在住8年目の日本語教師から見たホーチミンの魅力とは
「海外に興味を持ったきっかけは、小さい時に見た仮面ライダーの影響です。」
そう語るのは、長崎県佐世保市出身・ホーチミン在住8年目、現地で日本語教師として活動するのぶくんです。
今回は、ホーチミンに足を運び、ホーチミンの魅力や海外で働くというリアルについてお話を伺ってきました。
海外に興味を持ったきっかけは仮面ライダー
ーー ホーチミンに8年在住とのことですが、最初に海外に興味を持ったきっかけは何なのでしょうか?
実は仮面ライダーが大好きで、それが最初に海外に興味を持ったきっかけです。
昭和の仮面ライダーは、1つのシリーズが終わり次のシリーズが始まると新しい悪の組織が生まれ、また新しい仮面ライダーが生まれるんです。
そしたら前のシリーズの仮面ライダーは、海外展開された悪の組織と戦うために海外へ行きます。
そして強大な敵が現れ日本がピンチの時に、颯爽と世界各国からバイクに乗って助けに来てくれるんです。
その姿を見て「日本がピンチの時に海外から助けに来るヒーローのようになりたい!」と子ども心に火が付いたのがきっかけです。
その後ホーチミンに導かれ、日本語教師になるまで。
ーー 仮面ライダーってそんなにグローバルな展開をしていたんですね!そこから海外に興味を持って、日本語教師になろうと思ったのはどうしてなのですか?
大学生の時に、せっかく大学に行かせてもらったのだから何か資格を取っておこうと思い、一番簡単そうな資格の(笑)、日本語教師養成課程のコースを副専攻で取りました。
その後教育実習で、香港で日本語を教える機会があったんです。
その時の大学生が熱量がすごく高かったのと、フレンドリーに接してくれたことが楽しくて日本語教師をやってみたいと思うようになりました。
ーー 熱量高く学んでくれるのは嬉しいですね!海外の中でも、ホーチミンを選んだ理由はなぜなのでしょうか?
ゼミの先輩にたまたまホーチミンを紹介されたからです。
日本語教師の資格は日本でも活かせるものではありますが、当時普通に日本で会社員をやって働くというビジョンが見えなくて、先がわからない方が面白そうだし、おもいきって行ってみることにしました。
結局新卒からホーチミンにきて、そのまま8年こっちにいます。
最初は2年の業務契約だったこともあり、2、3年ぐらいの間隔でベトナムの他の街やカンボジアなどの国を周ってみることも考えたのですが、今思うとホーチミンが良い街すぎて落ち着いてしまいました。
最初からゴールに来てしまった感じがしています。
良い国すぎて離れられなくなったホーチミンの魅力とは。
ーー 最初は2,3年で他の国に行く予定が、良い街すぎて在住8年目に。そんなホーチミンの魅力について聞かせてください。
まずはとにかく人が親切です。
実は私、日本語のみを用いて教える「直説法」という方法で教師をしているんです。そのため、仕事でも日本語の会話がほとんどでベトナム語が喋れないんです。
でも生徒や友人が親切で、今まで病院について来てくれたり、タクシーに自分のバイクが当て逃げされた時には一緒にタクシー会社に乗り込んでくれたりしました。
本当はベトナム語を喋れるようになった方が良いとは思うんですけど...。
あとは活気があるところです。
平均年齢がたしか31歳くらいで、若い人が多い。平日でもお構いなしに深夜まで遊んでいる人が多かったりします。
私が教えている日本語学校のセンターに「ちょっと日本に旅行に行くから」という理由で、70歳のおばあちゃんが習いに来たり、下は6歳の小学生が日本語を習ったりと、若い人から高齢の方まで活気がある印象です。
ーー 私もホーチミンの空港に降り立った瞬間に、人の多さ、賑やかさの活気に驚きました。他にも魅力はありますか?
働きやすさも含め、住みやすいことです。
親日で日本文化を好きな人が多いので、日本語を教えやすいです。
日本の大学だとあまり想像できないかもしれませんが、大学生の生徒とよく一緒にバドミントンやビリヤードしたり、飲みに行ったりもします。友達感覚で楽しいです。
だから舐められてるのかもしれませんが(笑)。
あと日本にいる時より、色んな人と繋がりやすい気がします。
バーなどに行くと日本人同士というだけで話が弾むので、会社の社長さんとも繋がりができて、貴重なお話が聞けたりします。
そこから、私が運営している日本語会話グループに来てくれて、ベトナム人の生徒とも繋がったりして、和が広がっていくのも嬉しいです。
現在は3つの軸で活動中。
ーー ホーチミンの魅力をたっぷり伺えました!
日本語教師のお仕事では、どんな人たちに教えているのですか?
非常勤で、大学や日本語学校などのセンターで教えています。
大学では初級・中級レベルの日本語や、ビジネスの日本語、日本人の常識など。
日本語学校では、初級の会話や日本の生活習慣や文化などを教えています。
せっかく海外にいるので一人でも多くの学生に日本語を教えたいという気持ちがあり、一つのところに属してしまうと似たような学生に教えることになり、出会える生徒も限られてしまいます。
また、あまりにも初級だけをずっと教えていると自分の日本語力が落ちそうなので、複数の場所で教えるようにしています。
あとは先ほどもお伝えしたように、日本語の会話グループの運営もしています。週に1度必ず開催するようにしているんです。
ーー 会話グループでも日本語を教えているのですか?
日本語を教えるというより、コミュニティみたいな感じですね。
「チョイオイ日本語クラブ」という会話グループです。
私が教えている大学やセンターの生徒、自分の友達も集めてみんな繋げちゃおうという、日本人とベトナム人がみんなで交友関係を築ける場所なんです。
1年半くらい続けていて、Facebookのフォロワーも1,000人を超えて、今まで300人程の人が来てくれています。
ーー 繋がりの場を運営するという行動力がすごいです!他にも何か活動はされていますか?
他には、空手の先生もしています。
私が小さい時から空手をやっていたこともあり、現地の日本人に声をかけていただき、週に1度場所を借りて教えています。
スポーツ空手なので、バシバシ組み手をするというよりは、健康な身体を作りましょうというコンセプトでゆるく楽しんでやっています。
日本語教育を活かして、日越の架け橋になりたい。
ーーすべての活動に「人との繋がり」を感じます!
そんなホーチミンにどっぷりハマったのぶくんが、これからやっていきたいことはありますか?
そろそろベトナム語を覚えようと思います。
8年住んでると当たり前に喋れると思われているので、喋れないと言うと「どうやって生きてるの?」と言われます(笑)。
でもなんとなく雰囲気で読み取れるのと、周りに甘えてなんとかなるんですよね。喋れなくても生活できるのもこの街の魅力かもしれません。
ーー ベトナム語が喋れなくても暮らせる、働けるのは衝撃です。これからお仕事面でやっていきたいことは何かありますか?
若い先生を増やして、最終的には学校を作りたいです。
ベトナムの学生さんも、若い先生の方が嬉しいと思いますし、教え方も変えていきたいです。
使っている教材も古いですし、教えている先生の年齢層も高めなんです。
私も8年こっちにいると、今の日本語がわからなかったり、日本の習慣もどんどん変わっていると思うので、今の日本語を教えていきたいです。
今運営している日本語の会話グループはカフェでやっているので、例えば1階をカフェにして、2〜5階を学校にする、なんてことが出来たらいいなと思っています。
その日本語学校で優秀な人材を育てて、日本で活躍してもらえたら嬉しいです。高齢化が進む日本を、ベトナムの若い人材が働くことで助けられるかなと思っています。
日本に住んでいながら日本に貢献するというのは、ちょっとハードルが高いと思っていて。
地位があるような上のクラスの人じゃないとできないというか。
でも海外から日本に貢献するというのは私でもできる気がしています。
せっかくベトナムに来ていて日本語を教えているので、日本に繋いで貢献できたらと思っています。
日本語教育を活かして、日越の架け橋になりたいです。
最後に、海外で働いてみたいと思っている若者へ
ーー 海外から日本に貢献する、まさに海外にいる仮面ライダーが日本のピンチの時に助けにくるようなイメージですね!最後に、海外で働いてみたいと思っている若い方達へ、メッセージをお願いします!
ホーチミンは、のんびり海外で仕事をしたい、自分のペースで働きたいという人におすすめの街です。せかせかしてる人は合わないかもしれないです。
でもビジネスチャンスはたくさんあると思っていて、それこそバーで社長や経営者の方と知り合って、そこからビジネスに繋がるなんてこともありますし、気軽に何かのきっかけを掴む感じで来てくれたら嬉しいと思います。
あとはベトナム語が喋れなくても、人見知りでも問題なく楽しめる国です!
インタビューを終えて
今回のぶくんにインタビューをさせてもらい、「繋がり」という言葉が何度も出てきたことが印象的でした。
そんな繋がりを大切にするのぶくんが、今後日本とベトナムの架け橋となる活躍がとても楽しみです。
貴重なお時間を、ありがとうございました!
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