身体能力を向上させるために知っておきたい定義
身体能力を高めるために、まず、「身体能力とは何か?」を考えてみたいと思います。
「身体能力」と似た意味で使われる言葉に、「運動能力」や「運動神経」がありますね。
それぞれ違うものなのですが、どのようなものか理解されていないのと、混同されていることが多く、そのことが、カラダの可能性の扉を開く妨げになっていると感じることがよくあります。
運動神経ってなんだ?
スポーツをしている人と話をしていると、よく出てくるのが「運動神経」というキーワード。
同じように練習をしているのに、なかなか上達できないのは運動神経が悪いからだとか、運動神経は5歳頃までに80%ができあがると言った情報を見て、「もっと小さい頃から始めさせておけばよかった」といった言葉を聞くことがあります。
多くの人が運動神経に持っているイメージは、生まれ持ったものであったり、幼少期の運動量で決まると言ったものですね。
でも…。
運動神経は、生まれ持ったものではありませんし、完成すると言われている12歳を過ぎてからも向上させることはできます。
運動神経を誤解していると、「運動神経が無いから…」と思い込み、自分の限界を勝手に決めてしまったり、諦めてしまう…と言った間違えた判断をしてしまいます。
このような間違えた判断をしないためには、「身体能力」「運動能力」「運動神経」が、それぞれどのようなものなのかと、その違いを知っておく必要があるのです。
運動神経と運動能力と身体能力
では、運動神経、運動能力、身体能力は、それぞれどういったものなのでしょうか?
●運動神経:イメージ通りにカラダをコントローする能力
運動神経の良い人がどんな競技でも上達が早いのは、教えられたことや、トップアスリートの動きを再現することができるからです。
●運動能力:カラダを動かす能力
カラダを動かしているのは筋肉ですから、筋力、持久力、瞬発力、持久力、柔軟性など筋肉の機能が高いほど基本的に運動能力は高くなります。
●身体能力:身体が持つ総合的な能力
身体能力が高い人ほど、動きのパフォーマンスは高くなります。
そして、それぞれの関係をシンプルに表現すると「身体能力=運動能力×運動神経」となります。
ここで紹介をした「身体能力」「運動能力」「運動神経」の定義は学術的なものではありません。しかし、実践的な意味を分類すると上記のように定義することができるのです。
何故、言葉の定義が大切なのか?
「言葉遊びをしているわけでは無いのだから、なにが運動神経で、なにが運動能力で、なにが身体能力なのかなんて定義はどうでもいい」
そんな声が聞こえてきそうですが、それは違います。
人間は元々素晴らしい身体能力を持っています。
もし、現在、身体能力に問題があるとするなら、それはどこかに問題があるから。その問題点を見つけ出して解決すれば、誰だって身体能力を高めることができる。
でも…。
その問題点を見つけ出すには、全体を部分に分けることが必要なのです。
例えば、クルマを速く走れるようにしたいときも同じです。
他の人が「足回りの整備をして速く走れるようになった」という言葉をうのみにして、足回りの部品を新しいものに取り換えたとしても、速く走れるようになるとは限らない。だって、問題点はクルマによって違うからです。
まず、クルマを、エンジン、ボディ、足回りの3つに分類し、どこに問題があるのかを考えていくことで、問題点を解決することができる。
思っているようなパフォーマンスを発揮できていない場合も同じように考えます。
他の選手がやっているから…という理由でやみくもに練習をしても、身体能力を高めることはできません。
その原因が、運動神経にあるのか、運動能力にあるのか…。
もし、運動能力に問題があるとするなら、その原因は何か?…と全体を部分に分けて考えていくことで自分の課題を解決できるようになる。だから、定義をすることが大切なのですね。
構造、機能、性能との関係
以前に、人間の身体能力を向上させ、動きのパフォーマンスを高めるには「筋肉の機能」「骨格の構造」「神経の性能」の3つの要素が必要だという話をさせていただきました。
この3つの要素で分類すると「運動能力」「運動神経」「身体能力」は次のような関係になります。
つまり、運動能力を向上させるなら「筋肉の機能」と「骨格の構造」のどちらに問題があるのかを考えて、それを解決する取組を。運動神経を向上させるなら「神経の性能」を高める取り組みをすることで、身体能力を向上させることができるのです。
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