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#1ページ小説

気が付かないフリ p.3

気が付かないフリ p.3

 友達から電話が来た。
 どうやら彼氏と喧嘩をしたらしい。普段ならすぐに謝りに来る彼氏がもう何日も冷たいままだと。
 これから相手の家に行って、話をしてくるらしい。

一緒に住んでいたとは知らなかった、と言うと彼女は照れながら「半同棲だけどね」と笑った。

 相手は歳下でまだ学生らしい。
もともと夢見がちな友人ゆえに、変に暴走していないか心配だ。

 喧嘩の理由だって『部屋で料理をして待っていたら

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冷たくなった彼 p.1

冷たくなった彼 p.1

 彼氏が冷たい。おそらく昨日喧嘩したからだ。
 いつもはすぐに謝りに来てくれるのに、今回は朝になっても冷たいままだ。凄く怒ってるみたい。話しかけても無視されてしまう。どうしよう。今までこんな事なかったから、どうしていいか分からない。

 機嫌を取ろうと彼の好物を作ってみても、一口も食べないし、アイスやタバコを買ってきてみたけどそれも無視。何をしても無視されてしまうから、私も疲れてきて、家を出ること

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深夜宅配、後

深夜宅配、後



 荒木は腕組みしながら封筒を睨み付ける。
一体何を送ってきたのだろうか。蛍光灯に透かしてみるが、見えるはずもない。

中を確認しよう。いや、しかし…。
手をかけては辞め、を繰り返した。

 わざわざこの時間を指定し直接手に取らせたのは、別れる決定的な物を送ってきたからではないだろうか。そう思うと中々開ける覚悟が決まらない。
 一緒に暮らしている頃は何かと仕事を優先しては、よく怒られたものだっ

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深夜宅配、前

深夜宅配、前

 インターホンが鳴った。
 既に日付を越えてから二時間は過ぎている。こんな時間に誰が来たのかと怪訝な顔で画面を覗きこんだ。

 そこにはにっこりと笑みを浮かべる見知らぬ男が立っていた。
 …部屋を間違えたのか。踵を返しソファーにどかりと腰をおろす。

 もう一度チャイムが鳴った。画面の中の男は、相変わらず笑みを絶やさずに立っている。
 間違いに気づいていないのだろうか。どちらにせよ、このままチャイ

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レンズ越しの月

レンズ越しの月

夜風に誘われるようにして外へ出た。
周辺の民家は寝静まっており、世界が自分だけになったかのような錯覚に浸る。
(気持ちがいい、夢の中みたいだ)
そんな心地よさも、時折通るタクシーに現実へと引き戻される。

荒くガスを吐き散らしていく後ろ姿から、空へと視線を移す。
0.1ミリのレンズが溺れた夜は、ひどく色褪せてみえる。

ため息をついて、また歩きだした。

(いいね、夜。朝日が昇れば消えられる

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美しい脚

美しい脚

私は脚をよく誉められる。
世に言う"美脚"の条件を全てクリアしているからだ。雪のように白い肌に、無駄のない筋肉。細すぎず太すぎない。惚れ惚れするような脚だ。

今日も私は惜し気もなく素足をさらす。
美しい脚は常に浴びるような視線を受ける。

しかし、私は動けない。
自由に歩くことは出来ないし、よい気分だからとスキップをすることもできない。
一度でいいから自分の好きな服を着て、外に出たい。
こんなと

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