね」とポジティブな反響があったのを嬉しく覚えています。

二拠点育児で大変なこと3選

育児はどんな形であれ大変ですが、二拠点だからこそ特に大変と感じるポイントを3つ選んでみました。二拠点育児を検討している人の参考になればうれしいです。

1. 二拠点間の移動

我が家の場合は自分だけでなく子供も三重と東京を行き来しています。まだ幼い子を新幹線に乗せることに最初は不安だらけでしたが、今は「とにかく寝てもらう作戦」を勝ち筋として掲げています(笑)

特に1歳を過ぎ歩き始めると、じっと席に座って待つことができなくなる。できるだけ新幹線に乗るまでにクタクタになるまで遊ばせ、乗った瞬間に寝かせることを意識しています。

それでも寝てくれないときは、お菓子や歌遊びで気を紛らわし、なんとか大人しく座ってもらうしかない。窓の外に見えるものを指さして「あれなぁに?」と質問をするなど、移動ならではの遊びも一緒に楽しんでいます。

2. 2倍かかるベビーグッズ

二拠点生活をする家族の大きな悩みは、家具や家電など生活必需品が2倍かかること。子育てとなると、ベビーベッドや洋服、おむつなどの子供の消耗品も加わります。すべて完璧にそろえていたら破産してしまいます!

私は成長したら使わなくなる赤ちゃん向けの家具はすべてレンタルにしています。私が使っているのはダスキンレントオールの「かしてネッと」。
他にも様々な事業者が赤ちゃんグッズのレンタルサービスを展開しています。

服やおもちゃなどはそれぞれの拠点のご近所さんからお古で譲っていただくことも。子供の成長は早いので、すべて新品である必要はないのです!

3. 子供と過ごす時間 ・ 家族と過ごす時間が限られるからこそ…

私たちの二拠点育児は、娘が主に三重で夫と一緒に過ごし、私は単身赴任として東京に来ている形になっています。できるだけ毎週会う努力はしていますが、仕事のスケジュールによっては会えない週もあります。

「子供の成長を近くで見られなくて寂しくない?」と言われることもあります。確かに娘が初めて立った瞬間や初めて喋った一言を私は見ていません。

逆に私は、少し時間を空けて会うからこそ感じられる子供の急成長に何よりも幸せを感じます。前に会ったときにできなかったことが、あれもこれもできるようになっている!と、会うたびに娘の成長を同時多発的に感じることができるのです。

でも、久しぶりに会ったら私のことを忘れている、なんてことは絶対に嫌。なので、毎日必ずビデオ通話をするようにしています。そのたびに「私はあなたのママだよ」としっかりアピール!(笑)

二拠点育児は夫とのコミュニケーションも密にしてくれます。毎日娘の成長を写真・動画で報告し合うことで、自然と夫婦の会話が増えていきます。

大変だからこそ、お互いへの感謝の気持ちも深まりました。彼が三重で娘をしっかり見ていてくれているからこそ、私は東京での仕事に集中することができる。もともと夫婦だけだったころから家事は得意な夫ですが、育児を一生懸命こなす姿に日々リスペクトが増しています。

二拠点育児のカギは、周りの大人に頼ること

それでも夫婦2人だけで二拠点育児を完璧にこなすのは正直ムリ。周りの人たちの協力なくしては成り立ちません。

私の場合は義実家の父母と自分の父母が大きな助けになっています。また、既に三重では保育園に入り、素晴らしい先生が昼間面倒を見てくれています。また東京では、同じフロアで暮らすシェアハウスの仲間が育児に協力してくれています。

皆に迷惑をかけて申し訳ない……と最初は思っていましたが、よく考え直すと、昔は村や町全体で子育てするのが当たり前でした。今は核家族やコミュニティの希薄化で夫婦だけでなんとか育児しないと、と思いつめてしまう家族が多い気がします。

かつての職場の先輩に言われた言葉で印象的だったのが、「育児を成功させるには、親だけで頑張ろうとしないこと」。
子供を見る目が多ければ多いほど親の負担は減ります。二拠点育児をしているからこそ、自然と周りに助けを求められたのは大きな救いだったのかもしれません。

娘にとっても幼いころから色んな大人にふれあい、愛情を与えてもらっていることはとてもプラスになっていると感じます。まだ1歳と数ヶ月ですが、人見知りをあまりせず割と誰とでも打ち解けられるフレンドリーな子です。女の子だからか、見知らぬ男性には泣くけれど、基本的に慣れ親しむまでの時間は短い方だと思います。これも二拠点生活の環境のおかげだと思っています。

山口慎太郎氏の著書「『家族の幸せ』の経済学 データ分析でわかった結婚、出産、子育ての真実」にはこのような一節があります。

特別な訓練を受けた保育のプロである保育士さんの力を借りるのも、子供の発達には有益です。良い保育園を見つけることができれば、お母さんが働くことは子供の発達に悪影響はないので、安心して仕事に出てください。

3歳までは母親がつきっきりで子育てすべき、と昔はよく言いました。現代では保育園や幼稚園に通うことが成育環境の改善につながり、子供の社会的・認知的発達を促すという研究結果も多く出ています。保育施設は子供にとっても親にとっても有益な場所なのです。


【結論】二拠点育児は幸せ。でも私はずっと続けない

こうして二拠点育児を振り返ってみて改めて感じたのは、働くアラサーである自分にとって最適解だったということ。しかし、私は、ずっとこの育児の方法を続ける気はありません。

「うまくいってるのに、なぜ続けないのか?」と疑問に思う方も多いと思います。私がいつか二拠点育児を辞めようと思っているのは、ずっとはうまくいかないと思っているからです。

数年後には娘が小学生になり、日々の学習や学校行事など親がサポートしなければならないことも増えてくれば娘に割くべき時間はもっと多くなるでしょう。娘が小学校に上がったくらいのタイミングで第2子も欲しいとも思っています。子供が2人いれば、二拠点で育てていくのはずっと難しくなるはず。

また、今はやりがいを感じている仕事も、今後ずっと続けていきたいか?と問われるとそうではない気がします。

私は常に3~5年間くらいを一つの区切りとして、自分のキャリア・生活を考え直すようにしています。メディアアーティストの落合陽一さんが「3年経てば社会は大きく変わっている」とおっしゃっていたように、3~5年経てば子どもも成長し、社会も今とは大きく変わっていることでしょう。そんな変化した環境の中で、これまでのやり方に固執するのはリスクがあると考えます。

なのでその時々の自分にとっての最適解を見つけていくべきで、5年後に自分にとってそれはきっと二拠点育児ではないと思っています。仕事を一度お休みして、育児に集中する時期も欲しい、今はそんな風に考えています。

女性はライフイベントがキャリアに大きく影響します。子供の有無にかかわらず、先が見えない不安を感じながら仕事をする女性は多いと思います。思い切って期間を区切り、スパッと新しいことにチャレンジするのも一つの最適解かもしれません。

構成:大竹初奈

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