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関ジャム「プロが選ぶマイベスト10曲」のこと


関ジャムはいいぞ

 バイヤーのおすすめとか、今年のベストバイみたいなポップや記事をよく見かける。その商品を愛する人に熱くオススメされるとつい買ってしまうから不思議だ。「ハイハイ、そういうマーケティングね。」と冷静になれる時もあるのだけれど、まあ影響されやすいタイプなので大体買っちゃう。買わなくても欲しいなとは思っちゃう。

 日曜の午後に「やすとものどこいこ!?」という番組がやっていて、やすともさんとゲストの芸人さんがわちゃわちゃとしゃべりながら買い物をしているのを、ぼーっと見ているだけで楽しい。「これめっちゃええで。」「これおいしいで。」だけで間が持つ。後日、買い物をしてるときに同じ商品を見つけたら「あっこれ、やすともが買ってたやつ」と思う。まあ自分も買うとは限らないけど。

 そんな自分が毎年欠かさず見てるのは、関ジャムの「プロが選ぶマイベスト」。関ジャム自体、好きな番組でTVerの配信でよく見ている。ゲストのミュージシャンが毎回マニアックな話を熱く語るのが良い。名曲に隠された技法を、目の前のキーボードなどの楽器をチャラランと鳴らしながら解説する回が特に好き。

 清塚さんのトークの面白さと音楽の知識のすごさをこの番組で知ったし、SUPER BEAVERの渋谷さんのイメージはこの番組を見てガラッと変わった。
 そういえばPEOPLE 1の曲をはじめて聞いたのも関ジャムだった。

 今週もマイベストの前半の紹介があって、自分が知らない素敵な曲がいっぱいあった。いいなと思った曲の感想をここに残しておこうと思う。

Cody・Lee(李) 「おどる ひかり」

自分が学生の時に聞いていたのは、「くるり」だった。
特に「ばらの花」と「ロックンロール」。
でも、もし、いま自分が大学生だったらこの曲だったかもしれない。

イヤホンからこの曲をかけながら、駅から学校まで歩いていたかもしれない。「たまにはー」のところで、口をぱくぱくさせて、口ずさんだりしてたかもしれない。
自分の恋心と、この曲を重ねていたかもしれない。

踏切で満員電車を見送りながら自分と同じ学校の制服を探したり、
夕方のオレンジ色の光を反射させた池のそばを歩いてみたり、
そんな思い出は1ミリもないのに、懐かしさで泣いてしまいそうなる。

現実には存在しない思い出が捏造されていく。

青春をしっかり掴み切れなかった人ほど、
青春っぽいものに夢中になってしまうのかもしれないな。
コンプレックスなのか、ノスタルジーなのか。
何にせよ、この曲はとても良い。
イントロから既に良い。

ラッキーセベン「ぼくらのまま」

悲しいけれど、だれもが年を取る。

 子どものころは学年が上がったり、小中高の何年生みたいな一括のくくりがあった。
でも、成人式以降はこれといった年齢でくくるイベントがない。
還暦までの40年間フリータイムだ。いろんな人生があるけど、だいたいの人は死ぬまで働き続けるだけと言えばそうなんだけど。

 妙に若者ぶってるおじさんおばさんがいるなと、学生のころは思っていた。学生時代を遠く過ぎて人生を振り返ると、その年月が超特急過ぎて、各駅停車で進んできた青春時代がまだ近くにあるような感覚になってしまうのだと最近分かってきた。
 自分自身そんなに良い青春時代を過ごしたわけでもないのに、むしろ暗く鬱屈して辛いことも多かったのに。
それでも過去はなつかしい。
(思い出したくもない記憶も、たまに湧いてくるけど。)

 若者の歌う声に圧倒されて、ノスタルジーについ浸ってしまう。
 最初は足湯だけのつもりだったのに、いつのまにかがっつり首までつかってしまう。

 飲み会の帰り道、次の店に行くのか行かないのか、ふらふらへらへら過ごしていたどうでもいい時間まで、何かとてつもなく良いものだった気がしてくるから不思議だ。

 冷蔵庫の奥で腐っていくジャガイモみたいに、ワンルームからあまり出ずに映画ばかり観てた自分。
 未来への不安が、そのまま可能性の裏返しだったと後になれば思う。

 コンビニで買った数枚のカードが入ったパックの中に、レアなものがあるかわくわくして開けたら大したものが入ってなくて、でもそれを自分のものとしてデッキに入れるみたいな。
 みんな自分の中にどんな才能や可能性が眠ってるかドキドキしながら、大会に出たり、試験を受けたり、歌を歌ったり、絵をかいたりする。僕の場合は文章を書くことだったけど、今のところ大当たりには出会っていない。

学生時代の仲間とは、ほとんど誰とも連絡をとっていないんだけど、目を閉じれば浮かぶのはそのとき一緒にすごしていた「ぼくら」なんだよな。みんな元気かな(面倒くさがりだから連絡はしないんだけど)。

虹のコンキスタドール「君がいて良かった!了解です。」

作詞家のいしわたり淳治さんの5位だったこの曲。
曲名にインパクトがあり、歌詞がおもしろい。
コミュニケーションのズレ、ギャップ、そこに何とも言えない軽やかさがある。

いしわたりさんが、この曲を「了解です」の明るい料理法と紹介してる記事も見つけた。https://www.asahi.com/and/article/20231025/424207781/

「了解です」というフレーズを使ったキャッチ―な歌
というのが第一印象なのだが、その奥にアイドルとファンの関わり、それを含めた男性と女性の関わり方への風刺のようなものを感じるのだ。

アイドルに限らず有名人のSNSでコメント欄や返信、場合によってはDMでいろんな感想や質問が投げかけられている。
もちろん、そのすべてに返事をしている訳ではない。その注目度が有名人の持つ力を示していると言えなくもないが、相応のストレスはありそう。

あまり詳しくはないが、アイドルは握手会や公演のあとなどにファンと直接会話することもあるのだろう。
そもそもアイドルに限らず若い女性には、直接的な口説きから遠回しに会話を引き延ばす質問に常にさらされている。そういうLINEなどのメッセージが来ることも多いはず。

面倒だなと思うけど、完全に無視するわけにもいかないし、必要以上にやさしくすると相手を勘違いさせてしまう。(それくらいで勘違いするタイプはちょっとしたやりとりすら危険な感じすらある。)
その塩梅が難しい。
職場の上司や学校の先輩後輩、友達など関わりが続く人間だとより面倒だ。
セクハラの線引きも難しいが、そのやり取りそのものに時間をとられること自体がもうすでに微妙なかんじ。

「塩対応」なんて言葉も流行ったが、相手を不快にさせず、かつストーカーのように粘着されないようにしなければならない。
一休さんのとんちのような難易度である。

その一つの最適解が「了解です!(スタンプ)」なのだ、と思う。
無視するわけでもない。
会話を続けるわけでもない。
ただ明るく元気よく会話をぶった切る。ワンパンチで強制終了。

君がいて良かった!(了解です)
出会えて良かった!(了解です)
顔見れてよかった!(了解です 了解です)

虹のコンキスタドール「君がいて良かった!了解です。」

褒められても、ありがとうと言わない。

髪型変えた?(了解です)
(略)
久しぶり元気?(了解です)
最近どうしてる?(了解です)
なんかそっけないね?(了解です)

虹のコンキスタドール「君がいて良かった!了解です。」

質問にも答えない。
こちらの情報を必要以上に渡さない。
内容を考える時間をかけない。時短だ。

どしたん話聞こうか?(大丈夫です。)

今夜空いてる?(空いてません。)

パスタ屋行こうよ?(No Thank You!)

虹のコンキスタドール「君がいて良かった!了解です。」

ただ「了解です」だと、誘いを了承したと勘違いされそうなものには、「大丈夫です」。
必要に応じて「○○ません」という否定系。
断るのに「嫌です」とか、「行きません」だと角が立ちそうなときには”No Thank You!”という英語のワンクッションまである。

この「了解です!」は返事ではあるのだけど、「はい見ました」くらいの意味しかなく、スタンプつきの既読通知に近い。
でもそのスタンプが愛想よく可愛らしいので、その冷たさが程よく中和されている。歌声も、ポップでさわやかな感じなので、負の感情をお互いに表に出さぬまま、やりとりがおわる。
義理チョコならぬ、義理スタンプ。
それもまた、現代のコミュニケーションのひとつの形なのだろう。

Khaki - Undercurrent

かっこいい。
めっちゃ好きな感じ。
とにかくかっこいい。もう最高。
ライブに行きてえ、スピーカーから爆音で聞きてえ。
ライブハウスでもええ、フェスでもええ。
めっちゃかっこいい。
浴びてえ、浴びてえよ。
という感じ。
語彙力がなくなる。

離婚伝説「愛が一層メロウ」

愛が一層メロウ 愛が一層メロウ 愛が一層メロウ
愛が一層メロウ 愛が一層メロウ 愛が一層メロウ
愛が一層メロウ 愛が一層メロウ 愛が一層メロウ
愛が一層メロウ 愛が一層メロウ 愛が一層メロウ





今年も豊作。
次の日曜日に後半戦。
上位が発表される。たのしみだ。

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