あじさいタウンを忘れない。
あなたはあじさいタウンという漫画、もしくはバンドを知っていますか?
恐らく知らないでしょう。
それは昔、インターネット上で連載していた漫画。
もしくはインターネット上で活動していたバンド。
単行本も出ているものの一巻のみしか刊行されておらず、入手もちょっと困難です。と思ったらアマゾンにありました。買いましょう。
リブート的な存在のあじさいタウンセッションズに至っては単行本化されておらず、ネット上での公開も終了しているため私の知る限り現在読むことはできません。
この表紙からしてよくないですか?いいですよね。
またCDも出ていますがやはり再販はされておらず入手は困難です。
私は持っていましたが誰かに貸したっきり帰ってきません。返してくれ~
さて内容の話もしましょう。
主人公は表紙の金髪の男の子、三島リツオ。
彼は高校生の時表紙の黒髪の男の子、多田正と出会います。
ふたりには音楽好きという共通点があり、ほかのメンバーを集めてバンドを組みますが、彼らとほかのメンバーとの間には熱量の違いがあり長くは続きません。
それから1年半、うだつの上がらない生活(恐らく大学生活)を送るリツオに天啓が下ります。
茶柱が「バンド」の形に立っていたのです。
その勢いのまま正を巻き込み公園でメンバー募集ライブを決行します。
そんな彼らの隣には偶々エレキチェロで一人演奏する少女が一人。
ここボーイミーツガールポイントです。
そう、表紙の女の子、歌島実々子ちゃんです。
彼女は演奏中に男二人にナンパされます。
それを勇敢にも止めに入るリツオと正。
けれども貧弱な彼らは返り討ちに合ってしまいます。
結局実々子ちゃんは自力で簡単にあしらい二人に
「どうもありがとう」
と微笑みます。かわいい。
その可愛さに乗せられてかはたまた運命的なものかリツオは彼女にその場で連絡先を聞きます。
その流れで少し世間話をしていると実々子ちゃんがベースをやってることを知り、とりあえずスタジオでセッションしてみることを提案する正。
女の子も喜んでセッションに同意するもののお願いがあると言います。
「それって私の友達も連れてっていいかな…?」
そしてセッション当日、リツオと正がカフェで待っていると
こうして四人目ののメンバー、ヌッさんことヌートリプト・イポダミッソチと出会います。
そして初セッション。未知なるコードで未知なる音を出したヌッさんとそれに負けず劣らずな演奏をした実々子ちゃん。
そうしてあじさいタウンというバンドは組まれました。
もうね、良いんっすよマジで。
実々子ちゃんは青いリッケンバッカーのベースを使ってるんですけどすごいマッチしてるんです。
正の安定感も癖になります。
そんでそれを踏まえたうえであじさいタウンセッションズはね、いい漫画だったんです。
あじさいタウンよりも繊細にキャラクターの環境や内面に切り込んであり、音楽をやってる感がより濃かったんです。
リツオの歪んだ家庭環境を実々子ちゃんがズバッとするシーンは読んでてハッとした思い出があります。
画力も上がっていましたしね。上がっていたというか洗練されていたと思います。すごい魅力的でした。
お願いですのでどこかで読めるようにしてください。販売でももちろん構いません。
そしてこの漫画の新しかったところは彼らの曲が実際に聴けるところでした。
これはあじさいタウンの後期の曲で結構実験的なのが多いように感じます。
宇宙人がいるバンドを感じてください。私はAction Day好き。
けれどもすべて過去のこと。
もうインターネット上でも彼らの活動の痕跡ばかり、しかもそれも少ししかありません。
全ては思い出になってしまったのです。
作者の紫(木)村リノで検索してもほとんど情報もヒットしません。
まあ他所で活動してるっぽいのは知っていますがそちらも半年くらい活動してなさそうです…頑張って…
とにかく私たちはもうあじさいタウンの残したわずかな痕跡を味わい続けるしかないのです。
けれども私は信じています。この世界のどこか、あじさい町ではリツオたちが尖ったバンドを続けていると。彼らは時に問題に直面しながら、時には笑って生き続けているのです。
ベースが気持ち良すぎるだろ。私がベースに興味持ったのはロンリーナイトフィーバーのせいといっても過言ではありません。
てか今調べてて知ったんですけど
まだあじさいタウンを覚えてる人がいる!
正直曲はあじさいタウンっぽくどころかあじさいタウンの陰湿パーティナイトという曲そのものなのですが覚えていてくれていて創作までしているなんて私は少し泣きました。
確かにぼっちちゃんとリツオって重なるところありますよね!
この喜びを噛みしめながら私は眠ります。
皆さんも是非ネットの海からあじさいタウンの残り香を探してみてください。
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