賃貸を退去するとき50万円請求されたけど色々な対応を駆使して結果的に敷金を取り戻した話
(サムネはエアコンが水漏れしていた部分の反対側の画像です。濡れたタオルを伝って水が漏れてしまい、仕切り戸の横に積んでいた新聞紙がくっついてしまいました)
こんにちは。なもなきです。
去年、仕事の都合で引っ越しをしたのですが、そのときの退去費用(敷金精算)に関して管理会社と一ヶ月近く揉めることになりました。
結果的に敷金が一部戻ってくるという形になりましたので、他に似たようなトラブルに見舞われた方のために備忘録も兼ねて記録を残しておきたいと思います。
なお、特定を避けるためと、当時の記憶を思い出しながらになるため記載内容については若干のフェイクが含まれますことをご理解ください。
エアコン故障による水漏れ(退去一ヶ月前)
今回のトラブルの発端は昨年(2023年)の6月末、退去する一ヶ月前ほどに遡ります。
突然、当時住んでいた賃貸に備え付けてあるエアコンから激しく水が垂れてくるようになりました。いわゆる水漏れです。垂れた水は真下にある仕切り戸を伝い、床のフローリングを水浸しにする日々が続きました。
水漏れについては不便に感じていたもののその時にはすでに退去することが決まっていたため、エアコンの真下にバケツを置き、壁を伝ってバケツの外に落ちてしまう水については床にバスタオルを敷いて一時的に対処をしていました。
退去が近づいてきて引っ越しに向けた荷造りをしている間も水漏れはますますひどくなり、バケツを下に置いても一日で10Lバケツが一杯になるレベルまで悪化していました。ただ、去年は6月から真夏日が続いており、エアコンを使わないという選択肢を取るのも難しい状態でした。
これは流石に故障が濃厚だろうなと思ったものの、もう後数週間でこのエアコンを使うこともなくなるし、退去の際に管理会社に伝えようと暫定対処を続けました。
POINT! 大前提として、賃貸で備え付けの設備が故障した際は真っ先に管理会社に伝えるべきであり、本トラブルのきっかけに関しては自身の落ち度だと思っています。皆さんについては自身が借りている物件にて備え付けの設備に何か不備があった場合は、速やかに管理会社に連絡することをおすすめいたします。
退去~初回請求(50万円)
そんなこんなで引越し日を迎え、旧居から荷物を持ち出して新居に移動しました。引っ越し作業中についてももちろんエアコンはつけっぱなしで、ギリギリまでバケツを下に敷いたまま引越し作業を行いました。
最後に旧居から出るとき、フローリングについては色が変わっていることは確認していたのですが、以前フローリングに水をこぼして拭いたときも最初は白っぽい色になっており、徐々に色が戻っていたのでまぁ仕方ないかなと思って出ました。場合によってはフローリングの一部張り替えで費用を請求されるだろうなあとこのときは気楽に考えていました。
新居に移動する前に、管理会社に鍵を返しに行きました。退去完了にあたり書類にサインをするタイミングがあったので、エアコンの水漏れの件については正直に管理会社に伝えました。すると担当者の人は「水漏れ放置による建具の損傷は借主の負担になります。賃貸契約のときにサインをされていますね」と言い、原状回復に関する負担区分一覧表を取り出しました。見てみると確かに「エアコンから水漏れし、入居者が放置したために腐食した壁」について借主の負担との記載があります。私と連帯保証人(父)のサインもありましたが、内容については4年前のことなので細かくは覚えていませんでした。「あ~ここまで書かれてたらお金払わないといけないな」と思ったものの、請求額が確定してるわけではなかったのでそのときは素直に鍵を返し、新居へと移動しました。
ちなみにこういった退去作業にあたっては立会にて損傷箇所の確認をすることも多いと思うのですが、今回については立会人との予定が合わず、どの損傷が故意過失か等については話すことなく退去の日を終えることになりました。退去の立会については、損傷などについて既についていた傷であるなど弁明するチャンスですし、その後の円滑なやりとりにもつながると思いますのでできれば立ち会うべきだったなと今では思っています。
無事に引っ越しを終え10日程経ち、荷ほどきも落ち着いてきた頃、旧居の管理会社から電話がかかってきました。修理費の見積もりが終わったのかなと電話を出ると、驚くべき内容を伝えられました。
「水漏れを放置したことでフローリングの内部が腐食してしまって張り替えが必要になった。一部張り替えはできないので全面での張替えとなる。仕切り戸についても動かなくなっているので交換する。まだ金額は確定していないが50万程になりそうなため先に連絡した。」
エアコン下のフローリングについては認知していましたが、全面張り替えや仕切り戸の件については完全に寝耳に水で、目の前が真っ暗になるような感覚を覚えました。一応払える金額ではありましたが、自身の想定を大きく超えており、家計への大打撃は避けられません。「まずは請求書が来ないことにはなんとも言えないので請求書を送って欲しい」と言い、一旦電話は終わりました。その日は昔の上司や先輩と久しぶりに会って飲んでいたのですが、机の上に突伏する私を見ておかしいと思ったのか、事情を聞かれました。
私は事の経緯をざっくりと話しました。このときに一人で抱えずに相談できたのが、振り返ってみると今回のきっかけになったのかなあと思います。こっちとしては大事だったのですが、それを聞いてる様子は同情もありつつその顔に悲壮感はありませんでした。
その場にいた先輩も「うちも家を買うときに前の家を退去して、床に穴開いてたりしたけどなんとかなったよ」と励ましてくれました。どうやらその時に色々退去にあたっての対処法を調べていたようで、色々とアドバイスしてもらいました。
請求書が来てもすぐ振り込むのは絶対にNG
基本的に賃貸の修繕費の負担については日本の法律上借主の立場が圧倒的に強い
損傷の経緯にもよるが、過失ではない場合支払う必要がない場合が多い
まずは弁護士や法テラスの無料相談でもいいので、法的な解釈を仰いでみるといいよ
過失か否かについては水漏れを放置したのもあり過失だと思うんだけどなぁと思ったものの、請求書が来た時に精査をする、弁護士に相談する、といった大まかな方針は定まりました。上司と別れ、家に帰ってから自分でも退去にあたってのトラブルや対処法について色々と調べました。どうやらこういった負担割合に関する揉めることは割りとありがちなことのようです。弁護士については知り合いがいなかったため、入っていた労働組合を通じて弁護士を紹介してもらうようにお願いしました。
そうこうしているうちに、最初の請求書(正式には敷金精算書)が届く日を迎えました。まずは落ち着いて内訳を確認してみます。
ルームクリーニング代(追加クリーニング含) 約50,000円
フローリング材(処分費含) 約150,000円
仕切り戸交換費用(二枚分) 約50,000円
フローリング工事費 約220,000円
仕切り戸工事費 約30,000円
合計 約50万円
敷金との相殺分や消費税の兼ね合い等多少の差分はありますが、それでも約50万円の請求。振込予定日(期限ではない?)は8月30日との記載がありましたが、何故か次が決まっているとのことで8月18日までに振り込んでほしいとメールに記載がありました。
「この請求書で18日に振り込めというのは無理があるだろ……」と思いましたが、時期はお盆の真っ只中。なかなか弁護士とも連絡が取れず焦りが募ります。「お金の工面を検討するので待ってほしい」と言い訳し、弁護士からの連絡を待ちました。
なんとかお盆のバカンス中だった弁護士と連絡が取れたとのメールが有り、電話相談をすることになりました。しかし、弁護士に事の経緯を説明したあとの返答は意外なものでした(今思えば、この弁護士の方は賃貸トラブルが専門ではない+旅行先での対応だったため、そこまで正確なものではない可能性があったかもしれません)。
「このケースの場合、エアコンの水漏れを放置したのは過失によるものだと判断されるため、善管注意義務違反になる可能性が高い。工事費の妥当性については弁護士の立場では判断できない。工事費を別業者に見積もる等で金額が妥当であるかを主張するくらいしか無いのではないか」
困りました。工事費を別業者に見積もろうと思っても、既に退去しているため見積もり業者に部屋に入ってもらうわけにもいきません。「支払金額が妥当であるか」という観点でしか争うことができないという事実により、全く支払わないという選択肢はここでなくなってしまいました。色々と頭を悩ませた結果、だめもとで消費者センタに電話してみることにしました。
「賃貸トラブルについては専門ではないので詳細なサポートはできない。張り替え前と張り替え後でフローリングのグレードに変化があるかどうか等で交渉の余地があるかもしれない。詳しくは不動産適性取引推進機構に相談してほしい」
結果的に消費者センタは空振りでしたが、不動産適性取引推進機構という存在と連絡先を教えてもらうことが出来ました。また、自分でも色々調べ、「原状回復をめぐるガイドライン」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html)というものが存在することがわかりました。これらを元に不動産適性取引推進機構に連絡し、現状を説明した後どうやったらガイドライン通りの金額でやりとりができるか相談することになりました。その結果、以下のようなアドバイスを頂きました。
こういった民事トラブルについては明確な線引はなく、あくまで各人の交渉次第となる
そのため「ガイドラインに沿ってお話がしたい」と先方にはっきり伝える
支払いを完全になくすことはできないが、本件に関わる工事費の負担割合について交渉の余地がある
フローリングや扉については部材ごとの耐用年数は存在しないが、通常損耗による経年劣化が考慮される。当該の物件は鉄筋コンクリートのため、前に張り替えがない場合耐用年数は建物と同じ47年と解釈される
建物の築年数は24年(これは公知情報のためWebで検索可能)なので、負担割合5割までは削減できるのではないか
結果的にこのアドバイスが一番役に立ちました。これにより大まかに戦略が決まり、工事費の負担割合を半額にすることが一旦の目標となりました。弁護士に相談した結果が芳しくなく一度は諦めかけましたが、様々なところに相談し、自分でもWeb等で調べたことで交渉の武器を手に入れることができたのは幸運でした。そして、管理会社指定が指定した最初の支払日を迎えました。
POINT! 巨額の請求に対して動揺すると思いますが、まずは色んな人に相談してみましょう。相談することで心が落ち着きますし、そこからアドバイスを汲み取っていけばこれからの行動指針が見えてきます。
初回交渉~最初の減額(50万円→30万円)
支払の一旦の〆日でしたが、そのままの金額を払う気はさらさらありません。念のため録音の準備をし、管理会社に電話をかけ以下の旨を伝えました。
本件に関して弁護士に相談した(半分嘘)
水漏れ放置については自分の過失だと認識しているが、原状回復のガイドラインと照らし合わせた結果、請求金額は妥当ではないように思える
また、振込日についても、30日と請求書で出しておいて18日に振り込んでほしいというのはどう見ても無理がある
そのため、工事費について全額ではなく、半額を請求する形にしてもらえないか。こちらの計算では30万円ほどになる想定
そちらの対応次第では、裁判にて法的な解釈を争うことになるかもしれない(半分嘘)
正直人生で初めてのお金に関する交渉事なので緊張していましたが、管理会社の担当者からはちんぷんかんぷんな反応が帰ってきました。
原状回復のガイドラインは存在するが、一概に請求がそうなるとは限らない(?)
借りている物件はちゃんと元の状態で返さないといけない。なんであんなふうになるまで放っておいたのか(??)
クロス張替えも請求されるかもしれないけどいいのか(???)
クリーニング費用についてもこちらとしては譲歩している。お風呂とかキッチンとかすごく汚かった(????)
金額についてはオーナーに要望を伝えた後に改めて連絡する
この電話を通じて、正直管理会社はこちらからお金をふんだくってやるろうと思っているのではなく、ただただ無能なのではないかという印象を受けました(正直ものすごく疲れました)。ひとまずオーナーとやりとりしてくれるという言葉を信じ、新しい見積もりが来るのを待つことにしました。
POINT! 請求に対して必ずしも管理会社の悪意があるとは限りませんし、向こうがろくにガイドライン準拠しないまま請求をしている場合が多々あります。まずはガイドラインに則ってやり取りをしたい旨を伝え、それをベースに話を進めていくと良いかと思います。
二回目の交渉(30万円→27.5万円)
ひとまず一回目の交渉は終えたものの、それから一向に連絡がなく、当初予定していた8月18日という期限は過ぎ、30日にも差し掛かっていました。「このまま連絡が来ないまま振込期限を迎えたらどうしよう……善管注意義務違反で訴えられるのかな」とも考えましたが、こちらとしては見解を既に述べており、ひとまずは待つしか選択肢はありませんでした。
そして期限まで一週間となった8月26日、ついにメールが届きました。
どうやらオーナーとやりとりをしていたようで遅くなったとのことで、改めて精算書が届きました。
ルームクリーニング代(追加クリーニング含) 約50,000円
フローリング材(処分費含) 約75,000円
仕切り戸代(処分費含) 約50,000円
フローリング工事費 約110,000円
仕切り戸工事費 約15,000円
合計 約300,000円
金額を確認すると確かにフローリングと工事費用に関する金額がほぼ半額となっており、ひとまず胸をなでおろしました。しかし、よくよく項目ごとに金額を確認してみると、仕切り戸の費用がそのままになっていることに気づきました。正直前回の電話の影響で担当者とやりとりをすることにすごく抵抗を感じていたのですが、そのまま払うのも流石に癪なのでメールで返信することにしました。文面を残すことによって後々言った言わないのやりとりを防ぎたいという目的もありました。
上記のメールを送り返したところ、向こうも急いでいるのかその日のうちに返信がありました。
?????
また意味の分からない文面が飛んできてしまいました。世間ではそれを色合わせというのだと思いますが……前述の件で弁護士にはあまり期待できないため、自分でエビデンスを用意して送り返しました。
こちらのメールを送ったところ、返信がまた数日止まってしまいました。向こうが提示した締切である28日を過ぎてしまったのですが、まだ返信がなかったため、現状では解釈不一致のため支払えないという旨をメールで送り、返信を待つことにしました。
そして、締切の翌日、ようやくメールが届きました。
どうやらオーナーとのやりとりに時間がかかるようです。改めて金額を確認します。
ルームクリーニング代(追加クリーニング含) 約50,000円
フローリング材(処分費含) 約75,000円
仕切り戸代(処分費含) 約25,000円
フローリング工事費 約110,000円
仕切り戸工事費 約15,000円
合計 約275,000円
たしかに仕切り戸分の金額が減額されており、他の項目を見てもガイドラインに基づいて金額を減らせそうなところはなかったため、こちらとしてもこの金額で要求を呑むことにしました。
POINT! 精算書について、交渉後出てきたものであってもかならずこちらの要求が全て網羅されてるとは限らないので一つ一つの項目をよく確認しましょう。最終的な支払いの主導権はこちらにあるため、向こうから急かされても安易に振り込まないほうが良いです。また、交渉内容については後で経緯を辿れるようにするため、メール等の文面で行うか、電話の場合は録音しておくのを忘れないようにしましょう。
保険会社への連絡~査定
ところで、本件については会社関係のSlackの集まりで逐一状況を報告しており、当時は内部で賃貸関係のちょっとした時の人になっていました。そこで賃貸に関する責任範囲や賃借人側の戦略に関する議論が交わされる中で、ある人の書き込みが目に止まりました。
「賃貸を借りる時って普通は損害保険に入ってるもんだと思うけどなー」
確かに賃貸を契約した時、不動産仲介業者から決まりになってるからと言われ保険の書類にサインをした覚えがあります。改めて書類を確認してみると、入居費用にきっちりと保険金を支払った記載があり、契約書にはもちろん契約先の保険会社の記載もありました。向こうから契約させておきながらなんでその話をしてくれないんだという苛立ちと今回は自責の弁償だから保険金は降りないかもと言う不安の両方がありましたが、もし保険が降りるならば実質的な支払い金額が大きく変わる可能性があるため、だめもとで保険会社に連絡してみることにしました。
保険会社とのやりとりについては録音していなかったためためざっくりですが、概ねこういった内容でした。
「お客様のケースでは保険金の支払いは可能です。ただし、エアコンの故障原因によって免責金が発生する可能性があるので、故障原因を調べて教えてください。故障原因がわからないと支払いはできません。」
自責の損害だと思っていてため、今回のケースで保険金が降りるのはまったくの予想外でした。これによって払うお金が戻ってくるのであれば、たとえ免責金が発生しても今までの交渉を上回るリターンが期待できます。しかし、またもや困った問題が出てきてしまいました。今はもう引っ越しを終えて新居に移り住んでおり、鍵も既に返しているためエアコンの故障原因については管理会社かオーナーに調べてもらうしかありません。支払いも迫っていたため、仕方なく管理会社の担当者に連絡をし説明をしました。
しかし、相変わらず応対はちんぷんかんぷんなものでした。
とにかく早く修理費用を支払ってくれ
エアコンの故障原因についてはわからない
エアコンは付け替える予定のためそのまま廃棄する
保険金の支払いがどうとかこちらには関係ない、修理をする予定もないので故障原因を調べるつもりもない(?)
そもそも仕切り戸の上にエアコンがあるのがおかしい(??)
意味不明なやりとりを繰り返しながら手を変え品を変え原因を調べてもらうよう交渉しましたが、どうにも埒が明きません。貴方達はなんのために私に保険を契約させたのでしょうか。しかし事態は一刻を争います。このままこちらが清算金を振り込みリフォームが始まってしまうと、エアコンの故障原因については永遠に闇に葬られ、保険金の支払いもできなくなってしまいます。
最終手段として、改めて保険会社に連絡して直接管理会社とやりとりしてもらうようにお願いしました。もしかしたら僕の説明不足だったかもしれませんし、少なくとも保険会社は契約時に勧めた以上管理会社と繋がりがあるはずで、事故に対する支払い等で両者間のやりとりも手慣れていると思われます。向こうが要求した振込期限は過ぎてしまいましたが、「エアコンの故障箇所を保険会社に通知しない限り保険の手続きができないため、こちらとしても振込に対して不安がある」という旨を通達し、だんまりを決め込みました。
結果的にこれが正解でした。数日後、私の元に鑑定人を名乗る人物から連絡が入りました。
「これから対象の物件にてエアコンの故障原因について調査します。それをもって保険の対象事故か判断します。」
どうやら保険会社から派遣された人がエアコンの故障原因について調査してくれるとのことでした。既に管理会社の担当者に対する信用は地に落ちていたので、第三者が立ち合ってくれるのであればこちらとしては一安心です。故障原因が確定したらその旨をメールで送って欲しい旨を連絡し、調査が終わるのを待つことにしました。
POINT! 賃貸契約をする際に保険への加入が実質的に義務になっている場合もありますので、住んでる部屋で事故があった場合は契約内容をよく確認しましょう。また、交渉時にどうしようもなくなった場合は第三者の力を借りるのも手です。
管理会社への支払い~保険金の入金(27.5万支払い、30万振込)
その日の夕方、鑑定人からメールにて連絡がありました。
管理会社の担当者から釘を刺されているのは笑いましたが、100倍マシな内容で安心しました。これをもって修繕費を支払っても大丈夫だと判断し、銀行振込にてオーナーへ支払いを行いました(賠償金の支払先は何故か賃貸のオーナーでした)。支払いをした旨を管理会社にメールしたところ、次のような返答が帰ってきました。
相変わらず微妙な文面ですが、こちらとしても保険金の支払いに必要な情報を全て集めることができて一安心しました。領収書や賃貸契約書など、必要書類を鑑定人に送付し、後は保険金の支払いを待つことにしました。
そして、10日程経ったある日、保険会社から手紙が届きました。
そして、翌日には実際銀行口座に30万円の振込がありました。後日詳細な内訳が届いたので内容を確認してみました。
クロス張替えや浴室鏡交換など、事故と関係ない設備交換の支払い→保険金支払対象外(請求なし)
ルームクリーニングに関する支払い→保険金支払い対象外(全額請求)
フローリングに関する支払い→経年劣化を考慮し半額保険金支払い対象(半額請求)
仕切り戸に関する支払い→経年劣化と責任範囲を考慮し1/4保険金支払い対象(ドア一枚分の半分で1/4請求)
上記ととは別に保険会社から免責金として3万円の請求
結果的に、支払った修繕費のうち、ルームクリーニング代と免責金を除く全額が保険で落ちるという形になりました。精算では敷金の分が補填されていたため、結果的に保険金を通じて敷金が一部戻ってくることになりました。また、この内訳表は私の今までの交渉が少なくとも保険会社から見ても妥当であることを保証するものでもあり、これにて支払いを巡る約一ヶ月に及ぶやりとりは幕を下ろしました。
POINT! 全ての懸念が払拭されるまで安易に清算金は振り込まないようにしましょう。また、今回のような急ぎのケースでない場合、代理で保険会社が清算金を支払った後、後日保険会社からこちらに差額を請求するというやり方もあるようです。そのあたりは保険会社とよく相談して方針を決めましょう。
まとめ、振り返り
請求の連絡が来たときはどうなることかと思いましたが、結果的に敷金を取り戻すという形で退去手続きを終えることができました。
前提として、賃貸はあくまでオーナー様のお部屋を契約で借りているだけのものです。過度な汚れや破損は今回のようなトラブルの元になりますので、日々きれいに使うことを心がけると共に、退去時には可能な限り掃除等を行いできる限り元の状態でお返しするようにしましょう。お互いに気持ちよくお部屋の明け渡しができればそれに越したことはありません。
但し、それでも管理会社から高額な修理費用を請求されるケースというのは少なからず存在するようです。そのときの各フェーズに関するポイントは各章のPOINTに記載しているため割愛しますが、こういった専門外のトラブルに見舞われたときはまず利害関係のない第三者に相談するということが大事だと思います。特に今回のケースについては似たような事例が非常に多く、当事者からのアドバイスも受けやすいかと思います。また、現状の法制度上、賃貸におけるトラブルに関しては賃借人が非常に有利だと言われています。管理会社側が裁判手続きに関するコストをかけるメリットがほぼないということも鑑みて、こちらは少額訴訟も辞さない(そもそも支払いが滞った場合裁判を起こす必要はオーナーや管理会社側にある)姿勢で強気に臨むのが良いかと思われます。
また、今回戦略を立てるにあたって最も参考になったのは不動産適正取引推進機構とのやりとりでした。もし相談のアテがなければそちら(https://www.retio.or.jp/consul/)に相談することをおすすめいたします。また、実際の支払い額に関しては保険金の有無が重要な要素を担っていました。そのため、契約時の書類をよく確認して自分が賃貸契約した時にどのような保険に入っていたかを確認しましょう。どんな保険も有事の際に手続きをしなければただ金を捨てているのと同じです。
引っ越しはただでさえ新居の入居費用だったり引越代だったり何かとお金がかかるものです。この文章が旧居に後腐れのない別れを告げるための一助になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。