見出し画像

単なる人材紹介ではない?決算から読み解く「フォースタートアップス」の戦略。HRのIR

元リクのなまリクです。主にHR領域のIRについて書いています。今回は2020年に上場したフォースタートアップス社のIR分析です。
※この回は「フォースタートアップス社 2021年3月期 第1四半期 決算(2021年4月〜6月)」を起点に解説しています。

単なる人材紹介ではない「ヒト」と「カネ」のスタートアップ支援

フォースタートアップス社。主にスタートアップ企業向けの人材紹介事業を展開しています。 このように記載するとなんの特徴もないですが、「オープンイノベーション」事業として、スタートアップ情報を集約した「STARTUP DB」を構築、これを活用して大手企業や官公庁や自治体とスタートアップ企業の連携を促進するサービスを提供しています。 これをフォースタートアップス社では「ハイブリッドキャピタル」と定義し、「ヒト」と「カネ」の支援を同時におこなうことで企業成長を後押しする「成長産業支援事業」を行っている点が、他の人材紹介とは異なるフォースタートアップス社のユニークネスです。

昨期2021年3月期通期決算は増収減益(下図)。売上高は前年比+0.8%、営業利益 △48.8%。20201年3月期は新型コロナウィルスの影響は受けたものの、売上はCAGR30%程度で堅調に推移しており、また好調な1Q決算を受け2022年3月期通期予想は売上高は前年比+72%、営業利益+185% と大きく上方修正。増収増益見通しです。

画像1

フォースタートアップス社2022年3月期第1四半期決算より
なまリク作成

気になるオープンイノベーション事業の行方は?

今回の1Q決算(2021年4月〜6月)ですが、QonQでは前年比売上およそ+75%、営業利益およそ+215 %と好調な推移です。先にも記載しましたが、これにより通期業績予想を上方修正しています。

尚、1Q決算の開示以降に株価が大きく上昇、時価総額はおよそ110億。PSR(株価売上高倍率)はおよそ5倍です。

業績好調な一方で、売上高の内訳は「タレントエージェンシー (人材紹介)」でおよそ5億、「オープンイノベーション 」ではおよそ1,500万とほぼ人材紹介事業で売上が構成されています。フォースタートアップス社が他の人材紹介会社から一線を画すには「オープンイノベーション 」の戦略実行が肝になりそうです。

「オープンイノベーション」の昨期4QはNEDO、内閣府からの2,500万円規模の受注により成長、一方で1Qは1,500万規模の売上高で着地しています。過去の実績を見てもまだまだ大型受注によるボラティリティが高い事業で、「オープンイノベーション」事業ポートフォリオの確立を課題としています。

一方で、スタートアップへの「ヒト」と「カネ」両面での支援、いわゆるハイブリッドキャピタルを実行するために、今後は資金調達を支援するサービスや、ベンチャーキャピタルの設立を検討しているようです(下図)。この「現オープンイノベーション」事業が「ベンチャーキャピタル 」事業に進化する時に、これまでの「人材紹介屋」にない新しいビジネスモデルの創出が期待できます。この期待がフォースタートアップス社のユニークな点であり、HR領域に一石を投じるとても興味深い取り組みになるかどうか?これからも目が話せません。

画像2

フォースタートアップス社2022年3月期第1四半期決算より


今回の記事はお楽しみいただけましたでしょうか。また次回の記事でお会いしましょう。なまリクでした🐶🐶🐶

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?