加古川から世界へ発信!グルテンフリー、無添加、無農薬、手造りにこだわる「タカミオカキ」に行ってみた
美味しいあんこスイーツが食べたい。インターネットの海を30分ほど泳いでたどり着いたのは、大粒の小豆のスープの上にたたずむキツネ色に焼けた餅の画像だ。
『自家製ぜんざい』のテキストをクリックすると『甘味処』『かき氷』の文字も見受けられる。いわゆる“和カフェ”のイメージが勝手に脳内再生された。
店名は「タカミオカキ」。映画監督タナダユキの名前を彷彿させる、アーティスティックなネーミングだ。きっと経営者の名前を店名にしてカフェを営んでおられるのだろうと先入観を持って公式サイトを眺める。…どうも様子がおかしい。
「TAKAMIOKAKI」。凛としたフォントのタイトル。サブコピーは「THE OKAKI ARTISANS」。
さらに、店舗情報を見るとニューヨークとホノルルのお店でも取り扱っていると書かれているではないか!
あんこスイーツを探す旅に出ていたら、おかきの世界に迷い込んでいた。どういうことなのか? 謎が深まる。ふくらみ続ける好奇心を満たすべく、翌日の朝、私は「TAKAMIOKAKI」へと車を走らせていた。
余計なものがない、店づくり
「ここは印刷所?はたまた新聞販売所?」
自宅から車を走らせて1時間強、現地に着いた。カーナビを設定していなければうっかり見過ごしてしまっていただろう。なぜなら、店名を記した大きな看板など何もなかったから。実におもしろい…。ガリレオ湯川教授のような好奇心からの笑みがこぼれる。
控えめに佇むスタンド看板と風にはためくのぼりが、おかきを販売する店「タカミオカキ」だと教えてくれる。
意を決して店に足を踏み入れる。左側に視線を向けると、6畳ほどの小さなスペースが広がる。やわらかな灯りが落ちる板張りの壁に、壁一面に数種類のおかきがお行儀よく並ぶ。まるで靴下ショップのディスプレイのようだ。
振り返ると、小さなカフェスペース。ここが甘味処、かき氷などのスイーツをゆっくりと堪能できる。窓に近いカウンター席を選んで、私は腰を掛けた。
かき氷、ぜんざい、スペシャリティーコーヒー。そしておかき。
クラフトおかきをお目当てに訪れたのだが、もともとはあんこスイーツを探してたどり着いたお店だ。せっかくの機会なので、スイーツをオーダーすることに。
おすすめマークのついた『あっさり自家製ぜんざい』はマストメニュー。おかきや和菓子に合うと説明が添えられている『スペシャリティ珈琲(HOT)』もオーダー。
メニュー表に、気になる説明文が。
これはもしや、おかきに使用している餅米。期待が高まる。そもそも、餅米が50種類以上あることに驚きを隠せない。奥が深い世界だ…。
次はかき氷。無添加と書かれてある。シロップも自家製、とことん手間暇惜しまない姿勢を貫くタカミオカキ。オーダーしない理由が見つからない。
迷いに迷った結果、『桜ロイヤルミルクティー氷(S)』をオーダーした。
タカミオカキ無添加かき氷 季節限定『桜ロイヤルミルクティー氷』
まるで中世ヨーロッパの宗教画の色味のようなアンティークカラーに染まった氷が現れた。
こんもりまあるいフォルムに、霜柱のようにキメ細かい繊維状に削られた氷。Sサイズでこのボリュームなのに、インパクト抜群。
桜風味のチョコレートとクリーム?
緑色は、煎茶の粉?
ロイヤルミルクティーとの相性はいいの?
初めて食べる食材を前に、楽しみ半分怖さ半分の鼓動を感じながら、スプーンですくってパクっ。
煎茶の粉とおぼしき緑色のシロップは、塩漬けした桜の葉をピューレにしたものだったのだ。これは新鮮。口の中に葉の繊維質がちゃんと残るので、桜餅を食べている錯覚になる。
おかきと一緒に食べると、桜餅感がぐんとアップ。米とかき氷、前から定番だったかのように合う。二人の出会いに乾杯。
氷が極限まで細く削られている。だから口の中に入った瞬間、スーッと溶けて消えていく。あともう少しの間だけ、桜の余韻に浸っていたいのに。ひらひらと舞い散る桜のごとく、だ。
最後に残るのは、よく冷えたロイヤルミルクティー。ほんのり感じる桜フレーバーが、残りわずかの桜の時期を目に焼き付けてと暗に伝えてくれる。食後も桜並木につい思いを馳せてしまう、粋な一品だった。
名物!罪が過ぎる「くまちゃんトッピング」
同じ時間にファミリーと同席したのだが、その方は小さなお子さんのためにいちごみるく氷にくまちゃんトッピングのかき氷を注文しておられた。
「くまちゃんですよね、少し見せてもらえますか?」と詰め寄る厚かましい私に、快く応じてくださり感謝。
お耳がおかき、目と鼻が小豆。かわいすぎて食べるのが惜しい…。
小さなお子さん、とびっきりの笑顔で食べていた。しあわせになれるかき氷パワー、目の前で見せていただき、こちらもハッピー伝播。
タカミオカキおすすめ!『あっさり自家製ぜんざい』
かき氷のあとは、冷えた胃袋をあたためるとしよう。お待たせ、自家製ぜんざいの登場だ。
透き通る小豆スープに、キツネ色に焼かれたお餅。素朴なビジュアルは田舎のおばあちゃんの家ようで、懐かしくてホッとする。
まずは小豆を頬張る。やさしい…。風邪を引いたときおかあさんがつくってくれたお粥のように、五臓六腑に染み渡る。
甘さがかなり控えめ、小豆そのものの甘さをも感じられるのがうれしいところ。
次に、注目のお餅だ。カリっと歯ざわりの良さを楽しむとすぐに、びよーんと伸びる。ツルツルすべすべ、甘いお餅を舌で感じた後は、ゆっくりと心地よく溶けていく。
つきたてだからこその、伸びの良さととろける舌触り。これぞ贅の極み。暑い夏にも食べたい。クーラーで冷えた体を労ってくれそう。
おかきの相棒新提案、スペシャリティー珈琲
スペシャルティー珈琲にも、おかきが添えられてきた。
「おかきにコーヒー?合うの?」そんなふうに疑問に感じる人もきっと多くいるだろう。私もその一人だ。
メニューの説明書きにはこう書かれてある。
タカミオカキのおかきの特徴もまた、無添加・無着色で、塩分控えめ。素材の味と香りを楽しめる米菓だ。
日本茶と合わせるのと同じような感覚で、マリアージュを楽しめるといったところだろうか。
甘味カフェでのひととき、おなかいっぱい。おかきとスイーツとの組み合わせを思う存分楽しめた。さて次は、訪問の真の目的「グルテンフリーの無添加手造りおかき」を見ていこう。
とっておきのギフトに選びたい。タカミオカキのおかき。
タカミオカキは、おかき職人高見恭平氏が2012年に独立してスタートさせた“おかきプロジェクト”。祖父が創業した製菓会社で厳しい修業を終え、「僕が本当に造りたかったおかき」を広めるべく、日夜研究を重ねているとのこと。
壁にかかってあるのは、タカミオカキのオリジナルブランド「僕が本当に造りたかったおかき」シリーズの数々。
一部を紹介すると、「兵庫県西脇産の金胡麻おかき(450円)」、「関西醤油の揚げおかき(和歌山と京都の醤油蔵めぐり・400円)」、「淡路島産の海老おかき(400円)」、「生後10ヶ月頃からのはじめてのおかき(400円)」。
商品名を見るだけで、原材料一つひとつの産地にまでこだわり抜いて造られているわかるのだから、職人高見さんの追求心には驚くばかりだ。
まさに“スペシャリティーおかき”。
リーフレットの「こだわり」には、こう書かれている。
素材にとことんこだわり、商品が出来上がるまでに費やす時間は、約7日間。製造背景の手間暇を知ると、お茶やコーヒーを丁寧に淹れて、時間をかけてじっくりと素材そのものを五感を集中させて味わいたくなるのも自然なことだ。
友達とおしゃべりしながら楽しめるデイリーづかいのおかきももちろんいい。けれど、スペシャルなおもてなしをするときは、タカミオカキを選びたい。おかき一つとっても、シーンや気分に応じた楽しみ方を模索したくなる。
実際に2000円相当のおかきを、お土産として家族に買って帰った。
上記は、70歳を越える義母の感想だ。喜んでもらえてうれしい。
今年は、ギフトとして利用する機会が多くなる予感しかない。誰にでも喜んでもらえるお菓子として最適ではなかろうか。
本記事を読んで気になった方。通販サイトがあるので、ぜひ購入の上お試しを。
さいごに
当日は平日昼にも関わらず、おかきを買いにひっきりなしにお客さんがいらしていた。中にはおかき職人らしき人に質問を重ねてから、購入を決めている方も。ファンやリピーターが多いのだろうなと想像する。
兵庫県加古川発のおかきプロジェクト「タカミオカキ」。実際にお店に伺ったことで、作り手の背景をより深く知りたくなったというのは、言うまでもない。
取材ライターとして「なぜ?なぜ?なぜ?」がとまらない。もっとあなたのことを知りたいという、恋のはじまりのような気持ちに戸惑う。
今後も、タカミオカキの動向に注目していきたい。
<店舗情報>
店名:TAKAMIOKAKI(タカミオカキ)
住所:兵庫県加古川市加古川町粟津767ー1
電話番号:079-440-1849
公式サイト:https://takamiokaki.com/
通販サイト:https://shop.takamiokaki.com/
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