【連載3】結婚したくてしょーがない20代女から、大恋愛を経て、結婚なんてどーでもいい30代女になったはなし
「わー、こんにちは。」びっくりしたけど、なぜか当然だと思った。自分のシャーマニズム的能力をキモく感じながらも、そういう運命なのかな、と自然に思った。自然な流れでカフェに行って、電話番号とメールアドレスを交換した。自然に学生時代の夢の話をして、別れた。その後特にメールでやりとりをすることはほとんどなかったけど、何かあったら連絡取り合える。そう思って安心した。
彼との関係が進展すると、浮かれる半面、居心地の悪さを感じた。恋人と今後どうするのかどうしても決められなかった。自分の気持ちがわからなかった。心の浮気を止められない自分を責める日々が続いた。
そんな状況がいやになり、また経済的な安定のため、さらに自分に合うキャリアを見つけて活躍したい、成長したいという想いがあって、転職を決めた。30歳を目前としていい時期だったし、今の場所から遠く離れて頭を冷やそうと思った。前からいきたかった東京に出る勇気は出なかったけど、東京に近い都市に仕事を見つけた。恋人の彼とは喧嘩が増えてギクシャクしていた。
新しい彼とは、帰り道に一緒になり、一度ごはんを食べに行った。少しお酒を飲んで、話はとても弾んだ。学生時代の夢と、これからどうしたいか。二人とも一度挫折を経験したことが似ていて、同志のような感覚だった。挫折はしたけれど、今30歳を前にして、自分を諦めたくなくて、新しい道を見つけたくて焦ってもがいているところがすごく似ていた。言葉が少なくても通じる感覚があった。私はたいてい頼れるお兄さん的な人を好きになるんだけど、彼は母性本能をくすぐるような感じだった。少年のように純粋な気持ちで頑張る彼を応援したかった。そのために私が犠牲になって、一緒にいられなくても。私には恋人がいるから。その時はなぜかそう思った。
帰り道は送ってくれた。マンションの前で1時間くらい話して、家に上げてともいわれず、私からも誘わず、別れた。
その後私は仕事を辞めた。飛行機の距離に引っ越すことになった。その頃私は恋人と大喧嘩をした。私はずるかった。結婚してくれないことを、この後に及んでもプロポーズもしてくれないことを責めて、別れよう、と一方的に言った。それも理由なんだけど、本当の理由はそこじゃなくて、別の人を好きになったことなのに。恋人は泣いてた。
そして私は新しい彼に、引っ越す前に一度会ってくださいとメールをした。その日しか会える日はなかった。雨だから無理かもとか、ふざけた返事が来た。こんちくしょーと思った。むかついてもういいやと思ったけど、夜には雨が止んだ。もう一度メールをしたら、会いましょう、ということになった。会ったら、雨は止むと信じていたとか変なことを言っていた。
そしてご飯を食べて、少しお酒を飲んだ。やっぱりどきどきして、体が反応して、会話も楽しかった。彼はうちに泊まって、初めて友達を超えた関係を持った。
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