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【前編】開拓して、出会い、ともに耕される

みなさんこんにちは。永井温子と申します。最近私の頭の中を埋め尽くしているのは、いまだに収穫しきれていないりんごのことと、りんご畑で保護した猫が出産した5匹の子猫のことです。りんごは、できれば11月中旬くらいまでには収穫をしたいところですが、なかなか思うようにいかないことも多いです。逆にいい意味で予想を裏切られることもあり、面白いなぁと思いながらやっています。ただ、りんごはどんどん成熟していってしまうので、時間との勝負です。子猫に関しては、自宅で生まれた後、こちらもどんどん成長していっています。生まれたばかりの頃はとっても小さかったんですが、もう今では元気に走り回り、5匹で体を寄せ合って眠ったりしています。子猫の成長スピードには本当に驚かされます。今、子猫の里親を探しているところです。あまり大きくなりすぎると里親さんが見つかりづらくなるということで、だいたい生まれてから2ヶ月くらいまでが勝負だと、動物病院の先生がおっしゃっていました。りんごも、子猫も、私たちの予想とは全く違う光景を見せてくれます。最近「腰痛」がひどいのですが、りんごや子猫たちのおかげで、ある程度楽しく生活しています。

さて、今日はキャリア形成の基礎ということで、弘前大学から「弘前大学が考えるキャリア形成」についての資料なども事前にいただきました。ざっくり、「学生に、自立した社会人になってもらう」みたいなことが書かれており、正直なところ、私に言えることはあんまりなさそうだなと思ってしまいました。
というのも、私は最近「りんご農家」として紹介されたり、取材を受けたりすることが多いのですが、私自身は、自分のことを「りんご農家」だとは思っていません。確かに、農地を所有する会社を経営しており、フリーランスとしても農地を借り、合計2,5haのりんご畑を運営しています。その点では「りんご農家」っぽいのですが、私は高い枝に手が届きませんし、マニュアル車の運転もできません。花粉症がひどいので草刈りもできませんし、先日25kgくらいの木箱を持った時に腰をやってしまいました。こんなにも「りんご農家」に適さない人はいないのではないかと思っているところです。
他にもいろんな面で、「自立した社会人」とは到底言えないような体たらくです。ただ、それでもみなさんにお話しできることを考えねばと思い、大学時代に出会ったこちらの本を手に取りました。この本は、大学の先生からいただいて、何度も何度も読み返した本です。何度読んでも、毎回発見があります。元々は自分にとってのフィールドへ、自分の全てを賭けて飛び込んで、どのように「臨場の知」を積み上げていくのか、ということが書かれています。生身の人間や地域と関わりを重ねていくことで、自分の中に「臨場の知」を積み上げることができれば、新しい場所や、新しい課題にぶつかった時に、自分にとって心強い味方になってくれるかもしれません。もしくは、そうした課題にぶつかっている友人などへ、言葉として贈ることができることもあるかもしれません。自分にとってのフィールドは、地域かもしれないし、人かもしれません。私にとっては、「りんご」かもしれません。

こちらの本に書いてあった、「誰かの言葉を借りて、自分の話をする」ことによって、今回は少し、ポンコツな自分を認め、有意義に自分の過去を振り返ることができそうだなと感じました。今回は、こちらの本の方法をお借りしながら、みなさんへお話ししたいと思います。

そう言い放ったのは、高校の時にお世話になった教頭先生です。国語の先生でもある教頭先生に高校3年生の初めに弟子入りをし、毎朝職員室へ通い、古文漢文をみっちり教えていただいていました。塾に通うことができなかった私にとって、大変ありがたい存在でした。しかし、センター試験のあと、私は絶望していました。志望していた大学へは到底チャレンジできないことは明らかでした。そこで頼ったのが教頭先生です。興味のある分野の勉強ができそうな大学をいくつかピックアップし、相談しにいったのです。その時に、「あなたには弘前が合っていると思う。街がとてもいい。私は弘前の桜が好きなんですよ。」と言われ、そこからは迷わず2次試験の勉強をし、無事合格することができました。いろいろとありましたが、教頭先生の言葉に支えられ、なんとか合格することができました。
「あなたの点数だったら弘前大学になら入れるかもしれない。」とか、そういう言い方ではなかったことがずっと気になっています。「青森、弘前が好きで移住したんですか。」とよく聞かれるのですが、正直分かりません。どちらかというと、教頭先生に言われた言葉の、答え合わせをしているような感覚でいます。


この記事は、2022年11月10日(木)に依頼を受けた、弘前大学人文社会科学部、キャリア形成の基礎、働く人を知る②講演内容をリライトして掲載したものです。
中編①へ続きます。


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