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「攻めているつもり」が衰退のはじまり

攻めに攻め続けて、組織は防戦一方というのはスタートアップの日常風景。それに対して、安定感のある小規模チームで収益モデルを確立してから、スケールに向けて組織の再現性を高めていくのが定石と言われているが、成長を遂げているスタートアップでも多くの場合は組織を宥め透かしながら、なんとか乗り越えているのが実情だろう。

そうした苦労の末、事業と組織の成長基盤が整ったと感じた瞬間の起業家の顔は、これからの事業と組織の更なる成長に強い手応えを感じ、自信に溢れ発言一つ一つにも重みが増してくる。株主としても、忍耐強く待った甲斐があったと喜ばしい瞬間である。

実はその時にこそ衰退の入り口に立っていないのか注意してみたい。
ここぞとばかり事業成長のために投資を重ねようとする瞬間に何を言うのかと言われるかもしれない。また、数年間は経営者も従業員も刺激的で心豊かな成長を享受できるのも事実だろう。しかし、事業を伸ばすため「攻めているつもり」になるが、組織は拡大再生産を達成するために効果的・効率的な運営となり、安定しながら固定化し排他的になっていく事を忘れてはならない。

私の原体験はサイバーエージェントに在籍した2003年から2013年に遡る。10年間で事業も組織も大きく変貌を遂げた。事業は祖業であるインターネット広告代理事業から、アメブロを主力としたインターネットメディア事業、そしてスマホシフトを機会としたゲーム事業と事業ドメインを拡張した。

組織はというと、その時その時で混乱したり軋轢もそれなりに生まれていたと思う。しかし何度か繰り返す中で「変化することが当たり前」と理解するようになった。更に強みも広告代理事業で得た「運用力」から、メディア事業で「優れたものを追求する力」、ゲーム事業で成功と失敗を許容する「スクラップ&ビルド力」を体得し、人材交流を通じて強みを掛け合わせしていく事ができるようになった。インターネット広告事業はいまも成長し続ける柱の一つではあるが、経営陣が当時の強みを保持する事に固執していたら、いまのサーバーエージェントはなかっただろう。

サイバーエージェントの事例は事業がうまく行った事による結果論と言う人もいるが、事業と組織の成長基盤が出来上がった時、いまある強みに固執せず異物をも取り込みながら組織的な混乱期(ストーミング)を迎えてこそ、飛躍的な成長が可能になるという大切なことを教えてくれる。

WiLが立ち上がり10年、私が入社して10年が経った。組織も自分もまだ未発達であるが、強みの言語化はここ数年で大きく進展した。「攻めているつもり」になっていないか自問し、創業メンバーの「国づくり、人づくり」をしようという思いに原点回帰して、飛躍的な成長を思考したい。

おまけ)事業の攻め・守り/組織の混乱・安定を分けて考えてみる

スタートアップがまず目指す姿
新たな挑戦に挑む時
(ただしタイミングとリソースは充分に考慮が必要)

0→1の創業期を体験した人だけが「強みはつくるもの」と肌身で理解しているが、10→100しか経験していないと「強みがないのに出来ない」という思考に囚われやすい。また、創業者でないと既存勢力の反対に押し潰されやすいだろう。事業立ち上げは創業期と同じ難易度ではあろうが、組織として意識的に混乱期(ストーミング)を迎える事を理解し納得を促せれば、成功確率が高まるかもしれない。


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