ゼロからはじめるユーザーインタビュー
Makuakeでプロダクトオーナーをしているなみこといいます。
今年の6月から定期的にユーザーインタビューを行い、ユーザーの実態調査やユーザビリティテストをしています。
この記事では、ユーザーインタビューの設計、実施、分析をどのように考えているかご紹介します。
インタビュー設計1:目的を決める
なぜユーザーインタビューをするのか、目的や背景を整理します。
インタビューをする必要があるのか考え、インタビューした後の活用イメージを言語化します。あらかじめ仮説をもっておくと、のちのち分析がしやすくなります。
参考:
実態調査
ユーザーの普段の行動や心理を紐解き、ユーザーにとって、サービスがどのような存在かを知る。
新機能のユーザビリティ調査
新機能のモックアップを触ってもらい、使い勝手の良し悪しを確認する
インタビュー設計2:質問リストを作る
インタビューの目的に沿った質問を考えます。
何を聞きたいのか、頭に思いついたものを片っ端からメモしていきます。一通り出し切ったら、「属性」、「価値観」、「行動」の3つに分類してみましょう。
属性:家族構成や住んでいるところなど
価値観:普段考えていること、思考性
行動:過去にあった事実
目的や活用イメージに添うように、質問に優先度をつけます。
質問と回答で大体どのくらい時間がかかりそうか、予想時間をメモしておくことも忘れずに。
弊社の場合は1回30分でインタビューを実施しているため、見込み時間は長くても25分になるように質問を調整しています。
インタビュー設計3:対象者を決める
質問に対してスムーズに回答してくれそうな対象者の条件を考えます。
条件の参考:
・利用頻度や満足度など、サービスとの関係性
・サービスを利用している目的
ここで絞り込む条件を間違えると、質問に対して有用な回答が得られずインタビューが台無しになってしまいます。
例えば、サービス満足度が高いユーザーの実態調査をするために、条件を「利用回数10回以上」にしたとしても、満足度は低いが他の選択肢がないので仕方なく使っている、という場合もあります。そうなるとインタビューの目的に沿ったことを聞き出すことが難しくなります。
インタビュー設計4:対象者に連絡する方法を考える
どのように対象者とコンタクトを取ってインタビューの依頼をするか考えます。
マクアケの場合は、対象者を確度高く見つけるためにアンケートを作成しています。初めはアプリのプッシュ通知などでアンケートを送っていましたが、現在はサービス内にアンケートの導線を設置しています。
謝礼を用意できる場合は、そのことをアンケートに記載しておくと回答率が高くなるでしょう。
アンケートの最後で連絡先の記入欄を設けており、条件にあったユーザーに対してメールでインタビューのお願いをしています。
⚠️注意⚠️
アンケートやインタビューで個人情報を扱う場合は、会社の法務担当と連携しましょう
インタビュー実施1:社内で練習
初めてインタビューをすると、緊張してうまく話せないことがあるかもしれません。大切なユーザーさんに迷惑をかけたくない、失敗したくないと不安があるかもしれません。
そんな時は、仲良しな同僚を捕まえて、インタビューの練習をしてみましょう。インタビューの流れに慣れてしまえば、当日の緊張は和らぐはずです。
私は今でも、新しい質問リストを作ったときは必ずインタビューの練習をしています。質問文が伝わりにくく別の言葉で言い直す必要があったり、予想時間が大幅に違っていたり、やってみなければ気づけないことはたくさんあります。
インタビュー実施2:直前準備
インタビューが始まる前に、やっておくべき準備があります。
対面実施の場合
インタビューで本音を聞き出すには、相手にリラックスしてもらう必要があります。椅子の配置、音楽、飲み物の用意など、インタビューの環境に気を配ることで、ラポール形成(※)を促進します。
※ラポール形成とは
一般的にラポールとは「親密な関係」や「信頼し合っている関係」を差し、相手を信頼して打ち解けた状態を「ラポール形成」と呼びます。 参考記事
オンライン実施の場合
昨今の状況から、弊社ではユーザーインタビューをオンライン(Zoom)で実施しています。そのため事前にZoomURLとパスワードを発行してご案内しています。はじめてZoomを利用するので不安だ、という方には事前に5分ほど接続確認をさせていただいています。
また、対面でもオンラインでも、インタビュー中はインタビューに集中できるように、あらかじめ議事録のフォーマットを作ったり、録音・録画の準備をしておきましょう。
インタビュー実施3:心構え
インタビュー中は決して相手の言葉を遮らないことを意識しています。なぜなら、ユーザーが伝えようとしていることをそのままの状態で受け取りたいからです。時間が押しているときは、区切りのいいところで「次にお聞きしたいのが」「ところで」など、枕詞を使って話を前に進めています。
また、笑顔を絶やさないこと。オンラインの場合は特にラポール形成が難しいので、さらに笑顔でいることを大切にしています。会話の途中でうなづいたり、心地よく話していただけるような場づくりを意識しています。
インタビュー分析1:文字起こし
インタビューが終わって一息ついたら、いよいよ分析に移ります。
インタビューの録音を聞きながら、ユーザーの発言を文字起こしします。
表情やニュアンス、言い直した言葉もわかるように記録しましょう。
例えば、サービス上ではAと呼んでいることをユーザーはBと呼んでいる、Aというワードが思いつかず言葉につまる等、ユーザーの言葉そのものではなく、コンテキストから読み取れることも分析の材料にできます。
インタビュー分析2:ポイントをグルーピング
文字起こしの内容から、ポイントになることをふせんに記入します。
一通り書いたら、ふせんをカテゴリー分けしたり、並び替えたりして、点を線で結べないか、ユーザーの発言の関係性があるか、抽象と具体を行き来しながら丁寧に見ていきます。
👉 POINT
ユーザーが教えてくれたエピソードは、カスタマージャーニーに添って体験ごとに並び替えると分析しやすいです。
インタビュー分析3:分析結果の活用
インタビューの目的に立ち返って、今回集まった情報からわかることをまとめます。インタビュー分析結果をもとに仮説を立てて、施策を打ち出して検証していくのもよいでしょう。
あらかじめ仮説を立てていた場合は、それが正しかったのか、間違っていたのか確認してみましょう。
インタビュー分析4:社内共有
忘れてしまうともったいないのが、社内への共有です。貴重なユーザーの生の声を伝えていくことで、全社的にユーザーに対する意識が高まり、目線が揃っていきます。これによってプロダクトの開発もスムーズに進み、体験改善のサイクルを効率よく回すことができます。
マクアケでは、エンパシーマップに近い独自のフォーマットを用いて、ユーザー1人につきペライチにまとめて展開しています。
また、分析結果の概要→個別の分析→議事録のように、どんどん粒度をこまかくして共有すると、必要な人に必要な情報が届きやすいと思います。
最後に...
私がユーザーインタビューをやると決めたきっかけは、とある施策をプランニングしていたときに、ユーザーとの距離が遠く、根拠となる材料がないので、仮説を持つことができなかったからです。なんとしてもユーザーの情報をとりにいかなければ!と思いました。
はじめはインタビューの知識がなく、経験者の友人にLINEしたり、電話でヒアリングさせてもらったり、情報を集めるのに苦労しました。
ユーザーインタビューをはじめたいけど、何から手につければいいかわからない......。そんな方に、この記事が届けばうれしいです。
私自身もまだまだブラッシュアップできることがあると思っているので、アドバイスやご意見があればぜひTwitterにご連絡ください!
ご覧いただいたように、インタビューは事前準備が9割で、ぜんぶ一人でやろうとするととても大変です。
次回は、どのようにインタビューを仕組み化し、実施する負荷を減らしているかについて書いてみようと思います!
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