新規事業開発16ヶ月経過〜共同開発の是非〜

既存製品の用途開発から始めた技術開発であるが、開発した要素加工技術は低エネルギー社会の実現とスループット(生産性)向上に寄与するものとなっている。

しかしながら、社会実装を果たすには明確な2つの課題が顕在化しており、この課題は関連業界の既存プレイヤーを巻き込まなければ早期の実現が難しい。

目下のところ、既存プレイヤーとのパートナーシップの結び方について連日白熱した議論が続いている。私のような開発現場担当およびムーブメント重視派は、共同開発体制を組むことで得られるスピード感、つまり共同開発でのメリットを強く推している。共同開発は、一方にとって、経験や知識、ノウハウが不足している分野であっても、他方にとって得意な分野であれば、その不足分を補填することができるからである。

他方、共同開発は十分考えて設計しなければ後々の関係悪化や足を引っ張るものとなる。例えば「成果物の帰属」について。成果物をスムーズに利用できるようにするためには、何をもって成果物とするかを契約で定めておくことが理想的である。とはいえ、これらの成果物は、開発の過程で生み出されることになるため、未知の領域でもありあらかじめ契約で定めておくことは困難だ。ここは事業経験豊富なメンバーがしきりに警鐘を鳴らす。

今、少し足を止めて、今後の開発によって生じうる成果物についてできる限りの整理をしている。

正直、サンプルを見込み顧客に提示することにより、こんなこともできないか?と新たな依頼を受けることが続いている。毎回、開発した技術の適用先の広さに驚きを得ると同時に自分自身の見えている範囲の狭さに気づかされる。

顧客との会話をもとにしてビジネスモデルをアップデートしたり、ある程度のピボットをすることは許されるし、そういった仮説検証サイクルを素早く回すことを私自身が推奨してきた。
しかし、共同開発をして他社を本格的に巻き込む段階になるのであれば、構想を立てリードする立場として、そのような開発初期の安易な姿勢ではいけないのではないか。後々に大きな調整負荷を強いられ、その調整の結果次第ではビジネスとして成り立たなくなるのではないか。という気がしている。

表面的ではなく、もっと高次の概念で開発技術で実現されうる機能を表現してみてはどうだろうか。そうすれば抜け漏れなく成果物も表現できるのではないだろうか・・・。

とはいえ、自社だけのことを考えずに社会や業界全体のことを考えれば、この技術は広まるべきなのだろうけど。

「我々はどこを見て仕事をするのか。」

自身には起業をしてでも試してみたい技術開発と事業が他にもあるので、なおさら悩みの深いテーマである。ただ一つ言えるのは、単に速さにこだわるステージではなくなったようだということ。ここは自分に言い聞かせる。今できることをやりきって、納得できるまでチームで話し合いをしよう。


※今回、速さを重視する自分を諌めるために参考にした記事はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?