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部下のやる気をくじく”オーバーアドバイス”。直前に回避する魔法の質問

先日、いわゆる「SL理論」の説明のこちらの記事を読んでから、あらためて部下の指導方法の改善を試みております。

(部下の指導法としてSL理論は極めて有効な考え方で、何度も参照してきました。こちらの記事が非常にわかりやすいのでお勧めします。)

今は、ジュニアレベルのメンバーを直接監督することがあって、基本的なビジネススキルを引き上げる機会が増えています。そして、今流行ののOne on one meetingもやっています。

ただ、ついついアドバイスをしすぎる癖が・・・。アドバイスしすぎが良くないのは自分の課題。その点は自覚をしているのですが、まだまだ改善の余地があります。

そもそも、たくさん話したとしても相手に受け入れる準備ができていなければ、話をしても無駄なばかりか、無用なプレッシャーを与えてしまう。プレッシャーを与えてしまうだけでなく、期待値を満たせないことが強調されてしまい、むしろ有能感を削いでしまうことになります。(これまで、どれだけの部下の力を削いできたのか、反省しかありません)

で、そんな状態を「オーバーアドバイス」と勝手に命名してみました。(「オーバートレーニング」という言い方をもじって)良いことでもやりすぎると毒になる、という意味ですね。

アドバイスをする側は、自分の知見を披露する機会につい酔ってしまうことが多いです。私も、相手のためと言いながら、話し終わってから「気持ち良くなって、喋りすぎた・・・」と反省することもあり。全然相手のためになってないじゃない・・・と。むしろ、アドバイスをしすぎる自分の方が改善が必要なのです。

そこで、アドバイスを減らすために何かできないか、と考えていて、一つの質問を思いつきました。

「その課題を解決するために、取り組んでみようと思っていることはありますか?」

というものです。

これまでは、部下から「〇〇ということに悩んでいる」「〇〇ができなくて改善したい」という言葉が出てくると、これまでは、そこでスイッチが入ってアドバイスモードになってしまっていました。

ただ、この質問をすることで、相手の側が、すでに改善のために行動を移そうとしていることが意外と多いということに気付きました。さらに、その行動が的を得ていることもたくさん。言い換えるとアドバイスなんていらなかったわけです。

アドバイスが不要なことに気付く魔法の質問・・と、少しオーバーですが、アドバイスモードを抑制するという点では、多大なる効果がありました。

自分で課題に気付き、的確な行動に移すことはできそう。上司としては安心するポイントです。あとは、行動を継続できるかどうかがポイントなので、「その行動を続けていれば、いずれ改善するのは間違いない」ということを伝えて、見守るだけでよいのでした。

もちろん、相手が考えている改善の行動に対して「もっとこうすれば早く習熟するのに」と思うことも無いわけではありません。ただ、ここもぐっとこらえて、まずはご自身の考えたやり方で進めてもらう。それで改善が進めばそれでよしとする。もしくは、数週間後にもう一度対話の機会を設けて、進捗を教えてもらう。その場で行き詰っていることが判明したら、少しだけアドバイスする。そんな進め方をした方が、自分で考えて自分で改善する思考様式を後押しできるように思います。

いわゆる「有能」な人ほどアドバイスしたくなる・・。私も含めてそういう人には、このやり方は我慢が必要です。「有能」な人は、自分が試行錯誤してきたからこそ自分なりの知見が蓄積できるわけです。自分が上司になった時、それを使って他人を効率的に動かそうとしてしまう。表層的で短期的には良くなっても、長期的には、ご本人のやる気や自立自走するスタイルを身につけるのは難しくなるかもしれません。

せっかく自分の力で改善方法を考えても、それを上司に伝えたら「そうじゃない」と自分のやり方を否定されるのでは、部下にとっては「どうせ伝えても仕方ない」と思ってしまう。上司の側はそんな部下の姿を見て、「この部下は自分の頭で考えられていない」と評価してしまう。でも、もしかしたら、話したらうっとおしいから話さない、と部下に思わせてしまっているかもしれません・・・。

そういう意味では、管理職の仕事は自制心が必要だということをひしひしと感じます。まだまだ改善の努力を続けていこうと思っています。

※ちなみに、SL理論で「指示型リーダーシップ」が必要な場面では、部下は仕事のやり方を知らないので、具体的な指示をする必要があります。部下の習熟度にあわせて、関わり方を軌道修正するのが、SL理論のポイントです。

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