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【番外編】りんごとのこれから〜新規就農して考えた「青森りんご」のアイデンティティのこと

2022年6月24日(金)に依頼を受けた、一般社団法人青森県農業経営研究協会、第42回通常総会『記念講演会』の講演内容をリライトして、前中後に分けて記事にしました。
今回は、番外編ということで、会場でいただいた質問について改めて考えたものを掲載したいと思います。

本編は下記よりご覧ください。


質問①
改植は高密植ですか?

回答
今、うちの会社で改植を進めていますが、全て丸葉台の苗を植えています。おそらく、地域の農家さんたちにとっては高密植栽培へ移行したり、丸葉台よりも木の小さい「わい台」を使用したりすることがトレンドなのだと思います。しかし私たちは、今のところは丸葉台を植えていくことにしています。


質問②
「心と体に栄養を届ける」とは、具体的にはどんなものなのか。板柳町のふるさとセンターでは、りんごの歴史も知ることができ、いろんな品種を見ることもでき、レジャー施設として観光客の人もたくさん来ている。ああいったところとの何か違いがあるのかを教えてほしい。

回答
基本的には、ふるさとセンターでやろうとしていることと、方向性は変わらないと思います。
例えばりんごジュースは、「お気に入りのりんごを見つけてほしい」という思いから、様々な品種を単一で加工してもらっています。りんごジュースを飲むことでりんごジュースの物理的な栄養を取り入れることと、「自分はこの品種が好きかもしれない。」という心の栄養も取り入れることができると考えています。
もしかしたら、「この品種はどこで生まれたりんごなのだろう?」、「ジュースのラベルは昔りんご生産で使われていた”刷版”を参考にしているのか。」などの発見によって、知としての栄養も得られるかもしれません。


質問③
りんごをやると、”覚悟”を決めたのはいつでしたか。

回答
正直なところ、”覚悟”を持って何かに取り組むということをあまりしない方です。というのも、根が真面目なタイプなので、気を抜くとついつい全部に対してちゃんとやらないといけないという気持ちになってしまうからです。そして、その経験から、私の場合ですが、強い気持ちを持って取り組まねばならないものは継続しないと学びました。おそらく自分の心や体に負荷がかかった時に”覚悟”がどんどん薄れていき、ポキっと折れてしまうのでしょう。真面目だけど、続かない。それが私です。それは真面目なのか、というセルフツッコミもありますが、置いておきます。折れちゃうから。

そんな私がりんご畑を借りようと決めたのは、りんご畑を借りたいと思っていることを農家の先輩に相談した際に「もう少しよく考えた方がいい。」と言われた時です。そう言われた時に、「あ、こういう人がいるから、りんご農家ってキツイ仕事だって言われるんだな。」と思いました。人に対して勝手に評価して、人がやろうとしていることを止めようとするなや。そう感じて、他の人に相談しました。
その時に今の師匠に出会います。

その師匠に会った時、りんご畑を借りてもやっていけそうだなと思いました。「やっていくぞ。」という覚悟ではなく、”安心”を与えてもらいました。しかもその安心は、どうしていけばりんご畑と向き合い続けられるのか、という長期的な視点から感じたものです。この師匠の言うことを聞いて、自分のやれるペースでやっていこう。そう思えた時が、ある意味、質問いただいた”覚悟”を決めた時だったかもしれません。


講演会の際には、その場でお答えしないといけないので言葉足らずだったりしてしまいます。
こういう形で考えていることを残せるので、やはりnoteは便利ですね。

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