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古典ノベライズ

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記事一覧

蟷螂の斧(古典ノベライズ前編)

 昔々の昭和の頃に。  斉田町に住む荘介と言えばこの辺りで知らぬ者はいない、いわゆる札付…

虎穴に入らずんば虎子を得ず(古典ノベライズ後編)

(昨日 ↓ から続き)  その後のいわゆる急転直下は、いま思い出しても僕にはなかなか信じる…

虎穴に入らずんば虎子を得ず(古典ノベライズ前編)

「え、僕が付き添うの?」  祖母に監視を頼まれて、祖父が競馬場へ行くのに付き添うこととな…

漁夫の利(古典ノベライズ後編)

(昨日から続き)  スーパーマーケットの中年男性は、特売の鶏肉を手に持った老人の依頼をや…

漁夫の利(古典ノベライズ前編)

 ちょうどスーパーマーケット勤務の中年男性が、黄色に赤字の割引シールを貼るところだった。…

推敲(古典ノベライズ後編)

(昨日から続き) 「きゃ!」  歩きスマホでごめんなさい。  ボーっとしていて、どうやら…

推敲(古典ノベライズ前編)

 あたしは自宅の最寄り駅で電車を待つ寸暇をも惜しみ、手元のスマ-トフォン端末で、推しのライブ映像を見ていた。  人類の全歴史、洋の東西、性別、なんなら犬や猫や馬といった他の種族、あるいはイラストもしくは小説の中だけの存在、はたまたアニメやCG、神話の中の、そのどの存在よりも理想的な男性。  それがあたしの推す地下アイドルの【カンダユウキ】君、通称「ゆーくん」だ。  詳細な形容はしない。  ≪美≫そのものは形を持たないイメージだから、人間の言葉では絶対に説明しきれないの。  

蛇足(古典ノベライズ後編)

(昨日 ↓ から続き)  それから50年が経った。  還暦まで会社を勤め上げた武彦は、部下た…

蛇足(古典ノベライズ前編)

 ぽっちゃり気味の小学4年生・太一は、オーバーオールの良く似合う、絵の得意な男の子だった…

矛盾(古典ノベライズ後編)

カスタマーレビュー その2 さすらいの盾マニア さん ★★★★★ ChangJiangで購入  昨日…

矛盾(古典ノベライズ前編)

カスタマーレビュー その1 楚の国の或る人 さん ★☆☆☆☆ ChangJiangで購入  昨日の午…

『宇治拾遺物語』絵仏師良秀02(古典ノベライズ後編)

(昨日 ↓ から続き) 「年の瀬だし、神社みたいに誰かお守りでも焼いてんのかな?」  伸び…

『宇治拾遺物語』絵仏師良秀02(古典ノベライズ前編)

(先週 ↓ から「古典ノベライズ」の続き)  中3の年末に、学校で火災が起こった。  あの…

『宇治拾遺物語』絵仏師良秀01(古典ノベライズ後編)

(昨日から「古典ノベライズ」の続き)  部活は美術部にした。  真面目な部員には本当に失礼ながら、オレは「サボれる」と確信していた。  顧問は「ハイ、これ」と美術室のカギを新1年生のオレに放って帰ってしまうくらいやる気がないおじいちゃん先生で、オレは放課後の部活時間(昔は強制的にどこかの部に所属するルールがあった)をまるまる自由に使える環境に置けることとなった。  ただしさすがに、真面目にやっている他の先輩部員3人の目もある。  とはいえ放課後を自由時間認定していたオレは