見出し画像

視点を変えると身体能力の伸ばし方が見えてくる

視点が思考を、思考が発想を、発想が行動を、行動が結果を生み出す…と言いますが、どんな視点で物事を見ているのかによって、結果はまったく違うものになります。

そして、これは、身体能力を高めるときも同じ。
身体能力をどんな前提で見ているのかで、それを高めるための思考も発想も、行動も結果も全く違うものになるのです。



人間に秘められた身体能力

これは、山形県庄内地方の「5俵かつぎ」という有名な写真。
1俵が60㎏なので、5俵だと300㎏もの重さを背負っていることになりますが、実は、写真の俵は全部にお米が履いているわけではありません。

五俵担ぎ

山形新聞の昭和59年9月29日、朝刊に写真の女性のインタビュー記事が掲載されたそうですが、「あくまでも観光用の写真撮影だった」「実は二俵はもみがらが入っていた」と答えています。

でも…。
3俵が本物ということは180㎏。
当時の女性が、現在よりも平均身長が低く小柄だったことを考えると、驚くべき力です。

山形県庄内地方には40人ほどの「女仲仕」と呼ばれる女性たちがいて、倉庫前の舟着場から蔵まで急な坂を行ったり来たり荷運びをしていたのだとか。
そのノルマが、1日1,000俵だったというのですから、人間が持つ身体能力には驚愕しますね。

身体能力に対する前提が大切

さて、多くのスポーツパーソンと話をしていると気が付くことがあります。
それは、普通の選手は「スタート発想」ですが、トップアスリートの多くは「ゴール発想」だということ。

スタート発想とは、ゼロから積み上げていき、高く積み上げるほど身体能力を高めることができるというスタートから始まるという発想。
その根っこには、「もともと人間の身体能力は凡庸」という前提があります。

ゴール発想とは、「人間はそもそも凄い身体能力を持っている」という前提で、この視点で身体能力を見ていると、どうすればその能力を引き出すことができるのか…という発想になります。

スタート発想とゴール発想

この「身体能力」に対する前提(視点)の違いが結果に大きな違いを生み出していると私は考えています。

例えば、どんな競技でも簡単に上達できるわけではありません。
壁にぶつかったり、自分に限界を感じたりすることもあるもの。

そんな時、スタート発想だと、「運動神経が鈍いから…」「体格に恵まれていないから…」「筋肉がつきづらい体質だから…」という思考に陥り諦めてしまうことも。
ところが、ゴール発想だと、「もともと人間は優れた身体能力を持っている」というのが前提になっているので、自分の可能性を諦め、心が折れてしまう…なんてことが少ないのです。

このようにスタート発想とゴール発想ではメンタリティが違ってきますが、身体能力向上のためにやるべきことの発想も異なってきます。

身体能力を向上させる思考法

前半に「女仲仕」の話をしましたが、本来、人間は優れた身体能力を持ってます。その能力を引き出しさえすれば、自分でも驚くほどのパフォーマンスを発揮することができますよね。

人間の身体能力は、「筋肉の機能」「骨格の構造」「神経の性能」の3つで決まりますが、この中の一番低いレベルで動きのパフォーマンスは決まります。

分かりやすく言うなら、筋肉の機能が90点、骨格の構造が50点、神経の性能が70点なら、動きのパフォーマンスは50点になるわけです。
この状態のまま、トレーニングを頑張って筋肉の機能を100点まで上げたとしても、動きのパフォーマンスは50点しか発揮することができません。

機能、構造、性能の一番低いレベルが身体能力になる

この例なら、骨格の構造を70点にすれば動きのパフォーマンスは70点まで高めることができます。
その後、骨格の構造と神経の機能を、それぞれ10点ずつ高めて80点にすれば、動きのパフォーマンスを80点にすることができる。

このように、どこに問題があるのかを見つけ出し、それを解決していく…というプロセスでやるべきことを決めて練習メニューを組立てていく。これが身体能力を向上させる思考の仕方なのです。

問題点を解決していくことで身体能力を高める

まとめ

そもそも人間は素晴らしい身体能力を持っている!という視点になると、壁にぶつかっても諦めることが無くなるし、思考や発想も変わってきます。
本来ある身体能力を引出していけばいいだけなのですから、今、身体能力を引出せていない原因(問題点)を見つけ出し、その課題を解決するという考え方になるのです。
そして、この考え方こそが効率よく身体能力を高めていく思考法なのですね。

次の記事へ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?