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アラサー女子が転職前に海外に行く理由

私は前職で6年間注文住宅の設計を担当していた。いわゆる設計士。

入社した当初はとにかく忙しかった。深夜0時を過ぎる事も珍しくはなかったし、毎日が知らない事の連続で常に"インプット"の毎日。

4年目くらいからか、仕事にも慣れてきて任される物件の数も多くなった。この頃から圧倒的に"アウトプット"の比率が多くなった。今までインプットしてきたものを元に、自分なりに考えた物を生み出していく。その経験から得る物も沢山あった。

毎日毎日、図面を書き続けた。
図面を書く時に重要になるのは、どれだけその空間を想像できるかだ。

例えば6畳の部屋を書いているのに、自分の頭の中で想像してる空間が実は8畳の広さだったとする。そうすると、出来上がった時になんだか窮屈?となる。設計士の頭の中の想像と現実に誤差があってはならない。

これはりあるな広さだけではない。実際には同じスケールでも壁紙やフローリング、家具の色で部屋の印象が大きく変わる。
例えば、全面白の壁紙の部屋と、黒の壁紙の部屋であれば圧倒的に前者が広く感じるだろう。そこも踏まえて、空間を設計する。

ではこの感覚はどこから来てるのか?それは、今までの経験からだ。白と黒が膨張色と収縮色だと知ってる人がいても、その知識だけで壁紙をパッと選べる人は少ない。なぜなら、知識があっても実際に見た経験がないと、自分の想像に自信が持てないからだ。今は片手でなんでも情報が入る時代だが、実際に経験する事はやはりとても大事だと思う。

しかし段々と物件が増えるにつれ、現場に行く時間が減ってきた。積極的に求められるのはアウトプットだからだ。給料をもらっている以上、自分のインプットだけに時間は使えない。

そんな事を考えていた同時期に、店舗やホテルなどの住宅以外の建築にも興味が出てきた。特に海外のあのド派手な色使いは、とても魅力的だ。担当するお客さんの中にも、"海外のホテルみたいにしたいんです"と希望する方もいた。
インスタの普及で、インテリアに興味を持つ人が一気に増えてきたからだ。

そんな時、惜しくも自分の想像に自信がもてなくなる。住宅ばかりを見てきた6年間、間取のインプットは沢山してきたし教えられてきたが、デザインという視点ではまだまだ経験が少ない。最大限の提案をするが、自分にもっと経験があれば他にも提案が出来たんじゃないかと迷う事もあった。

そして貪欲にもいつか自分で店舗やホテルをデザインしてみたい。そんな思いまで出て来て、だんだんとそれを実現したくなった。

安定した仕事を辞めるのは、もちろん戸惑もあったし、入社した時はここでずっと働いていくんだと、信じて疑わなかった。

しかし一度きりの人生、悔いのないように生きたいと思った。幸い私の周りには、自由人が多く、そんな皆んなにも背中を押された。やりたいと思ったこの気持ちに、正直に行こうと決めた。

すぐに転職活動をすることも出来たが、私は【留学→世界一周】する期間を設けることにした。
理由は、次の業種では海外のプロジェクトにも関わりたいと思ったから。そのためには英語力が必要だった。そしてもう一つはデザインに注視して様々な建築を見たいと思ったから。

アラサーの転職で、離職期間が長いのは良くない、なるべく早い方が良いと言われる事も多い。でも、この後どれくらい自分のために使える時間があるだろう?一度がっつり働いたからわかる。経験は何事にも変えがたいし、自分のために使える時間は貴重だ。

しかしご存知のとおりのこの情勢なので、惜しくも現在帰国中だ。帰国してから数ヶ月は正直かなり落ち込んだし、この先どうしようと毎日考えた。でも、ここ最近このnoteを書く事によって自分の頭の中も整理されてきて、今出来ることをしようと思えるようになった。

計画はだいぶ予定通りではないけれど、この決断をした事に悔いはないし、これで良かったと思っている。これから先、またこんな風に夢が叶いましたってnote出来るよう今は前進するだけだ。