ワンダー 2人だけの読書部②
2人だけの読書部顧問です。
今日は何やら、緑さんが少し不機嫌です。
緑:気に入らない。
翔:え、まじか、緑はワンダー、気に入らなかったか!
緑:ワンダーはめっちゃ気に入った。
翔:え?じゃあ、何が気に入らないんだよ?
緑:翔が気に入らない。
翔:なんで俺?全然心当たりないんだけど?
緑:緑も気に入ると思うよって爽やかにハードル上げた作品が期待以上に面白かったから、なんかムカつく。あと、わたしの好きそうな作品を当ててきた感じもムカつく。
翔:なんじゃそりゃ。2人だけの読書部員なんだからそういうのはわかってくるし、それってむしろいいことじゃんよ。お門違いな怒りはさっさと沈めろ。
緑:さっさと沈められるような都合いい怒りなんてないわ。てか、怒りまではいってない。なんかムカつくってだけ。
翔:はいはい、もういいっての。で、ワンダー、どこがよかった?
緑:全部。特にヴィアがめっちゃ好き。
翔:わかるわー!緑、ああいう人間らしいキャラクター、好きだよなぁ。
緑:ムカつき度、アップしたんだけど。
翔:なんでやねん。
緑:翔の関西弁、ウケる。
翔:なんかこの軽口、オーギーとサマーみたいだな。
緑:あの2人の感じ、いいよねぇ。この作品ってさ、やっぱり日本ではかなり難しい物語だと思うの。こういうセンシティブな問題を軽妙かつ希望を持たせた作品にするには日本って真面目すぎるって感じがして。
翔:なんとなくわかるよ。日本だと川上未映子さんのヘヴンみたいな作品になるようなテーマだよな。どっちもすごい小説だけど、好みとしては俺はワンダーみたいな綺麗事に触れていたい。ヘヴンも希望のラストだけど、かなりべヴィで。現実逃避ってわけじゃないんだけど、自分がオーギーの立場でもオーギーの友人、親の立場でもここに出てくる人物みたいな人間でありたいと思えるから。
緑:ワンダーのキャラクターたちはそれぞれの優しさを持ってるよね。ジュリアンもきっと腐りきってはないんだろうし。キャンプ?みたいなやつで突っかかってくる七年生みたいなクズも残念ながら世界にはいるけど。誰だったかが言ってた世界には悪い人もいるけど、いい人のほうが多いって信じてるって言葉は信じられる綺麗事だったなぁ。
翔:たしか、オーギーのママの言葉だな。学校の先生たちもだけど、ワンダーに出てくる大人っていいこと言うよなぁ。なにげに最初の方に出てくるおばあちゃんからヴィアへの言葉に泣けたんだよ。わたしはあなたのことを1番に思ってるよみたいなやつ。そのあとにすぐ他界しちゃって。俺、めっちゃおばあちゃん子だからああいうのダメなんだよなぁ。ドラえもんのおばあちゃんのやつとかでめっちゃ泣いちゃうもん。
緑:え、なに、その翔の可愛いポイント。しかもわたしもそのシーン、めっちゃ好き!ヴィア視点で語られるとこだし、こうヴィアの不器用さを理解してくれるおばあちゃんが早くに亡くなってしまうところの切なさが胸にくるんだよね。オーギーのお姉ちゃんとしてオーギーを守り支えてきたヴィアが誰よりもオーギーがいない環境に気楽さを感じてそれで自己嫌悪になるところはほんとに胸が痛かった。誰よりもオーギーを思う自分がなんでって。それゆえなんだよなぁ。てかムカつき度、めっちゃ下がってきたわ。よかったね、翔くん。
翔:なんで上から目線なんだ。ま、下がったんならいいけどさ。ワンダー、スピンオフ作品もあるらしいけど、どうするよ?
緑:え、ほんと?なにそれ、読むに決まってんじゃん!翔、ほんとでかしたわ。褒めて遣わす。
翔:基本、上から目線なんだな。
緑:一応、わたしが部長なんで。
翔:部長の権限、えぐいわ。
顧問としても緑さんのムカつき度が下がってくれてなによりです。いつも必要だと思うより、少しだけ余分に人に親切にしてみよう。2人だけの読書部の部室に貼っておきましょうかね。
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