見出し画像

建築士の働き方(2)~出産後も働くために、私がやってきたこと

建築学生だったころ

 20年前建築学生だったころ、同級生の女子何人かが言っていた。
「将来、結婚したら専業主婦になって、建築をやめる。」
ショックを受けた。え? 今こんなに建築の勉強がんばっているのに? やめちゃうの?
 今思えば、当時の状況では、建築しながら家事育児するのは、不可能ではないが現実的に相当ハードで、賢明な判断だったように思う。

出産後も働くには?

 その時から私は、出産後も働くにはどうしたらいいか考えていた。そしてまず、いきついた考えが、「結婚前に建築士の資格をとる!」ということだった。
 当時は就職氷河期。就職できて働いたとしても、出産で一度会社を辞めてしまったら、その後、雇ってくれるところなんてないかもしれない。でも、建築士の資格さえあれば、どこかに再就職できるんじゃないか?
 育休産休という考えは頭になかった。当時、産休などの制度が整っているのは、公務員か大手企業くらいで、女性は、結婚、出産したら辞めるというのが多かったように思う。

設計事務所に就職

 地元の小さな設計事務所に就職。人生設計どおり、試験勉強をがんばった。なまやさしい試験ではないし、合格するまで4年かかった。「結婚するまでに、絶対に合格するんだ!」というのがモチベーションだった。(逆に結婚前の合格にこだわりすぎて、恋愛がうまくいかないこともあったけど·····)

小さな会社に産休制度はなし

 晴れて20代後半で一級建築士取得。その5年後に結婚。そして妊娠。
 女性の先輩社員は、結婚、妊娠したら会社を辞めていた。その後再就職で戻ってくることもあったけど。
 私も就職したての、実力も資格も無い時に妊娠したら、辞めるしかなかっただろう。
 社員数人の小さな設計事務所だから、会社としても、出産育児が落ち着いた後に、再雇用できる余裕があるかはわからない。

産休制度を調べてみる

 でも今は資格もとった。産休育休制度を調べてみる。
 想像していたほど会社の負担は大きくないことがわかった。
 休んでいる時の社会保険については免除制度があるし、育休産休手当金は、給料の何割かを国や雇用保険から、本人に直接給付してくれる。
 ちょうど少子化対策で、政府がそうした補助を充実させている時だった。

産休育休制度を整備!

 これなら、産休を認めてくれるかもしれない。相談したら社長に理解してもらえた。
 そして、自分でハローワークや役所に聞きに行ったりして手続きをした。(ハローワークの人も、普通は経営者や事務担当が手続きに来るのに、お腹の大きい本人が来ていて驚いていた。)
 これで、会社に産休育休制度の整備ができた! 
 その後、後輩達が産休育休取れるようになったのも、私におかげじゃないかと、勝手に自負している。(その後、2人目3人目を産んで一番活用したのは私だけど······)

時短勤務で復帰

 すでに女性の先輩社員が、朝9時~夕方4時の時短勤務をしていたので、時短勤務で復帰することは、会社にすんなり理解してもらえた。子供の急な病気で休んだりすることにも、理解があった。

まとめ

 これが私の産休に関する歴史です。
 こうやってふりかえると、20年前とだいぶ時代も社会全体も変わったなと思う。
 でも今でも、妊娠したら会社を辞めるしかなかったという話を聞くし、育児との両立をあきらめて、建築を辞める人もいる。

 皆様のまわりでは、どうでしょうか? またご意見頂けるとありがたいです。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?