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嘘と真/99.9 THEMOVIEを観て

こんにちは、Nanaです。


99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIEを観ました。
2022年映画館初めでした☺️


私が映画館に求めているのは、
壮大で圧巻の映像美と音響なのかもしれない。
だから正直この作品は映画館で見なきゃいけなかったのかはあやしい🤔 けど、途中の落ち着いたシーン(従兄弟のお店で話すシーン)で、無音の中カタカタっと物音がする感じとか、映画館の音響、空間で観れてよかったなぁと思いました。
観た後に考えさせられることが多くて、その余韻を含めて映画館で観てよかったと思います。

以下ネタバレあり


私があの村の住人だったらどうすることが出来たのだろうか。そんなことを考えてしまう。
正直、4歳のいたずら、しかも本人は親切心のつもりなら大した罪には処されないと思う。だから何故山本さんにわざわざ罪をなすりつけてしまったのか。疑問に残ってしまった。
でも、子どもに人を殺してしまったという事実を背負って生きてほしくないのかなと少し理解した。
自分たちが人に罪をなすりつけた、という罪悪感で生きていくことは大丈夫でも、子どもに罪の意識を背負わせること、そしてそれによって生きづらくなる可能性を残すことは許せなかったんだろう。
この映画から言えるのは圧倒的に
危険なものはきちんと保管しよう
子どもから目を離してはいけない
というすごく当たり前のことだった。

一度罪を犯してしまうと、それがほぼ事故だったとしても、一生"犯罪者"というラベルがつきまとう。それでいじめられる可能性は高い。もしいじめられなくても、いつ誰にバレるか、誰に虐げられるか、常に不安になるだろう。自分は殺人者なんだという意識が常に付き纏う。自分に優しくなれないことが多くなってしまうだろう。
それはとても生きづらい。
それを避けようと働きかけることはたった4歳の少年を見守る大人にとって、当たり前のことなのかもしれない。
でも、それは亡くなった方に対してすごく不誠実なことなのではないか。
もちろん、犯人に仕立て上げられた1人の人間とその家族に対して酷いことをしているというのは大前提である。この点に関しては本作で十分描かれているので省略する。

ここでは、本作では描かれなかった、亡くなった4人について少し考えてみたい。

鑑賞中誰が犯人なのかと考えていた段階で気になったのは、亡くなった4人がどのような人であったか、殺害動機は何かという点が全く描かれていなかったことだ。
人が亡くなったにも関わらず、彼らに思いを馳せることがないというのは理解し難い。これはドキュメンタリーではないから、それで何も問題がない。本当は誰も亡くなっていないのだから故人に敬意を払う必要もない。
しかし人が亡くなった時、何故亡くなってしまったのか、何故彼でなければならなかったのか、故人に思いを馳せどうしようもない怒りや悲しみ、やるせなさで溢れるのが当然なのではないか。私は彼らがどんな人であったのか知りたい。彼らには家族がいなかったのだろうか。あの村で、ずっと独り身で畑を続けることは難しいように思う。きっと家族や家族同然の仲間がいただろう。その人たちは彼らが亡くなったことへの憤りはなかったのか。いくら幼児とはいえ、2人の少年に憎しみを抱くことはなかったのか。なぜ一緒になって隠蔽に加担出来たのか。悲しみに暮れる時間はなかったのか。絶対に動揺しているその瞬間に、よそ者に濡れ衣を着せるという案に冷静に同意できたのだろうか。もしかしたら、その瞬間は思考が停止し何も出来ず勝手に事が進んでいたのかもしれない。もしそうだとしたら、なぜ途中で少年が犯人だと公開することなく隠し続けることが出来たのか。憤りをぶつけることはなかったのか。
そんな風に考えてしまう。
誰かに罪を着せることは、罪を着せられた人にも、亡くなった方にも、その周りの方々にも失礼な行為だと思う。そして良かれと思ってやったこととは言え、人を殺してしまった事実は少年にとっても苦しい記憶になるだろう。自分は幸せになってはいけない人間だと思ってしまう可能性も高い。おそらく4歳の少年にそれを理解し償うことは難しかった。だがしかし隠されてそんなことを知らずに生きてきたんだ、という実感はとても苦しいものだろう。周りの人達の愛を感じるが故、余計に。


もし自分があの村にいたら。
何が出来たのだろうか。

事前に薬品の危険さをきちんと伝えることはできただろうか。「美味しくなる薬」というのは間違っていると言ったのだろうか。常に子どもたちを監視しただろうか。

起こってしまった後、どうすることができたのだろうか。

何が正解かはわからない。
人が人の手によって亡くなってしまった以上、どう頑張っても苦しい思い出になるだろう。
誰も幸せになれない。

だけど、「嘘は人を救えない」という言葉が全てを表していると思う。

苦しいかもしれないけど、まっすぐ真実に向き合うことが、最適解なのだろう。


想像以上に深く考えてしまう映画でした。
ぜひ自分ならどうすることができたのか、一緒に考えてみましょう。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Nana

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ケーキが食べたいです。今はモンブランが食べたい気分。